出たがり社長?

世の中には出たがり社長というのがいますね。
社長じゃなくても、部長でも次長でも課長でも、出たがりな人はいます。

テレビの取材なんかが来るとね、「俺が出る!」とか言って。
周囲の部下たちも社長が出たがりなのを知っているから、別に社長に出てもらわなくてもいいような案件でも「社長、社長」ってやらざるを得ない。
まぁ、忖度というやつですかね。
サラリーマンの悲しい性でもあります。

私もいろいろな取材を受けますから、カメラの前でしゃべったりする。
最近はだいぶ慣れてきましたけど、本当のことを言うとですね、実は嫌なんです。
髪の毛もなくなってきてるしね。(爆)
ハゲだから。

まぁ、ハゲでも出たがりの人はいるとは思いますが、私は嫌ですねえ。

ではなぜ私が出るかというと、実は、ひたちなか海浜鉄道の吉田社長さんの教えなのです。

今から16年前の2009年に私がいすみ鉄道の社長に就任したときに、すぐにひたちなか海浜鉄道の吉田社長さんが訪ねてきてくれました。
「一緒に頑張りましょう」ってね。
吉田社長さんも公募で選ばれた社長さんで、いわば先輩に当たります。
その時に、彼が言うのです。

「鳥塚さん、全部自分でやるんですよ。」

全部というのは営業も広報も自分でやるということ。

広報というのはテレビや雑誌などの取材のことで、営業というのはお客様への対応です。
そういうことを全部自分でやりなさい、というのが吉田さんの教えです。

なぜ?と私が尋ねると、「自分でやればタダでしょう?」と答えが返ってきました。

会社の立て直しや再生をするのですから、基本的にお金はありません。
お金がなければ社長が自分でやるのです。
外注を使えばお金がかかりますし、従業員を働かせてももちろん人件費や残業代がかかります。
だから、全部自分でやりなさい。

その吉田さんの教えを私は今でも守っているのです。

ひたちなか海浜鉄道の社長さんは、私にとっては松陰先生のような存在なのです。

あっ、どちらも吉田だ。(爆)

だから自分で取材を受けて、自分で答えるのです。
もちろん現場にも出てますよ。
私は現場第一主義ですから。

現場に出てお客様対応して反応や手ごたえを得る。
このところコロナを挟んでお客様の嗜好が随分変わってきているのを実感していますが、その前は東日本大震災。
あの時もお客様の嗜好や行動が大きく変わりました。
そういうことを感じるのも現場に出て自分でやっているからなのです。

ところが世の中には自分は第一線に出ないで、人に頭を下げる営業などは部下にやらせておいて、テレビの取材が来たという時だけ「俺が出る!」という社長もいるようですが、そういう人がいわゆる「出たがり社長」なのだと私は思います。

まぁ、これは自己顕示欲といいますか、「皆さん、私を見て見て」ということですから、本当はテレビ向けのアピアランスじゃないんだけど自分のことを素晴らしいと思っているんでしょうね。
テレビに出たがりだけじゃなくて、医者でもないのに医学の知識をひけらかしたり、弁護士でもないのに法律の知識をひけらかしたり、ネットの時代ですから、そういう自己顕示欲が強い人はいますよね。
だからネットというのは私は莫迦のあぶり出し装置だと思っているのです。

私は医者とも弁護士とも付き合っていますからよくわかるんですが、彼らは医学の話もしなければ法律の話もしませんよ。

青いパンタグラフの形をしたお薬が欲しいと言ったら「心臓に悪いからやめとけ」と言うし、ハゲを治す塗り薬が欲しいと言っても、「今のままで良いんじゃないの?」と笑ってるだけですからね。

鉄道屋さんも鉄道の知識をひけらかしたりはしませんから、鉄道の知識を得意になって話している連中というのは、自分は偏執的なマニアですと言っていることになってしまいますね。

つまり、人間というのは「自分を見て見て」「俺はこんなにすごいんだ」と言いたい生き物なんでしょうね。
それはそれで悪いことだとは思いませんが、だったらふだんからちゃんと人前に出て頭を下げましょうよ。というのが私の考えてありますから、私はハゲ頭を下げているのです。

ということで、SBSテレビ静岡放送が取り上げてくれました。
恥ずかしいですね。

私の家族は誰もオヤジが写っているテレビは見ませんからね。

でも、まぁ、自分が出ればタダですし、考えていることもダイレクトに伝わりますから。

ところで、考えていることといえば、大井川鐵道はありがたいですよ。

私が考えていることをすぐに理解するスタッフが各所に揃っています。
経営企画はもちろんですが、営業にも運輸にも車両にも、大井川本線はもちろん井川線にも、私が考えていることを「1」言えば「10」理解するようなスタッフが各所にいるのです。

だから、食堂車をやると言えば旧型客車の通路の窓に昔の字体で「食堂」などという表示が、何も指示しなくても気が付いたらついているんです。

ありがたいですよ。

まぁ、いつまでも私の時代ではありませんから、私の考えを若い人たちに受け継いでもらうことが、今の私の大きな使命でもありますからね。

ということで、SBSのニュースをどうぞ。

大井川鐵道はみんなで一緒に夢を実現させる会社にしたいと思います。
なぜならば、鉄道は夢と希望を乗せて走っているからです。

「夢はみんなで一緒に叶えていきたい」大井川鉄道にブルートレインを…ローカル鉄道“再生請負人”鳥塚亮社長の挑戦=静岡・島田市