現代航空旅行用心集 その3 

国際線の航空機を利用する際に注意していただきたいこと。知っていたら役に立つことをお知らせする「現代航空旅行用心集」の3回目。
今回は飛行機の乗り継ぎについてのお話です。
航空旅行に関心がある方の中には「MCT」という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。
これはMINIMUM CONNECTING TIME、最短接続時間を意味する言葉です。
つまり、ある空港において、到着便から出発便への乗り継ぎにどれだけの時間が必要か、その最短を示すものです。
これは空港によっても違いますし、同じ空港でも国際線、国内線、またはターミナルによっても細かく規定されています。
一例ですが、成田空港では第1ターミナル内の国際線同士の乗り継ぎは60分。第2ターミナルになると110分となります。つまり、UA(ユナイテッド航空)の飛行機で成田について、AF(エールフランス)の飛行機に乗り継ぐ場合、時刻表上の到着時刻(STA)から時刻表上の出発時刻(STD)までどちらも第1ターミナル発着ですから60分あれば乗継ができるということです。
国際線から国際線への乗り継ぎでは入国審査、税関検査などがありませんので、到着したお客様は乗り継ぎ旅客用のセキュリティーを通って出発する便の手続きをするだけなので、「60分で乗り継ぎが可能です」、ということになっています。
でも、皆さん、ちょっと考えてみてください。懸命なる読者の皆様でしたら容易に想像ができると思いますが、このMCTの計算基準はあくまでも飛行機が定刻に到着することが前提になっています。
長距離国際線の場合、15分や30分ぐらいは途中の飛行ルートのジェット気流などの影響でよく遅れが発生します。
また、成田には定刻に到着しても、飛行機がゲートに入らず、沖止め(オープンスポット)と呼ばれる滑走路の近くに止められて、そこからバスなんてことになると、それで簡単に20分ぐらい余計にかかってしまいます。
また、国際線の場合、大抵は出発時刻の40分前に搭乗手続きを締め切り、30分前には飛行機への搭乗が開始されます。到着から出発までが正味60分しかない乗り継ぎのお客様は、実際には到着から20分以内に乗り継ぎ便のチェックインを行い、30分後には搭乗口に並んでいなければならないのです。まして到着の飛行機が遅れでもしたら。そして預けた荷物はどうなるの?
これが乗り継ぎ便の現実です。MCTはあくまで「最小」の乗り継ぎ時間でありますから、何とか乗り継ぎはできるかもしれないにしても、さまざまな要因が絡んできて、そのリスクはすべてお客様にかかってきてしまいます。
でも、予約を取ってくれる旅行会社は、「機械上予約が可能ですから接続できます」と自信を持って、そう返事するでしょう。そうしなければ航空券が販売できない、つまりお客様が他へ行ってしまうというのも、また現実であるからです。
これを回避する方法は2つあります。
まず1つは、空港ごとのMCTを旅行会社に訪ね、余裕を持って予約を取ること。何でもかんでも最短で、一番早く着く方法を探している時刻表マニア系の人は別として、旅行は余裕があると気分が楽になるもの。定刻に着いたら免税店に寄る時間として使ってもいいですから旅程には余裕を持ちましょう。
具体的にはMCTにプラス1時間見ておけば十分だと思います。
もう1つは同じ航空会社間の乗り継ぎ便を利用すること、または同じアライアンスグループの便を利用することです。
これは到着便から出発便への情報が事前に伝わるばかりでなく、成田を出る時点で乗り継ぎ便の搭乗手続きもできるため、多少到着が遅れてもゲートに向かえば乗せてもらえるというメリットがあるからです。
例えば、成田からの場合、DFW(ダラスフォートワース)経由でマイアミ(MIA)まで行くと仮定して、アメリカン航空同士ならば成田でDFW-MIAまでの搭乗手続きを済ませて、荷物もMIAまで札をつけてくれるというメリットがあるからです。
これからゴールデンウィークを迎えるにあたって、乗り継ぎ便を利用するお客様も多いと思います。
添乗員さんのいるグループでしたら心配ありませんが、特にエアオンと呼ばれる格安航空券を利用する予定の方は、一度旅行会社にMCTについて訪ねてみたらいいと思います。
航空券のみを販売する会社ではスタッフ全員が詳しい知識を持っているとは限りません。
「コンピューターで取れたのですから乗り継ぎは可能です。」というスタッフがいたら、乗り継ぎ空港でのMCTと実際に予約した乗り継ぎ時間を比較したほうがいいと思います。
例えば「DFWのMCTは何分ですか?」と質問すれば、相手も「こいつ、できるな」ときちんと対応してくれると思います。
インターネットで予約を取る場合も同様です。
コンピューターで表示される接続便は最短接続時間で自動的に表示されますが、それを選択したあなたは、必ず「同意する」とクリックしているはずですから、旅行会社に切符の手配を依頼すよ場合よりもさらなる注意が必要になります。
それでは皆様、良い旅を。
GOOD LUCK !