青い森鉄道へお邪魔しました。

青森県の第3セクター鉄道、青い森鉄道を訪問しました。
東北新幹線の延伸開業で並行在来線である東北本線を青森県が引き受けた青い森鉄道は、同様の岩手県のIGRいわて銀河鉄道と合わせると、盛岡-青森間、約200kmに及ぶ長大幹線で、旅客輸送は新幹線へ移ったとはいえ、20両ものコンテナを連ねた貨物列車が1日に何十本も走る日本の物流を支える大動脈としての重要な役割を担っているのです。
私は、東京の生命線ともいえるこのような大動脈を、青森県や岩手県に押し付けて、「君たちが新幹線が欲しいというから作ってやったんだ。だから在来線はお約束通り引き受けなさい。」というようなやり方はおかしいと思うのですが、来春以降、このような鉄道がいくつも誕生するわけで、この国の行く末がとても心配になるのですが、青い森鉄道の皆様方は、地域住民の足として頑張って輸送を支えています。
私は東北新幹線が新青森まで開通した時から、青い森鉄道の皆様方といろいろとお付き合いさせていただいていて、この会社を見させていただいておりますが、開業当時の関社長さんが、
「東北本線は、青森の人たちにとって見ると、東京へ行くための路線だった。でも、その役目を新幹線に譲ったのだから、青森県民の足として生きていかなければならない。」
と、おっしゃっていたのがとても印象に残っていて、青森市内に数駅の新駅を開業させ、国鉄時代からあった駅の場所を、利用者に便利なように数百メートル移転させたりと、全線開業から数年間で地域住民の足としての態勢作りを行って、日中でも地元の皆さんがたくさん乗車する光景が見られるようになりました。
東京にいるとなかなか理解できないのですが、青森県のような豪雪地帯では、鉄道は地域住民の足として必要な輸送機関としての役割が大きいのです。
このようにわずか数年で「東京へ行くための鉄道」から「地域の足」へ変身を遂げたわけですが、私は、そろそろ青い森鉄道は第2段階として、「観光需要の掘り起こし」をするべきだと考えていて、それはなぜかというと、2040年問題にみられるように、青森県も当然人口減少の波にのまれて影響を受けないわけにはいかない土地ですから、地域需要にはおのずと限界があるわけで、それを補うのが観光需要の掘り起こしだと考えるからです。
いすみ鉄道は同じ第3セクターでも、会社の成り立ちや沿線事情が全く異なりますので、地域の足としての需要を掘り起こすことは大きな労力がかかる割には得られるものが少なく、それをやってきていろいろなローカル線が廃止になってきた現状を考えて、私は観光需要で経営を支えて、そこから上がる利益で地域住民の足を維持していくスタイルをとっていますが、観光需要というのは、都会の人たちに地域の良さを知ってもらって、地域に「憧れ」を持ってもらうということですから、ただ単に観光客にお金を落としてもらうことが目的なのではなく、その地域のファンになってもらうことがとても重要なことで、ローカル線があれば、そういうファンを作りやすいと私は考えてムーミン列車や昭和のディーゼルカーを走らせる戦略を展開し、レストラン・キハや各種駅弁で、地域に対する憧れを具現化していただこうと思っています。
だから、青い森鉄道も、そろそろ次の手を打って、観光需要の掘り起こしをしたらよいのではないかと考えていたところ、実は大きな実験をされるということをお聞きして、とてもワクワクしているのです。
その実験というのが こちら。
今度の10月24日に、JR八戸線で大人気のレストラン列車「東北エモーション」を借りてきて青い森鉄道線内で走らせるという企画です。
青い森鉄道はいすみ鉄道と違い、経営が順調な第3セクター鉄道ですから、「何も余計なことはする必要がない。」というのがお役所的な発想だと思いますが、そういうことではだめで、今のうちから新しい取り組みをして、地域に根付いた地域の人たちにかわいがられるような鉄道になることを目指していることが、こういう取り組みを見ているとわかります。
新幹線が北海道へ延びると、寝台特急の運転がなくなって、青い森鉄道はそこからの収入が減るわけですから、今から稼ぎ頭を作る必要があるわけで、今回の企画はそれを意識しているのだと思いますが、お役所的発想ではできないことですから、私はすごいなあと思うのです。


青い森鉄道の小林社長さんと。
下は新型車両の青い森703形です。

刈り入れが終わった田んぼを走る2両編成の電車。
やっぱり絵になりますねえ。
私が青い森鉄道の社長だったら、用途廃止になるのを待って583系6連をもらって外側は国鉄時代そのままで、中を少しいじって食堂やイベント対応の車両にしたり、寝台を残しておいて、青森―八戸間で寝台列車を運転しますね。
キハ52とキハ28の座席夜行でも満席になるのですから、100km以上の区間を走る世界初の電車寝台は、それだけでも青森県にあこがれる人がたくさん生まれると思いますがいかがでしょうか。
そういえば、昨日売出し開始しましたいすみ鉄道の夜行列車企画ですが、おかげさまで満席のコースが出てきています。
ご希望のお客様は、こちらからお早めにお申し込みください。
ということで、青い森鉄道の報告でした。
小林社長様、今回もお時間をいただきましてありがとうございました。
来月またお邪魔しますので、よろしくお願いいたします。