本日は内職です。

10日後に迫った鉄道の日イベントに向けて、本日は内職です。

皆様ご存じだと思いますが、商売というのは仕入れた商品に利ザヤを載せて販売するというのが原則ではありますが、それは時として大変難しい状況に陥ることになる場合があります。

コロナが始まった時のことです。

確か2020年2月から3月にかけて。
観光鉄道に観光客が全く来なくなりました。

その時私は上越にいて、2月とか3月だとまだ雪が残っていて観光のシーズンは始まっていませんでしたが、千葉県はすでに春爛漫の観光シーズンでした。
その時に、銚子電鉄の竹本社長さんから電話がありました。
その電話の向こうで、竹本さんが言うのです。

「鳥塚さん、困ったことになりましたよ。観光客が来なくなって、ぬれせんべいが全く売れなくなりました。」

「ほう、そりゃ大変ですね。」

「今、銚子は観光のシーズンなので、ぬれせんべいをたっぷりと仕入れてしまったのです。で、その賞味期限が来てしまう。」

「賞味期限はいつまでですか?」

「4月です。」

あと2か月しかありません。

「そりゃ大変だ。」

ということで、インターネットで「銚子電鉄のせんべいを買ってください、お願いします。」と宣伝しました。

しばらくして、竹本社長さんから電話がありました。

「鳥塚さん、おかげさまでぬれせんべいは何とか売れることができました。ありがとうございます。」

「それはよかったですね。」

私がそう答えると、竹本社長が続けます。

「実は、困ったことが起こりました。」

「どうしました?」

「ぬれせんべいなんですが、インターネットで販売したので、決済金額が入金になるのが5月の末なんです。だから、現金がなくて、次に売る商品を仕入れられないのです。」

確かにそうだ。
対面販売ならば日銭商売だけど、ネットで売ったのですから決裁したお金が入ってくるまでに2か月近くかかります。
間もなくゴールデンウィークがやってくるというのに、次に売る商品を仕入れるお金がなければ商売になりません。
実は、この時点ではコロナがそれほど長引くとはだれも思ってはおらず、ゴールデンウィークに向けて皆さん準備をしていたのです。

「そうですか。それは困りましたね。」

竹本社長と私はその時点で10年近くのお付き合いがあって、千葉のローカル線で奮闘してきた仲間です。
その仲間の窮地を何とかしなければなりません。

少し考えてから私はこう答えました。

「今、問題になっているのは仕入れるお金ですよね。この間問題になっていたのは賞味期限でしたよね。つまり在庫の管理。」

「はい、そうです。」

「だったら、仕入れにお金がかからずに、賞味期限もなく、在庫の管理も必要のないものを売れば良いんじゃないですか?」

電話の向こうで竹本社長さんが、

「そんな商品あるんでしょうか?」

「ありますよ。一緒に作りましょう!」

こうして出来上がった商品が、ご記憶の方もいらっしゃると思いますが、線路の石の缶詰です。

3個セットで1650円で販売して、8000缶売りましたよ。

商売の原則は世の中に必要な商品をお客様へお届けして適正な利潤をいただくことであると松下幸之助先生はじめ、かつての偉人たちが教えてくれていますが、私は、世の中に必要かどうかはわかりませんが、そういう商品で大きな利潤を得ることも商売だと思っています。

ただし、そのためには商売の極意というかノウハウというか、そういうものが必要で、そのためにはストーリーが必要なのです。
つまり、買いたくなるような仕掛けです。

線路の石を販売しようと思ったときに、私は「社長自ら拾ってきました。」と言いました。
銚子電鉄の竹本社長さんにも、「自分で拾ったものを送ってください。」と申し上げました。
この趣旨に賛同してくれた天竜浜名湖鉄道の当時の社長さんの長谷川さんにも、「社長が自分で拾って、それを送ってください。」とお伝えしました。
当時の天竜浜名湖鉄道の長谷川社長さんは、現在、お隣の静岡県菊川市の市長さんですが、社長自ら拾っていただいて、それを送っていただき、直江津駅構内で私が缶詰にしました。

これがストーリーです。

とまあ、世の中に必要なものは適正な利潤ですが、世の中に必要がないものというのは利ザヤなどはいくらだって買う人は買うのです。

観光というのは、コロナの時代には不要不急と言われました。
つまり、なくても別に構わないものであり、人間が生きていくためには当面必要がないものということです。

だから、人間は観光にはお金を使うのです。
普段は500円で昼飯を食べている人も、観光地へ出かけたら2000円、3000円のご飯を食べる。
世の中に必要がないものほど、私は高く売れると考えるようになりました。
そして、もともと世の中に必要がないものですから、別段仕入れをする必要もなく、賞味期限も関係なく、在庫管理も必要がないのです。

つまり、これが商売なのです。

ということで、前置きが長くなりましたが、本日の私の内職はこちらです。

切符作りです。

ちらっとお見せしますね。

「何か捨てるものありませんか?」

部長さんたちに聞きましたら、いろいろ出てきました。
もう使えなくなったきっぷです。
こういうものがたくさん眠っているんですね。

でもって、間違えて使われることのないようにこうして日付を入れました。

せっかくなので「にゃんにゃんにゃん」とラッキーセブン。

昔の駅名の切符や、今は動いていない区間の切符、、無人駅が有人駅だった時代の切符などがたくさん出てきましたので、こういう切符を詰め合わせて、特別セットにしてお台場のイベントで販売しようと思います。

仕入れがなくて、在庫管理がなくて、賞味期限がないでしょ?

でもね、これらの切符は見る人が見たらその価値が分かる垂涎モノですからね。
つまりこれがストーリー。

もともと日常生活には必要がないものですから、価値が分かる方にだけご理解いただければ良いのであります。

さて、チラ見せはここまで。
あとはイベント当日のお楽しみです。

一応私が選別したものですので、数量限定となります。
単なる廃札とは違いますので、これは買ってのお楽しみ、開けてのお楽しみですよ。

ということで、明日も続きの作業をします。

皆様、お台場のイベントでお待ちいたしております。

PS

▼本日発表がありました本件に関しましてはコメントする立場にはございませんので、取材等はお受けいたしかねます。ご理解のほどよろしくお願いいたします。
概要 | 鉄道 | 運輸安全委員会

RA2025-5-1.pdf