かき込み需要

西九州新幹線(長崎-武雄温泉)が明後日9月23日に開業します。

そうなると在来線の特急「かもめ」が廃止になり、長崎本線の並行する区間がJRの手を離れて並行在来線扱いになります。

今、多分、その区間では最後の乗車をと、皆さん殺到しているのではないでしょうか。

いわゆる駆け込み需要というヤツです。

私はあまりごった返してから行くことはありません。
いつも通りの普段着姿の鉄道が好きですから、長崎には初夏にお邪魔しています。
そして在来線「かもめ」はそれが最後となりました。

そういえばこのところ雪月花にもたくさんのお客様にご乗車いただいております。
10月1日からリニューアルになりますので、現行のサービスをもう一度楽しんでおこうという、こちらも言うなれば駆け込み需要というものでしょうか。

雪月花は定員制ですので駆け込み需要と言ってもごった返しているわけではなくて、開放感のある車内でゆったりとおくつろぎいただいておりますが、ありがたいことです。

かくいう私は今日は朝の新幹線で出張に出ました。

上越妙高からは「はくたか」になるのですが、朝の時間帯は長野駅であとから追いかけてくる「かがやき」に接続します。
今日の電車も「次の長野駅で9分間停車します。」

実際には「かがやき」は臨時のようで今日は来なかったんですが、でも「9分間停車します」という声を聞くと、やはり席を立たないわけにはいきません。

その理由は、これです。

長野駅ホームの立ち食いソバ。
9分間の儀式です。

それにしてもこのかき揚げデカいですよ。
でも、かけそばとの差額は100円。
だからつい頼んでしまうんです。

でも、9分間ですからね

汁は熱々なので、天ぷらをひっくり返して、汁をしみこませると少し温度が下がる。
そうしてしっとりさせるのが私好み。

その間に横からそばを食べて、大変なんですよ。
何しろ9分ですから。

いや、9分というのは電車がホームについてドアが開いてから、ドアを閉めて発車するまでの間ですから。
私は安定の8号車
蕎麦屋さんは5号車あたりだったかな。

たぶん往復で2分。
発車1分前に戻るとして、実質6分。
券売機で食券を買って、おばちゃんがそばを出してくれるまでに2分かかるとすれば実質4分
4分で熱々のそばをかき込むという、つまりは駆け込み需要ならぬ「かき込み需要」なのであります。

今日は同業者は他に1名様だけでしたが、ここのお蕎麦屋さんは多分そういう需要がかなりあると見えて、営業時間も小刻みに設定されている。

ふらりと行って食べられるような代物ではないのであります。

ところで、今日は「はくたか」を大宮で降りて「つばさ」に乗り換えたのでありますが、宇都宮で今度は「後続列車の通過を待ち合わせます。2分少々停車します。」というアナウンスが。

2分少々?

その少々って何だ?

そう思ったものですから電車が駅に停車してから時計を見つめた。
ドアが開いて隣の線路を「はやぶさ」が通過していくまでに1分10秒。

「すごいなあ。1分後ろから時速300キロで追いかけてきていたんだ。」

そして乗っていた「つばさ」のドアが閉まって動き出すまで1分10秒
合計2分20秒

2分少々とはこのことか。

東海道新幹線だと2本に抜かれることもありますが、東北はまだそこまで行っていないようですから、2分少々では「かき込み需要」は無理ですね。

そう考えると新幹線の停車時間中にそばが食べられる「はくたか」の長野駅停車はかなり貴重な体験ができるスポットではないでしょうか。

昭和の時代は長時間停車が当たり前で、ホームではいろいろなイベントがあったのですが、今は遠い昔。
でも、意外と現代でもあるかもしれません。

西村京太郎さんが御健在ならトリックに使えたかもしれないですね。

ちなみに下りホームのそば屋さんは数年前に閉店してしまいましたので、上りホームのみとなります。