新幹線のグリーン車に始発駅から乗りました。
座席に座ると、いすの下に飲みかけのペットボトルがあるのに気づきました。
皆さんならどうしますか。
掃除が完了しているはずなのに、よりによって私の座席の下に・・・
見落としてるなんてけしからん。
通りかかった車掌かアテンダントを呼んで、クレームしますか?
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以前にカミさんと2人で飛行機に乗った時のこと。
真ん中の4人掛けの席の通路側から2席に並んで座りました。
その飛行機は空いていて、反対側の2席はお客様がいませんでした。
カミさんが足元にハンドバッグを置いていたのをキャビンクルーが見つけ、
「前のお座席の下にお入れください。」
と声をかけて行きました。
カミさんがハンドバッグを前の座席の下に入れます。
そして私に尋ねました。
「この飛行機、ちゃんと掃除してないのかしら。」
「どうしたの?」と聞くと、座席の下にペットボトルがあると言います。
既に飛行機は滑走路に向かって動き始めています。
どんなペットボトルかと尋ねると、飲みかけの水と答えますので、私は、
「そのままにしておきなさい。」と言いました。
飛行機は離陸して目的地に向かって飛行を続け、私はお酒を飲んでいたこともあって、ぐっすりの眠っていました。
やがて目的地着くと、お客さんが降り始めます。
その時、私はカミさんに聞きました。
「さっきのペットボトル、まだある?」
そしてそのペットボトルを受け取ると、ポンと横の座席の上に投げて、飛行機を後にしました。
カミさんとしては私の行動が腑に落ちないらしく、釈然としない表情をしていました。
皆さんは、どうお考えになりますか?
[:down:]
[:down:]
[:down:]
考え中!
[:down:]
[:down:]
[:down:]
[:down:]
私がとった行動の理由です。
まず、飛行機は目的地に到着すると機内清掃を行います。
その後、お客様の搭乗前に乗務員が機内の保安点検を行います。
いわゆるセキュリティーチェックというものです。
そして飛行に差し支えないことがわかると、お客様の搭乗開始となります。
お客様がお乗りになった後で、掃除をしていなかった、または前のお客様の残されたものがあることが判明すると、
1:掃除の責任者が追及を受けます。
2:客室のその付近の担当乗務員がセキュリティチェックの不備を追及されます。
これだけで、日本の会社で言うところの始末書ものです。
そして、残されていたのがペットボトルの水ということになるとどうなるか。
皆様方ご存じのように、ペットボトルなどに入った液体は機内持ち込み制限品に該当します。
考えられる最悪のケースとしては、そのボトルの液体が毒物か発火物で、機内で何か事件を引き起こそうとするグループが手分けしてそこに置いたということ。
これは前例があるのですが、掃除の担当者や機内食の担当者が乗客や乗務員とグルになっていて、飛行機内に何かを搭載して事件を引き起こしたという前例があります。
私が、「とりあえずそのままにしておけ。」とカミさんに伝えたのは、隣の席2席と後ろの席にもお客さんがいなかったから。
だから、何かをたくらんで置いたのではないと判断したからですが、もし、そのボトルを取り上げて、キャビンクルーに
「すみません。座席の下にこんなものがありました。」と渡したら、動き出していた飛行機がゲートに戻ることが十分に考えられるからです。
実際、私が担当する飛行機で過去に携帯電話の落し物がありました。
座席の脇にすっぽりとはまっていたので、掃除の人は気づきませんでした。
飛行機は折り返し便としてお客様を乗せて、ゲートを離れて滑走路に向かいはじめました。
その途中に、お客様から自分の座席の下に携帯電話がある、という申し出が機内でありました。
飛行機から無線で、「座席から携帯電話が見つかった。」といってきました。
記録を見ると到着便のその座席番号のお席には、よく御搭乗されるメンバーの方がお乗りになってましたので、私は無線で機長に「持ち主がわかったので、日本人クルーに渡してくれ。彼女が帰国した時に受け取るから。」と伝えたところ、一瞬間があって機長から
「この携帯電話を載せたまま私は離陸することはできない。」と連絡が入りました。
飛行機はちょうどプッシュバックといって、トラクターが途中まで押し出してエンジンを始動させるところでしたので、私と機長の無線連絡を聞いていた整備士が、エンジンをかけるのを少し待たせて、機内に連絡を取り、機体のアクセスポイントから携帯電話を受け取ってくれました。
そんなことがあったことを思い出したのですが、会社が何者からか何かの脅迫を受けている事実があったり、懸案となるようなことを抱えている状況だったり、外部には知らせてなくても、色々神経質になる時期もあります。
そういう時期でしたら、間違いなく飛行機はゲートに戻り、お客様を全員降機させて、機体の検査を行うことになるでしょう。
これが、私がその時に判断した内容です。
鉄道会社の安全対策は、脱線しないように、衝突しないように、お客様が怪我しないようにということが中心になりますが、航空会社は、そういうことはもちろん、それにプラスして、誰かが何か悪いことをするのではないか、ということも考えなければなりませんし、密航者などにも対策を立てなければなりません。
航空会社の安全に対する考え方は、鉄道会社とは全く質が違うものなのです。
でも、鉄道はお客様が神経質にならなくても安心して乗れるという点では、少なくても日本においては飛行機よりも優れていると私は考えます。
日本はいい国で、日本の鉄道は相互理解と相互信頼で成り立っているとても良いシステムなんです。
だから、私は、日本の鉄道は世界に誇れるといつも考えているのです。
さて、今から空港へ向かいます。
今日はどんなフライトになるか楽しみです。
セキュリティというのは、危険に対する考えられる最大限の認識とそれに対する準備をするということですが、ふだんはできる限り忘れて過ごさないと、胃腸がいくつあっても足りません。
それも、セキュリティの訓練なんです。
航空会社に電力会社を経営させたら、今よりはずっとマシになると思うのは私だけではないと思います。
なぜなら、それだけ準備をしたって、事故は発生するんだ、という前提で、航空会社はその対策も当然考えているから。
電力会社がそういう考え方をできるのであれば、「活断層かどうか疑わしい」という段階で、どうするべきか自ずと判断できるんじゃないでしょうかね。
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