とってもショッキングな復興航空の事故

今日の午前中に台湾の復興航空(TRANS ASIA)の飛行機が台北の松山空港を離陸直後に墜落しました。
ATR72という小型のプロペラ機で、短距離路線に就航している機体ですが、この復興航空は昨年の7月にも同型のATR72を事故で墜落させています。
機体はまだ新しく、性能も良い飛行機なので、なぜ墜落したかは原因の究明を待たなければなりませんが、今の情報化の時代ですから、墜落直後から画像や映像がどんどん投稿されているのを台湾の友人が教えてくれました。
ドライブレコーダーが記録した飛行機の最後の姿が こちら です。
(ご自身の判断でご覧ください。)
この復興航空のGE235便は台北の松山空港発金門行で、松山空港を離陸直後に失速して墜落したようですが、管制塔(Songshan Tower)とのやり取りもインターネットに出ていまして、それを聞くと0250Z(現地時刻10:50)過ぎ頃から(RCSS Tower 2015-02-04 0230Z
GE235便は遠東航空(Far East )8862便が最終進入過程にあるときに松山空港の滑走路10番の脇で待機を命じられます。
この時の風は110度から11ノットですから、ほぼ正対風で離着陸には問題ありません。
遠東航空8862便が着陸し、GE235便は滑走路10番へ進入して滑走路上で待機させられ、遠東航空の8862便が滑走路を出ると、GE235便は離陸を許可されます。
この時点での風は104度から9ノット。(管制塔の交信が明瞭ではありません)
同じように離陸には支障がある天候ではありません。
しばらく滑走路上に待機していたGE235は管制塔から到着機が2分のところに迫っていると言われ、離陸を始めたようです。
離陸したGE235便は管制塔から台北アプローチ(出発管制)、119.7に周波数を変更してコンタクトするように命じられます。
GE235便はその旨了解する交信をしていますが、そおそらく周波数を変更せずにそのままだったのでしょう。約2分後に突然松山タワー(離陸の時に許可をもらった管制塔)に
「mayday mayday (その後が聞き取れません。)」
と緊急事態を告げる交信を行います。
管制塔(松山タワー)はGE235便がすでに自分の管轄から離れているため、「周波数を119.7に変更して台北アプローチにコンタクトするように」と言いますが、その後、GE235便からは何の応答もありません。
その後数分間にわたって何度か松山タワーから「GE235応答せよ。」と呼びかけますが、おそらくその時にはレーダーから機影が消えて、墜落していたのだと考えられます。
ドライブレコーダーの画像を見ていただくとお分かりいただけますが、失速して高度を急速に失っている飛行機が、高速道路の手前で大きく左に舵を切っているのがわかります。
墜落する寸前に基隆河という小さな川をめがけて機体をコントロールしたのでしょう。民家に墜落することだけは避けたいというパイロットの最後の判断だと思います。
松山空港は住宅密集地にありますので、今後、空港問題がいろいろ出てくることは必至だと思いまあすが、このパイロットの判断が、正しかったということはいずれ明らかになると思います。
さて、私としてはこのように飛行機が墜落する様子が動画や音声に克明に記録されていて、それがわずか数時間で発表されていることがショックなのはもちろんですが、もう一つショックなのは、実はこの墜落したATR72、機体番号B22816は昨年8月に実際に私自身が搭乗した飛行機で、そのすぐ前に墜落した復興航空の同型機なのですが、「こんな新しくて性能が良い飛行機がどうして墜落するのだろう」と思いましたが、今日墜落したのはその時非常に快適なフライトを経験した機体そのものだからです。
昨年12月30日のブログに記載した2014年飛行記録。
8月7日に搭乗しています。
今後、事故原因の解明が進むでしょうが、管制塔との交信記録を聞くとMayday Callもとても落ち着いた声で、その後に続く状況説明は「何かがロックしている」というように聞こえなくもありません。
パイロットは最後の最後まで冷静でいなければいけない職業だということ、そしてそれが被害を最小限に防いだのではないかと考えると、胸が痛む思いです。



昨年8月7日に搭乗した復興航空009便台北松山発花蓮行
馬公での墜落事故からわずか2週間後でした。
搭乗した機体は今日墜落したB22816です。


とても快適なフライトで、花蓮まで27分間でした。
座席番号は5D
この飛行機だと思うと、やはりショックです。