Revenue Management

以前にもRevenue Managementのお話しをさせていただきましたが、調べてみたらもう7年も前。

最近ではかなり進化しているようです。

Revenue Management とは日本語で言うと収益(収入)管理ということになると思いますが、どういうことかというと、「売れるときは高く売り、売れないときは安く売る。」ということです。

こういう売り方をしなければならない商売というのは、簡単に言うと「今日中に売れなかったら明日になったら売ることができない商品」を売る商売で、スーパーマーケットなどはその良い例で、お弁当やお総菜、お刺身などは明日になったら売れませんから今日中に売ってしまわなければなりません。だから、廃棄するよりはましということで少しでも収益を得ようと、夕方になってくると、20%、30%、そして半額など、時間が経過するとどんどん値段が下がって行きます。

お客の方も心得たもので、そろそろ値引きの時間になるころには売り場にみんな集まってくる。

「20%か。まだまだだな。」ともうひと回り売り場を回ってくればさらに値段が下がるだろうと思っていると、他の人がサッとカゴに入れてしまったり。

お客とお店との駆け引きばかりじゃなく、お客同士の駆け引きも繰り広げられるのがスーパーマーケットの夕方なのであります。

お弁当やお刺身だけじゃなく、翌日になったら売れなくなるものというのは他にもありますね。
飛行機の座席はドアを閉めてプッシュバックしてしまえば商品価値はゼロだし、ホテルの部屋も翌日になったら商品価値はゼロです。

今日の売れ残り分の部屋を在庫にしといて明日売ろうというようなことはできませんから、お値段を上手に操作して売り切ってしまうことが必要ですし、かといって観光の時期などに最初から安く売る必要もありません。

このあたりの見極めが収益を上げるためには大変重要なカギになってくるのでありますが、これがすなわちRevenue Managementということになるのです。

ということで、このあいだ久しぶりにこの収益管理を感じましたので今日はそのお話です。

実は、今週札幌へ出張予定が入っています。
知り合いの北海道庁に勤務する友人が、しばらく会わないうちになんだかとても出世したようで、ではご挨拶がてらいろいろ現状をお伺いしようと会いに行くのですが、6月中旬に予定が決まった時に札幌のホテルを予約しました。

私のお気に入りのホテルで、ホテル自体は古いのですが部屋が広めなのと、昨今のコロナ禍でもきちんとブッフェ形式の朝食を提供していて、サービス熱心な印象があるホテルなので定宿にしているのですが、ネット予約で1泊1万円ちょうど。

今まではだいたい6000~7000円で泊まれていたので、ちょっと高いなと思ったのですが、考えてみれば夏休みの札幌だし、このところ安い旅に慣れてしまっているので、「まぁ、妥当な線だろう。」と思ったのです。

そして先週、「そういえば第7派でオミクロンが猛威を振るってきてるからホテルの値段はどうなってるのだろうか。」と思いまして、ネットで調べてみたら1万円だった同じ部屋が8000円になっている。

「おっ、安くなってるな。」

そう思いまして、予約を取り直そうと思ったんです。

ところが、キャンセル手続きに入って「確認」を求められてよく読むと「キャンセル料金が20%発生します。」と書かれています。

つまり1万円の部屋を20%のキャンセル料金を払って8000円の部屋を取り直すことに意味があるのだろうか。

無いですよね。

そのままでも取り直しても結局同じ。

「さすが、うまく考えられてるなあ。」

なぜなら、ホテルとしては値下げしたところで前から高い部屋を予約していたお客様に逃げられてしまっては収益減につながりますから、そうならないように管理している。
もちろん担当者がそうやってコントロールしているのではなくて、多分AIがそうしているのだと思いますが、ということはここ数年でシステム的にかなり進んできているのではないか。そのシステムが、小さなホテルでも導入できるような金額で使えているということになるわけですから、つまり、収益管理という生き馬の目を抜くような商売を、それぞれのホテルが工夫を凝らして最大の利益を得られるようにやっているのが昨今の「翌日には売ることができない商品」を売っている商売なのです。

ところが、鉄道会社はどうかというと、どうもこれが上手にできていない。
それ以前の問題として指定席券の発売が1か月前というのが、まったく今の世の中の顧客嗜好に適合していない。

ライブやコンサートに行くのに3~4か月前に切符がとれたとして、ホテルを取りましょうということになる。それも取れる。
では、会場までの特急列車はというと、1か月前にならなければとれない。
高速バスも飛行機ももっと前から取れるんですから、どうしても特急列車という選択肢はなくなりますね。

その証拠に、先週、お盆の指定席の売り出し日でしたが、毎年やっていた駅に並んで指定席がやっと取れましたという光景がニュースになっていない。
コロナの影響が薄れて需要が回復しているのにニュースにならないということは、もちろん駅で切符を買う時代ではなくなってきているとはいえ、行列してまで電車に乗る時代ではなくなってきているのかもしれません。

今の時点でもまだ「たとえご家族連れでも座席の回転は禁止します。」なんてアナウンスを平気でしているような会社は、誰も乗りませんよね。

じゃぁ、4人掛けのボックスシートはどうするんだ?

お客様に選択してもらおうという姿勢を感じないのは私だけではないと思いますが。

新幹線は新潟と千葉の通勤だけ。
リーズナブルな切符を探して飛行機に乗って、良いホテルにリーズナブルな値段で泊まる旅が、私の旅のRevenue Managementなのであります。

2015.11.24のブログ「Revenue Management」

2015.12.5 Revenue Management その2

2015.6.19 東横インが1泊1万円になる日

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