先週、三重県の津市商工会の皆様方がお越しになられました。
ちょうど私が出張で不在だった時にお越しいただきましたので、総務部長と鉄道部長が対応させていただきましたが、せっかくおいでになられたにもかかわらず、お会いすることができずに大変申し訳ないことでした。
今回、津市商工会の皆様方がいすみ鉄道を訪問されたのは、実は三重県津市にはJR東海の名松(めいしょう)線というローカル線が走っていて、数年前に災害を受けて半分ほどの路線が今でも不通の状態にあります。
一応、来年度(平成27年度中)には何とか運転再開できるめどが立っているようですが、運転再開したとしても沿線地域の状況は何も変わらないわけで、少子高齢化により、かえって以前よりも過疎化が進むことだって考えられますから、再び廃止論が出ないとも限りません。そうならないために、今後、地域としてどのように利用していくかということを考えていらっしゃるようで、「名松線を元気にする会」なども結成されていらっしゃるようです。
津市商工会の皆様としては、名松線に団体乗車したり、貸切車両を連結してもらって、いろいろなイベントができるのではないかと利用促進方法を模索しているとのこと。それならばいすみ鉄道を参考にするのが良いのではないかということで、いらしていただいたのです。
名松線は紀勢線の松阪から分岐するローカル線で、現在、中間地点の家城(いえき)というところまで運転されていて、そこから先、終点の伊勢奥津までの区間が災害で不通になっています。
名松(めいしょう)という名前は近鉄電車が走る名張と松阪を結ぶ計画で両方の頭文字をとって名付けられたもので、いすみ鉄道の前身である木原線とネーミングの経緯も路線の成り立ちも、建設時代も同じですから、なんだか他人のような気がしません。
私は名松線には何度か乗車していて、特に今不通になっている家城から先の区間がとても好きで、終点の伊勢奥津駅構内にあるSL時代の給水タンクなどを見ると、ローカル線って良いなあと思えるんです。
急峻な地形を縫うように走るところは、それだけ自然環境が厳しいところで、過去に何度も災害に見舞われているところですが、私としては何とか利用方法を見つけて、地域に密着した、そして地域を元気にするような、そういう使い方をしてほしいと思いますし、名松線ならばできるんじゃないかなあと思うのです。
あとは、JRさん次第ですね。
もっとも、JRさんは地元次第と言うでしょうが、私が興味深いのは、同じ田舎でもJR沿線では地元の人たちがJRに一生懸命働きかけて、何とか鉄道に残ってもらいたいという運動をしていますが、いすみ鉄道のような第3セクター鉄道沿線では、鉄道会社の方から住民にいろいろ働きかけて、「こうしたら残せますよ。」「こうしましょう。」と言ったりして、全く反対の構図が見られることなんです。
私もいすみ鉄道の社長になって6年目ですが、全国の鉄道を回ってみて、ローカル線というのは、いくら鉄道会社が一生懸命になったとしても、地元が一生懸命じゃないところは、最終的に鉄道を残すことは難しいのではないかと感じます。
まず地元が一生懸命になって、そして鉄道会社がそれにこたえていくというのがあるべき姿なんじゃないかと思うのですが、鉄道会社の方から一生懸命残す努力を提案しても地元の熱意を感じないところもあるわけで、そういうところは、2040年にはどうなるかというと、なんだかもう結論が見えてきているような気がするのであります。
さて、皆さんはどのようにお考えでいらっしゃいますでしょうか。
大多喜でいすみ鉄道の説明を受ける津市商工会の皆様
レストランキハの車両を見学されて、ムーミン列車にご乗車いただきました。
(写真提供 名松線を元気にする会事務局長 堀田祐治さん)
津市商工会の皆様、お会いできずに大変申し訳ございませんでした。
今度、家城止まりの名松線に乗りに行きますので、その節はどうぞよろしくお願いいたします。
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