大多喜駅前の駐車場が有料になりました。

もうご存知の方もいらっしゃると思いますが、ゴールデンウィークから大多喜駅前の駐車場が有料になりました。
入場から1時間までは無料ですが、その後は4時間まで300円、4時間を超える場合は1日最大500円で利用できます。
4時間まで300円、1日最大500円という駐車料金は、ふだん都市部で生活されていらっしゃる皆様から見れば、「取っても取らなくてもどちらでも良い」という金額だと思います。
300円といえば、東京都内でしたら30分間の金額ですからね。
でも、観光地としては、私は取った方が良いと以前から考えていました。
いすみ鉄道は観光鉄道として、たくさんのお客様にいらしていただく鉄道になりました。
鉄道というのは交通機関として考えた場合、「目的地へ行くため」に乗るのが本来のあり方だと思いますが、観光鉄道の場合は「乗ることそのものが目的」で、「乗るためにわざわざ来ていただく」のですから、私は首都圏の皆様方に車で来ていただいても良いと思っています。
特に、来年には圏央道が大多喜町のすぐ近くまで伸びてきますので、たくさんの観光客の皆様方に気軽に大多喜にいらしていただくためには、車のお客様を呼び込むのが必須なわけです。
ところが、今までは大多喜駅前の駐車場が「無料」だったのです。
まあ、ふつうの方にしてみれば「無料」ほど良いものはないと考えられると思いますが、観光客など外からのお客様を呼び込む場合は、「有料」の方がお客様にとって安心していらしていただけると私は考えます。
事実、それまで無料だったときには、大多喜駅前の駐車場にはどこの誰のものか知らないダンプカーが堂々と停まっていたり、廃車になった自動車が放置されていたりと、観光で初めてきたお客様から見たら、「ここに停めて本当に大丈夫だろうか?」と、セキュリティーに不安を感じるような状態でした。
そこで、私がいすみ鉄道の会長である大多喜町長に相談して、たとえ数百円でもよいので有料にしてくださいとお願いしたのです。
こういうのを受益者負担と言うのだと思いますが、私などもふだん車で移動する生活をしていますのでよくわかるのですが、僅か数百円でも、「行けば必ず停められる場所がある」、「安心して停められる場所がある」というのは観光のお客様にとっては大事なことなのだと思います。
(先週話してきましたグリーン車に関してと同じ考え方で、わずかの金額で受けられるサービスの選択肢が増えるということの大事さです。)
また、その数百円が惜しいという方は、自分でどこに停めるか、リスクを含めて考えれば良いだけのことだと思うのです。
ところが、田舎の人にとってみると、駐車場というのは無料が当たり前という感覚がありますから、町役場がお金を取ることに対してどうしても抵抗感があります。
特に、今まで無料をいいことに、まるで自分の駐車場のように我が物顔で使っていた人ほど、「町役場はけしからん!」となるわけです。
商店街に来る人が停めた場合は各商店で駐車券をサービスするなど、いろいろ方法はあると思いますし、事実、町役場としては、今まで自分の駐車場として町営駐車場を使用していた人に対しては、1軒に1台分は無料で提供しているのですが、要はそういうことではなく、有料にしたこと自体が気に食わないのでしょう。
「あれはいすみ鉄道の利用促進を図るために、地元の人が土地を提供して無料にしたのに、有料にしたら誰もいすみ鉄道を利用しなくなるじゃないか。」など、ありがたいお言葉をいただくのですが、「では、いったい地元の人がいすみ鉄道を利用するために車で駐車場まで来るのは何人いますか?」と聞き返したくなるような現状の検証は伴っていません。
そういう苦情は、ごく一部の人が言っているだけのことなのですが、そう言う人に限って声だけは大きいようですから、地元では「大問題」のように思われているわけです。
こういう議論を日本語では「時間の無駄」と言います。
ちなみにこの大多喜駅前の駐車場の有料化で一番負担が増えているのは誰だかご存知ですか。
それは、実はいすみ鉄道なのです。
いすみ鉄道は職員全員がこの駐車場を利用していますから、合計すると年間にして数十万円の負担増になっています。
それも職員各自の自己負担です。
元はと言えば私が言い出したことですが、うちの職員は皆事情を理解してくれていますので、誰も文句を言わずに負担に応じてくれています。
えっ、いくらかだって?
1日24時間停めて1ヶ月2000円です。
この程度のことでもいちいち議論になるようでは、物事を先に進めることに支障をきたしますから、どんどん町が廃れていく原因になるのです。
観光客の皆様、いすみ鉄道に車でお越しくださるときは、大多喜駅前の有料駐車場をぜひご利用ください。
昔よりも広くなって、安心してお停めいただくことができるようになりました。
昨今では、どこでも駐車場をどう確保するかということが大きな課題となっていますが、いすみ鉄道はすでにこの課題をクリアしているのです。
それともう一つ。
大多喜では庶民の味方のK察が不慣れな旅行者を手ぐすね引いて待っている「場合があります」ので、駐車料金500円は正しいお金の使い方だということをご承知おきください。
(あ~あ、またけんか売ったかな。誰かがいろいろ言ってくるかもしれませんが、その場合はまたお話させていただこうと思います。この話の後日談をどうぞお楽しみに。)