臨時のキハ

ゴールデンウィークにお仕事頑張った皆様へ、いすみ鉄道が平日に走らせた臨時のキハ。
大好評でした。
ありがとうございました。
実はこの臨時は乗務員のハンドル訓練のための列車。
JRのOB運転士さんたちが昔の勘を取り戻すためのハンドル訓練としてこのところ運転してきました。
いすみ鉄道のキハは基本的には土休日の運転ですから平日には走りません。
だから土日が仕事の皆様方にはなかなかチャンスがない。
そういう話を聞いていたので、じゃあ訓練臨の運転日をお知らせしようということで、車両オーナー、サポーターの皆様方へ専用メールマガジンでお知らせしたものです。
この情報でいらしていただいた方は、さぞかし幸せな気分になれたことでしょう。
何しろ訓練臨は窓が全部閉まっているしヘッドマークもなしですから。
写真を撮るには最高ですね。
いすみ鉄道で幸せになった方は、その幸せをあなたに係わる多くの人に分けてあげてください。
そうすれば、いすみ鉄道から幸せの輪が広がることになるのですから。
さてさて、このキハの臨時は当分の間ありません。
今後、6月初旬までの間はムーミン列車の臨時がたくさん走ります。
これも訓練臨。
お客様はお乗りいただくことはできませんが、列車がたくさん走るのは見ていて楽しいものです。
今後2週間ほどの間は、時刻表に載っていない列車がたくさん走りますので、沿線の皆様方は十分にご注意ください。
次回のキハの臨時は運転が決まりましたら、またメルマガでお知らせいたします。
なお、6月中旬以降はキハ28の4VK(冷房用発電エンジン)を作動させる予定です。
DMH17の音がかき消されるほどの音ですので、キハのエンジン音をお楽しみになりたいお客様はお早めのご乗車をお勧めいたします。
4VKを作動させない、つまり「キハ28は冷房を使用しない」ってのもありかもしれませんが、指定席料金をいただいてる車両の方が暑いというのも「昭和」といえば「昭和」なんです。
昔、田舎から都会へ就職すると、帰省するときにグリーン車で帰ってくるというのが、一つのステータスと言われていた時代がありました。
「おら東京さ行くだ」の歌詞の時代です。
故郷の駅にグリーン車のドアから降り立つというのはさぞかし気分が良かったでしょう。
私が子供の時、夏休みに私が勝浦のおばあちゃんの家にいると、東京に就職した父の年の離れた弟(私にとっては「おじさん」なんですが、「お兄ちゃん」と呼んでいました)が東京から帰ってきてこう言いました。
「アキラ、グリーン車で帰ってきたけど、冷房車じゃなかったぞ。ほかの車両は冷房がついていたのに、グリーン車だけが冷房じゃないのはどうしてだ?」
私が鉄道好きだというのでからかい半分で聞いたのでしょうが、グリーン車など乗ったことがない私は返事に困りました。
その列車というのはキハ28の急行「そと房」で、そろそろ冷房化が始まったころの話です。
お兄ちゃんは、おばあちゃんから
「あんた、一等で帰ってきたの? ずいぶん贅沢になったわねえ。」と半分お説教になって、藪蛇だった会話を懐かしく思い出します。
そう、冷房化への移行期は、グリーン車にクーラーがなくて、普通車にクーラーがついているなんてことは、房総の急行列車だけでなく、東海道線でも横須賀線でも昭和52年ごろまで見られましたから、これも昭和なんですね。
指定席のキハ28に冷房がなくて、格下のキハ52に冷房があるってのも昭和だということは間違いないようです。
ちなみに、車両の格の話ですが、国吉駅にあるキハ30は短距離用の通勤形のコストダウン量産車ですから、格としては一番下。
キハ52は一般形、つまり、中長距離の普通列車用車両で、田舎に行くと急行列車にも使われていましたので、3両のうちの真ん中。
キハ28はときどき普通列車に使われたりはしていましたが、急行用車両ですから格は一番上ということです。
国鉄時代はこのように設計段階から区別されていて、電車にしても103系、113系、165系と用途別に分かれていたんですね。
今、急行という列車種別が使われなくなってしまいましたが、例えばE233が各駅停車でも中距離電車でも使われているのを見ると、おじさんとしては「????」と思ってしまうのです。
平成25年の今、いすみ鉄道にキハ30、キハ52、キハ28の3両が顔をならべているということをありがたいと感じる同士の皆様は、車両オーナー、車両サポーターになりましょう。
それぞれ、5万円、5千円ですが、安いもんだと思いませんか?
ただし、「5万円払ったから何してくれる?」とか、「5千円分の価値があるの?」というような即物的な方にはご理解いただけないと思いますので、そこのところをご承知の上お申し込み下さい。
大切なのは「思うこと。」なのです。