昨日の晩、NHKのクローズアップ現代でJR北海道の話題をやってました。
おなじみの六角さんがコメントされていましたが、興味深く拝見させていただきました。
JR北海道の問題とはいえ、これを許してしまうとなし崩し的に全国のローカル線網を破壊してしまう危機がありますから、NHKもそのあたりを捉えて、先日から各地でいろいろ特集しているようです。


JR北海道の社長が出てきて、いつものように「当社は民間会社でありますから・・・」とお決まりのセリフ。
JRの連中は何かあると必ず「当社は民間会社であります。」って言うんですよ。
根本がわかっていないから。
国から何千億円ももらって会社をスタートさせているのに、何が民間会社だ。
全国津々浦々に輸送サービスを提供するための会社だろう。
だいたい、我々民間企業の人間は、「私たちは民間会社です。」なんてことは言わないのよ。
そこがそもそもズレている。
TOPがそうだから、こういう会社は駄目になるのです。

われらが若桜鉄道の山田社長が登場。
これが民間会社として極めて当たり前のコメントです。
つまり、お客様にご利用いただくための努力。
お客様がいなければ、需要を開拓して需要を創造しなければなりません。


隼駅は今や全国区になっていて、これだけたくさんの「隼」が集まるイベントも行われます。
でも、だからと言って、集まったライダーたちが若桜鉄道に乗るわけでもなく、イベントでのグッズ販売で鉄道会社が黒字になるわけでもありません。


でも、地域の人たちがこれだけ鉄道を大切に思ってくれているんです。
これはね、「郷土愛」なんですよ。
その郷土愛を若桜鉄道が芽生えさせているわけで、自分たちの地域が好きだって言うことが地方創生のスタートですから、私は若桜鉄道が地域住民の皆様方の心の中にしっかり根付いていると思います。
これが上下分離で、下の部分の線路の維持管理や修繕費用などの経費を地元の行政が負担していただいていることの意味だと思います。
観光をやったって、いくら上下分離をしていたとしても、鉄道運賃収入ではなかなか黒字にはなりませんよ。
だって、完全上下分離の路線バスが赤字なんですから。
でも、ローカル線から情報発信して地域に人が来る。
そうすれば鉄道運賃収入には直接は結びつかないかもしれないけれど、地域全体でトータルに考えたらプラスになる。
これが、私もそうだし山田社長もポリシーとして持っているものなんです。
JRにはこういう発想はない。
走らせてやっている。なのに地域住民は乗らない。だから廃止にする。
地域住民も、JRちゃんとやれ。走らせろ。国はちゃんとやれ。
そういう依存型社会が多いのです。
この番組を見ていて気になったことがあります。
「鉄道は費用対効果で、儲からなければバスで良いのではないか。」
「貨物列車がなくても、高速道路があるのだから、トラック輸送の方が速くて便利でしょう。」
そういうコメントや意見がたくさん出ていたことです。
ローカル線だけじゃなくて、今や○○本線も分断されている状態で、今後どうなるか非常に不安なんですが、別に鉄道がなくてもバスで良いんじゃないですか。トラックで貨物を運べばよいんじゃないですか。そういう人たちはこの国の現状、地域の現状をたぶんご存知ないんですよね。
そのバスやトラックはいったい誰が運転するのでしょうか。
もう、ドライバーがいないんです。
ドライバー不足が深刻化して、一部地域では高速バスも満足に動かせない。
そんなところばかりなんです。
だから、大きな高速バスの事故があってみると、実は運転士が中国人だったり、高齢者だったり。
いすみ鉄道の大多喜駅や大原駅の駅前で待っているタクシーをご存知だと思いますが、ドライバーは皆さんシニア世代の方々です。
若いドライバーなどほとんどいない。
長距離トラックだって同じです。
これがこの国の現状なんです。
だから、貨物列車を廃止してもトラック輸送で代替できないというのが現実です。
1本の貨物列車は大型トラック10台から15台に匹敵しますからね。
では、その部分をどうするか。
ヨーロッパやアメリカでは長距離トラックは誰が運転しているかご存知ですか。
主として移民の仕事です。
ニューヨークへ行ってタクシーに乗ってみればわかりますよ。
誰が運転していますか?
メキシコ人やプエルトリコの移民ですよ。
ということは、鉄道の廃止と、トラック輸送をどうするかということはトータルに考える必要があるわけで、極端な話をすれば、シリアの難民か中国大陸からの貧困層を労働力として受け入れるような政策を立てなければ、いずれこの国は立ちいかなくなる、ということなのです。
そういうことを考えたら、きちんと上手に運営しさえすれば、鉄道は維持するだけですから、それほど困難じゃないんです。
今から作ると言ったら大変ですよ。
でも、今あるものを維持するだけですから、新しく作ることに比べたらインフラとしてはとてもお安く利用できるのです。
ただ、JRにはそれができなかった。
なぜならば、「私たちは民間会社です。」などという頓馬なことを会社の代表が当然のような顔をして発言するような組織だから、企業理念はもちろん、民間企業の使命や自覚など、末端までなかなかいきわたらないからです。
儲からなければ鉄道をやめてバスにすればよい。
貨物列車なんていらない。トラックで十分だ。
というオピニオンは、「誰が運転するんですか。」ということを解決しない限り、何の裏付けもないということだけは、確かなんですから。

なぜか一瞬いすみ鉄道のキハも登場。
うれしかった。
山田社長、頑張ってくださいね。
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