このところ、私の航空会社時代の経験から学んだ教訓を「現代航空旅行用心集」と題して皆様にお伝えしておりますが、ここへきてとんでもない事態になりました。
アイスランドの火山が噴火して、ヨーロッパ中の空港が閉鎖され、飛行機が飛べない事態が発生しています。
昨日は成田からロンドンへ向かう4社の飛行機のうち、BAとVSが成田に飛行機を駐機させたまま「欠航」。
JLとNHが一旦出発したのちに成田へ引き返しています。
JL401便は昨日12時にロンドンへ向け出発し、シベリアの中部まで飛行してからの引き返しで、成田に戻ってきたのが夜の11時過ぎ。
NH201便も昨日は11時半に成田を出て、同様に夜の10時過ぎに成田に戻ってきています。
おそらくこんな状態は初めてでしょう。
英国籍の2社が成田を出発させずに欠航を決めたのに対し、日本籍の2社はそれよりも遅い出発時間にもかかわらず、いったん離陸してから成田に引き返しているのは、詳しい状況はわかりませんが、現地の情報入手密度の違いかもしれません。
火山の噴火は、1日や2日で収まるとは思えませんし、まして、このアイスランドの火山は約200年ぶりの大噴火。
前回の噴火では火山灰が地球全体を覆い、世界的な低温被害なども出たようですので、これから旅行に出発される方は、はっきり申し上げて「旅行をやめた方が良い」と思います。
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それでは、もし、すでに旅行を開始していて、現地でこのような状況に出会ったらどうするか。私ならこうするという観点からお伝えしたいと思います。
1:情報の入手
実際のところどういう状況なのか、正しい情報を入手するようにします。
インターネットが最適でしょうが、テレビのニュースなども見ることが大切です。
基本的には英語の情報と言うことになります。
海外からNHKのBSを見ることもできますが、絶対的に情報量に乏しく、眼の前の空港のことを半日たってから、数分程度のニュースで見てもあまり役に立たないと思いますので、やっぱり英語の情報を理解する能力は問われると思います。
もし、これができなければ、日本人で英語ができる人を近くに見つけ、その人から情報を得るのがいいでしょう。おそらくその人も日本に帰るために必死になっているはずですから。
2:宿泊場所の確保
帰る日が過ぎても飛行機が飛ばない以上、ホテルをチェックアウトしてはいけません。滞在延長を申し出ましょう。
最近のヨーロッパはどこも物価高です。
日本から申し込んだ格安料金のホテルでも、普通に泊まったら、ロンドン市内では250ポンド程度の金額を取られます。
おそらく、びっくりするような金額です。
「予約がいっぱいだから、この金額になります。」などと言われます。
予約がいっぱいでも、飛行機が飛んでないのだから、予約している人も来ることはできないと思いますが、とりあえずOKして、宿泊場所を確保してください。
その上で、安く泊まれるB&Bなどがないか探すようにしましょう。
絶対にチェックアウトをしてはダメです。
3:すこし落ち着いてから、飛行場に行ってみましょう。
当初、飛行場は大混乱しているはずです。でも、1日か2日たつと、落ち着きを取り戻すはずですから、そのころに飛行場へ行ってみましょう。
何か新しい情報があるかもしれません。
航空会社の予約センターに電話することは全く意味がありません。
第一、つながらないと思います。
インターネットが見られる人は、自分が予約した航空会社のサイトから予約データを取り出し、予約変更をすることができます。
今のような非常時には、予約変更が効かない航空券でも、自社便であれば、2週間以内の同じクラスに変更が可能なところが多いはずです。
とりあえず空いている直近の飛行機の予約を入れましょう。
その際には東京行にこだわらず、大阪でも名古屋でも、日本行の便であれば、どの便でも予約を入れることです。
その上で空港へ行って、新しい情報を入手することが大切です。
自分がもともと持っていた便が欠航となった以上、あなたは単なる「予約なしのお客」になってしまいますから、優先順位が下がります。
こういう時はとりあえず直近の予約を持っているお客様の方が、優先的に変更してもらえますから。
このようにして、ホテルと飛行場の間を何日間か行ったり来たりする必要があると思います。
夕方になっても新しい運行情報などが入手できない場合は一旦ホテルに帰り休んでから翌日出直すことです。
そのためにもホテルの確保は最優先ですね。
空港のロビーで何日も寝泊まりするはめになっている人たちを見かけると、ホテルがあることのありがたさが身にしみることでしょう。
4:航空会社は何もしてくれません。
今回のような天変地異や、911のような戦争行為などによる空港閉鎖や欠航などのときには航空会社は何もしてくれません。
なかには詰め寄ってくる人もいますが、やるだけ無駄です。
でも、本当に何もしてくれないのでしょうか?
私がここでいう「何もしてくれない」というのは、航空会社は費用負担に応じてくれないという意味で、職員が助けてくれないという意味ではありません。
航空会社の職員は、皆、接客のプロですから、困っている人を見かけたら何とかしてあげたいという気持ちになります。
そういうときに「何とかしろ」「ホテルを出せ」と詰め寄られても、「できません。自然災害ですから」と言う以外にありませんが、「何かアドバイスはないですか?」「お金は自分で払いますが、どうしたら良いですか?」というようなニュアンスで尋ねてみることです。
「少し遠いけど、ここなら宿があると思うよ」とか「空港はタクシーが長蛇の列だけど、地下鉄で数駅行けば楽に拾えるよ」など、いろいろと教えてくれるかもしれません。
ただし、空港内を歩いている航空会社の職員は、皆、きめられた任務があり、その途中のことが多いですから、あまり長く引きとめたりすることはできないと思います。
5:食料の確保
空港再開のめどが立つ、立たないにかかわらず、食料の確保が大切です。
ホテルが取れていれば最悪の場合、高くてもホテルで食事にありつけますが、ホテルがなくて空港ロビーで宿泊しなくてはならない時なども、食料と水は確保するようにしましょう。
以上がこういう状況に遭遇した場合、私ならこうするという判断基準です。
いついつまでに仕事があるとか、そういうことはとりあえず全て忘れることです。
それ以外に方法はありません。
そして、落ち着いて状況を把握して素早く判断できる状態に自分を置くこと。
これが大切です。
また、そのためには経済的な裏付けも必要になりますから、クレジットカードを複数枚所持するなど、海外旅行準備は怠りなくするようにしてください。
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それにしても今回の事態は数日続くかもしれません。
このゴールデンウィークにヨーロッパ旅行を計画されている方は、悪いことは言いませんので、今回はキャンセルして、いすみ鉄道のムーミン列車に乗りにいらしてみてはいかかですか?
ホテル三日月に泊まって、おいしいものを食べて、1泊2日でもとっても充実して過ごせますからね。
三日月がいっぱいなら、勝浦に良い民宿を紹介しますよ。
ヨーロッパの航空事情を知り尽くした私が言うのですから・・・
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