I ラブ 京成

3月末で京阪電車の「テレビカー」が引退したとニュースで言っていました。
電車の中でテレビが見られることのありがたさは、モバイル世代の今の若い人たちにはピンとこないと思いますが、私たちが子供のころはすごいことでした。
何しろ、昭和40年代初頭でもテレビがない家がたくさんありましたが、それよりも10年以上も早く、テレビ放送が開始されて、人々が街頭テレビに群がっていた時代に電車の中で移動しながらテレビが見られたのですから。
でも、京阪電車よりも先に、日本で初めてテレビカーを走らせたのは、実は京成電車なのです。
時は昭和29年。
京成電車は開運号という車両にテレビを搭載して、今で言うホームライナーのような形で、上野から京成千葉への通勤ライナーを走らせていたのです。
車内は座席定員制で、ビールの販売も行っていたと言いますから、すごいと思いませんか?
昭和29年といえば、今から60年近く前。
並走する国鉄は蒸気機関車が真っ黒い煙を吐いて走り、通路まで人があふれていた時代です。
そんな時に京成電車のお客様は、ビールを飲みながらプロレスやナイターを見ながら自宅へ向かっていたのです。
京成電車がすごいと思うのは、都営地下鉄と押上駅で連絡する際に、直接電車が乗り入れられるようにと、都営地下鉄と線路の幅を揃えるために、改軌と呼ばれる線路の幅を広げる工事を行っていること。
既に電車が毎日走っている線路を、1~2日間電車の運転を止めて、区間ごとに線路の幅を広げる工事を行ったのです。
そして、都営地下鉄1号線(現在の浅草線)との間で、日本で初めての乗り入れ運転を開始したのです。
先日の東急東横線と副都心線のように、今では電車の相互乗り入れなど当たり前にやっていることですが、日本で初めての相互乗り入れは何を隠そう、わが京成電車なのです。
成田空港への輸送もそうです。
当時は、国は成田空港への輸送は新幹線を建設すると決めていたのですが、そこへ京成が自社で空港まで線路を延伸。ところが国は、国の計画とは異なる京成の延伸に対して面白くなかったのでしょうか。ターミナルの地下へ直接の乗り入れを許さず、今の東成田駅の場所を「ここなら駅を作って良いよ。」と指定したのです。
本当ならば、国からそういわれれば鉄道事業者としてはあきらめるのでしょうが、京成電鉄はへこたれません。
ターミナルから遠く離れているのを承知の上で、東成田まで線路を伸ばし、成田空港駅としたのです。
もちろん、成田空港駅に降り立っても空港ターミナルではありませんから、その間はバス輸送。
それでもお客様は安価で時間的にも正確な京成電車で空港に向かうルートを選択しました。
成田空港延伸に際しては、同時に京成上野駅の大改装を行いました。
これは私も記憶していますが、上野の地下駅を大改装するのですから、当然上野駅はしばらくの間閉鎖。電車は全部日暮里折り返しでしたから、「日暮里行」という行先表示が珍しくてわざわざ見に行ったものです。
そして成田空港への輸送用に初代スカイライナーを新造しました。
でも、成田空港の開港が予定よりも大幅に遅れ、さらに悪いことに過激派に本格稼働前のスカイライナー1編成をテロ攻撃され燃やされてしまったのです。
そういう不運が重なって、京成電鉄は一時会社が傾き、上野駅前にあった京成デパートなどを売却しましたが、やがて不死鳥のようによみがえり、現在のスカイアクセスルートでわずか30数分で東京と成田空港を結んでいるのです。
それと、皆さんご存知でしょうか。
京成は東京ディズニーランドなどを運営するオリエンタルランドの親会社ということを。
今から40年以上前に、将来を見越してこういうビジネスを始めていたということは、私は凄いと思うのです。
もっとも、そのころ、船橋ヘルスセンターと谷津遊園というレジャー施設を経営していましたが、船橋ヘルスセンターは今流行の温泉保養施設の走りですし、谷津遊園は、日本で初めてぐるりと一回転するジェットコースターを走らせた遊園地です。
こういうすごい会社が、京成電鉄という会社で、私は本当に尊敬してしまいます。
だから、自分でも京成沿線に居を構えて、今でも東京へ行くのにも、成田へ行くのにも京成電車に乗っているのです。
そして、その京成電鉄の社員の皆様方が、昨日、いすみ鉄道でキハ52の貸切をしていただきました。
皆さんとても楽しそうで、私も飛び入り参加させていただき、1往復ご一緒させていただきました。
ふだん毎日鉄道の仕事をしていて、休みの時にこうやって皆で鉄道に乗りに来るなんて、京成電鉄は本当に鉄道が好きな人たちが働いているんですね。
だからやっぱり底力があるすごい会社なんですよね。
鉄道が好きで好きで仕方ない方々が集まっている会社は、活力があるのは当たり前です。
私はますます京成電鉄が好きになりました。
皆さん、ありがとうございました。

[:up:] 国吉駅で全員集合の記念撮影です。私もお邪魔しました。

[:up:] 帰りは国吉駅でヘッドマークを交換して撮影会。一般の観光客の方や子どもたちも参加していました。

[:up:] この方は職場の上司の方。大原駅でサボをご購入いただき、実際の列車に取り付けて記念写真です。
売店で陳列してあるサボをじっとご覧になっていたので、「買われたらどうですか? 実際に列車につけて走れば使用済みサボになりますよ。」と申し上げたら、「社長に背中を押されました。」とご購入。
ありがとうございました。

[:up:] 菜の花の中を走る車窓。沿線にはところどころにカメラマンがいましたが、走らないはずのキハ52が突然やってきたので皆さんびっくりしていたようです。
昨日撮影にいらしていた皆さんはラッキーでしたね。
京成電鉄の皆様方は自分たちが楽しみながら、周りの人たちにも幸せを分けていたのでした。