台湾鉄道三昧の旅が終わりました。

昨日で台湾鉄道三昧の旅が終わりました。
この旅行は交通新聞社といすみ鉄道が日台友好のための鉄道ファンの交流を主眼に企画し、ダイナスティートラベルが主催した3泊4日の旅行で、昨日の最終日は台北の北部の七堵にある七堵機務段(車両基地)にお邪魔し、半日滞在して広い構内をたっぷりと見せていただきました。
台北駅前のホテルを朝8時に出た一行は、台北駅地下ホームから七堵止まりの「自強号」に乗車して七堵駅に到着。そこで、職員の方が待っていてくれたのですが、彼の口から出たことばは「皆さん、そのままご乗車ください。」。
乗って来た七堵止まりの列車が、私たちを乗せたまま車両基地に入区しました。
私のような業界の人間からみれば、駅から離れたところにある車両基地へは入区列車に乗車して行くのが一番便利なのですが、ツアーにご参加いただいた一般のお客様から見たらうれしいサプライズですね。

[:up:] 機務段の入口に掲げられた歓迎の表示。皆さん感動です。
[:down:] まずは機務段の会議室で団長さんから直接全体の説明を受けます。
[:up:]

[:up:] つづいて車庫へ移動して、出発準備中の車両を見学します。
と、ここまでは通常の見学コースなんですが、いすみ鉄道のツアーがほかのツアーと違うところはここからなんです。

[:up:] 数百メートル歩いて車両基地の一番奥にある建物へ案内されました。
ここは「花車」と呼ばれる貴賓車両が24時間空調管理で大切に保管されています。
今から100年以上前の大正時代に作られた車両で、昭和天皇が皇太子だった時代に実際に乗車された車両です。
貴重な版画などの装飾がそのままきれいに保管されています。鉄道記念物ですね。


[:up:] 貴賓車両の車内を窓越しに見学したり、足回り(台車)などを見学したり、皆さん熱心です。


[:up:] こちらは今の台湾総統が使用する専用車。18メートル級の気動車です。気動車ならばどこへでも行かれるからだそうです。
日本語が堪能の劉さんという職員の方が丁寧に説明してくれます。


[:up:] 次は機関車の整備地区です。
ディーゼル機関車と電気機関車が走行装置の整備を受けています。
[:down:] 作業者のすぐ横まで近づいて見せてもらって、皆さん熱心です。



[:down:] 次は車輪の研削工程の見学です。
台車のまま車輪が削られているところを目の前で見せてくれました。



[:up:] 次は電留線へ移動。初代自強号のEMU100型の廃車体が留置されていました。1977年イギリス製の電車で35年前の最新型の超特急ですが、2編成10両が復元されて団体貸切用で復活しています。

[:up:] 転車台です。ディーゼル機関車が向かってきます。左に見える電気機関車に「KANO」と書かれているのは戦前の嘉儀農林高校を舞台にした高校野球の映画のキャンペーン車両のようです。
[:down:] ディーゼル機関車を載せたターンテーブルがグルリとひとまわり。
私たちのためのサービスです。


[:up:]目の前の洗浄線を自強号のPP型がゆっくりと通過していきます。
[:down:] そしてお待ちかねのお昼です。
機務段の職員食堂で、職員の皆様と同じお昼ご飯をいただきます。
これがこのツアーのラストイベントです。





[:up:] 地元の人と同じものを食べるというのは旅の醍醐味ですね。
鉄道の現場にお邪魔して、職員の方と同じものを食べさせてもらう。
これが友好の第一歩だということを、機務段の団長さんはよくご存じなんですね。


[:up:] 午後からはシミュレーター棟へ移動です。
シミュレーターって中国語ではこのように書くんですね。


[:up:] 本物の運転士訓練用シミュレーターを交代で運転させてもらいます。
下の写真は、教官席で、ここで大雨を降らせたり霧を発生させたりという条件を付けることができます。ただし、台湾ですから「大雪」のモードはないようです。


交通新聞社といすみ鉄道のツアーがどうしてここまでできるのかというと、人と人とのつながりがあるからです。
この機務段の何東寶(Ho TungPao)さんと私は友達なんです。
お互いにとても信頼していて、そういう関係が中国人や台湾人の世界では大切なんですね。
私が10年以上前から30回以上も台湾国鉄を訪問し、前面展望DVDを制作して台湾国鉄を記録してきたことが、大いに役立っているということなんです。
だから、一朝一夕ではできないことなんですね。
何団長さんは今度いすみ鉄道に遊びに来てくれると約束してくれましたので、その時は大歓迎したいと考えています。
春田社長の由利高原鉄道もそうですが、私たちローカル線というのは、こういう国と国ではできないような「お友達外交」を今、率先して行うことで、日本と台湾の鉄道愛好家の人たちの交流を深めようと考えています。
なぜならば、自分が好きなことであれば、相手を理解することがとても簡単になるからです。
共通の趣味があると、本当に理解し合うのが速いんです。
女性の皆さんも韓流や華流スターに夢中になることで、相手の考え方や言語を理解している人がこの10年ほどで急に増えましたが、おじさんたちだってできることからやっていくべきだと私は考えるわけです。
このツアーにご参加いただきました皆様、そしてツアーを支援していただきました皆様、どうもありがとうございました。
そしてお疲れ様でした。
このツアーの様子は、一部ですが交通新聞社の「鉄道ダイヤ情報」次号(5月15日発売予定)で紹介していただける予定です。
次回の台湾ツアーは11月ごろを予定しています。
皆様どうぞご期待ください。
さて、私は今、台北駅前のホテルでこのブログを書いています。
ツアーの皆様方は昨日の夜の便でお帰りになりましたが、私はご協力していただいた皆様方に昨夜慰労会を開いて、これからお昼過ぎの便で羽田に戻ります。
明日は大多喜です。
いすみ鉄道沿線のみずみずしい田園風景を見るのが今から楽しみです。