風船爆弾の頃

アメリカやカナダで気球が次々と撃墜されているのがニュースになっています。

笑ってはいけませんがおもしろい。
何が面白いかというと、気球を戦闘機が撃墜していること。
時々見失ったりして。
領空を出る前に、たぶん必死になって撃ち落としてるんでしょうね。

ドローンもそうですが、地対空ミサイルや戦闘機で必死になって撃墜する。
1つ撃墜するのに地対空ミサイル1発いくらなのでしょうか?
戦闘機の出撃はいくらコストがかかるのでしょうか?

ドローンなんて5万か10万でしょうけど、それを高額な兵器で撃ち落とすとすれば、どんどん飛ばした方が勝ちのような気がします。
気球も、大した金額じゃないでしょうから100個や200個どんどん飛ばせば、戦闘機が必死になってスクランブルをかけたりするだけでかなりの消耗戦になりますから、なんだかな~、だと思いませんか。

で、思い出したのが第2次世界大戦中の日本軍の風船爆弾。

つまり気球ですが、気球に爆弾を取り付けて飛ばしたんです。
おそらく何千個とかだと思いますが、どこから飛ばしたかというと千葉県の房総半島から。
以前に地域を歩いていた時に外房線の上総一ノ宮駅から九十九里海岸へ引き込み線が出ていたという歴史を知りまして、名残りがないか歩いてみたことがありました。

その引き込み線こそが、日本軍が作った軍用線で、九十九里海岸から風船爆弾を飛ばすための路線だったのです。

偏西風に乗せればアメリカ大陸まで何時間で行くと計算して、向こうへ着くころに破裂して地上へ舞い降りて爆破するという何とも原始的な方法で、気球の材料は紙ですから鉄やガソリンがなかった日本にはうってつけの兵器だったのでしょう。

で、どうなったかというと、本当にアメリカ本土へ届いたんです。
その風船爆弾が。
そして原っぱでピクニックを楽しんでいた家族を直撃して6人が亡くなった。
そのうち5人は子供で1人は妊婦さん。(私の記憶ですから間違ってたらごめんなさい。)

これ、アメリカ本土が爆撃された初めての大陸間兵器になったのです。

昭和20年春の話。
終戦の数か月前ですね。
でも、アメリカ人はそういう卑劣な、何の罪もない民間人が、それも妊婦や子供が犠牲になることが許せないと大激論になった。
そして、この戦争を終わらせるためには原子爆弾しかないという方向になったのでしょう。

だから、今回の気球も必死になって撃墜するのかもしれません。
日本には伝わってはいませんけど、アメリカ国内では日本軍の風船爆弾の話が出ているかもしれませんね。

いずれにしても、気球を乱発してお互いを非難しあうような状況は、今が「戦前」なのかもしれないと、何となく不安になるのであります。