田舎だからこそ、インターネットの可能性

1月2日と3日に、いすみ鉄道からのお年玉企画として、朝8時台の列車をキハ52に車両交換して行った上総中野駅でのキハ52と小湊鉄道との出会い。
わずか4分間の出会いに2日間で150名以上の皆様にお越しいただきましたが、その時のシーンが昨日の千葉日報に載りました。

いすみ鉄道では、このようなイベントのご案内は、印刷物にして沿線の各駅に掲示したりチラシを配布するような方法は、コストとその効果を考えた場合、あまり有効ではありませんので、すべてインターネットでお知らせすることにしています。
そうすると、首都圏各地から、中にはもっと遠くからたくさんのお客様にいらしていただくことがゼロコストで可能となるわけですが、一つだけ問題があるのは、地元の人の多くがインターネットをやっていないため、こういうイベントが地元で行われたということすら気が付かない方々がいらっしゃるということです。
上総中野で正月早々この4分間の出会いのシーンを観るために、ふだんは静かな駅周辺にたくさんのお客様がお越しいただいたことを伝えるのは、地元の新聞に頼るしかないわけです。
ところが、今回のイベントでは、地元の方の姿も結構見ることができました。
カメラを持ったり、お孫さんと乗りにいらしたり、私が就任した当初、「いすみ鉄道からのお知らせはインターネットで行います。」と話したところ、「何だそれ?」的なリアクションばかりでしたが、わずか3年で、今ではいすみ鉄道沿線でもインターネットがすっかり定着して、10代~60代までの皆様でしたら、ふつうのことになってきたと思いますが、問題はそれよりもご高齢の皆様方でしょうか。
でもまあ、60代までインターネットが普及しているということは、10年経ったら70代まで普及するということですから、ここまでくれば田舎といえどもインターネットの普及は時間の問題かもしれませんね。
インターネットで配信する情報は、距離や時間が全く関係ありません。
だから、今までの情報のように、近場から周辺に広がっていくような伝搬の仕方ではなく、地元の人が全く気付かないことが、東京では常識になっていることなんてことが、何の不思議でもないのです。
そして、それは「待っている」のではなく、「取りに行く」ことだと思うのです。
ただ、私がいすみ鉄道沿線にとても可能性を感じるのが、発信する情報源が無限にあり、話題に事欠かないということです。
その情報源というのは、あくまでも都会や都市部に住んでいらっしゃる皆様方が喜んでいただけるような情報ですから、地元の人たちにとっては一見何の価値もないようなことかもしれませんが、「フキノトウが顔を出した。」「菜花がちらほら咲き出した。」「○○さんちのタケノコが収穫できた。」などという情報が、いすみ鉄道沿線には無限にあるのですから、すごいのです。
私が子供のころ、昭和40年代前半の話です。
ラジオ番組でプレゼントの抽選を行うことを発表しました。
「ご応募はお電話でお願いします。」と電話番号を放送したところ、数日後に苦情が殺到したそうです。
「電話がない人はどうしたらいいんだ!」と。
今となっては笑い話ですが、当時は、電話がまだまだ普及途中でしたから、真剣にこうクレームする人もいたのでしょうね。
数日たってというのは、電話がない人からのクレームが「手紙」で来たためですが、やはり当時も「待ち」の姿勢では物事はなかなか先に進まなかったと思います。
今、私はテレビの取材があるたびに東京のおふくろに電話をかけて、いついつ放送してくれるよって連絡していますが、日々、日常を距離も時間も関係なく共有できるように、私も、おふくろの家にインターネットを入れるようにしようと思います。
最初のハードルさえ越えてしまえば、年を取った人にこそ、インターネットは面白いと思います。
皆様も、かつて田舎の家に電話を入れた時のように、ご実家にインターネットの環境をプレゼントしてみてはいかがでしょうか。