鉄道趣味は年齢を超える。

いすみ鉄道にいらっしゃる皆様方を見ていると思うことがあります。

それは「年齢は関係ない。」ということです。

 

世間一般的には、年長者の話を聞くことを若者は嫌がります。

「また自慢話か。」とか、「お説教がはじまった。」とまあ、こんな感じでしょうね。

そりゃあそうですよ。おじさんが生きてきた過程の話や武勇伝などを話されたって、興味が持てるわけありませんから。

でも、鉄道趣味人を見ていると、歴史年表のような一本の物差しともいえる共通の基準がありますから、例えば国鉄時代の話でも、その物差しに照らし合わせてみると、年齢を超えて様々な年代の人たちが同じ尺度で価値判断できますし、東京と田舎ではさらに同じ歴史年表でも物差しの位置が違っていて、「へえ」と思うようなことがあるわけです。

昔から、新型車両は東京付近に投入されて、押し出されてねん出された車両が田舎へ行く。するとその田舎で走っていた車両がさらに遠い田舎へ行くというようなことが行われてきていて、山手線や京浜東北線で103系が走り始めると、それまでのチョコレート電車が房総方面へ行き、房総方面で走っていたディーゼルカーや蒸気機関車がさらに遠くへ行くというような話があったわけで、そういう話は今も共通ですから、古いものが淘汰されていく過程には、鉄道好きな若い人たちは興味を持つのです。

今人気のヨンパーゴなんてのは、最後に東北や北海道に集められたC61やC62みたいなものですからね。

また、古い車両の現役時代を知っているおじさんたちは、経験という点では若い人たちが逆立ちしてもかなわない存在でもあります。

それこそヨンパーゴに食堂車が連結されていて、そこでカレーライスを食べた話だとかは、今となってはできない貴重な体験ですし、ブルートレインでさえ過去のものになってしまった若い人たちにしてみたら、ボックスシートが連結された旧型客車の座席夜行などというものは、もう全く別の世界の話でしょうけど、おじさんたちにしてみれば、今の上野駅の13番線から、まさしくそういう列車に乗り込んで旅に出ていたわけですから、そういう話をすると若い人たちは目を輝かせて聞いてくれるわけです。

 

これが鉄道趣味という共通の物差しを持っているすばらしさで、いすみ鉄道の昭和のオンボロのキハの中では、おじさんたちにとっては昔懐かしいことが、若い人たちにとって見たら新鮮な話ですから、年齢に関係なくお楽しみいただけるとともに、そこに交流が生まれるということになります。

そして、そういう若い人たちだって、そのうちおじさんになっていくでしょうから、彼らがおじさんになったときに次に出てくる若い人たちと上手に接することができるようになるトレーニングでもあると私は考えます。

 

facebookでいろいろ投稿していただいているヨネノさんという方がいらっしゃいます。

元国鉄の機関士で80歳を過ぎた方ですから、ちょうど私の父の世代だと思いますが、SL時代の千葉の汽車の思い出をいろいろと書いてくれています。

ここでそのうちの2つをご紹介させていただきたいと思います。

かつて房総半島で見られた房総夏ダイヤの臨時列車のお話です。

蒸気機関車がけん引した海水浴臨時列車に乗務されていた経験談です。

(原文そのまま)

 

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夏の思い出:1
千葉機関区最後の夏、恒例の夏季輸送に向けて、小山機関区から千葉機関区にC58100が送り込まれて来ました。何処の機関区でも絶好調の機関車は手放しません。此の機関車は何故千葉に来たのか、其れは焚口戸が自動でなく、鎖の手動式でした。当時殆どのC58は廃車の機関車から取り外した動力焚口戸を取り付けていました。千葉・館山間往復3.5tの石炭を消費します。機関助士の連中は機関車の運用予定交番表を見て休暇をとります。此れは何処の機関区でも同様です。骨の折れる仕事はしたくない・・・。
我は其の時、機関士科教育終了して、機関士見習い前の機関助士で、最後のご奉公で連日C58100と付き合わせられ、大変な思いをしました。途中の木更津のカマガエは地獄そのものです。焚口のリングが真っ赤に焼け、熱いの何の、館山日勤が3日も続くとうんざり、同じ仕業C58とC57では気分的に楽で、今考えると良くやったものだと思います。夏の房総路は蒸機列車オンパレードで千葉機関区から蘇我機関支区に移り蒸機の無くなる最後の年まで夏季輸送とつき合わせられました。

 

夏の思い出:2
夏と言えば千葉局は夏季輸送です。蘇我機関支区は、新小岩・佐倉機関区から助勤をとり、お祭り騒ぎです。千葉局は全国に先駆けて気動車化しました。従って房総東西線は気動車のスジでの運転です。総武本線・成田線のつもりで運転すると、定時運転が出来ません。然し助勤に来る機関士は毎年同じメンバーで冒険好きが多いので直ぐに慣れます。
機関助士は助勤者とはコンビを組むのを嫌がります。其れは線路を熟知した機関士と組んだ方が楽出来るからです。この様な房総路、毎年館山地区は水不足で機関車に給水する水にも不自由しています。全ての機関車の給水は浜金谷までと給水制限・・・途中給水は浜金谷・木更津の給水となります。此の給水が機関士泣かせの何ものでもなく、皆必死でスタンド合致に頭を痛めます。浜金谷は、鋸山隧道を下ってきて、入駅制限速度50Km/hで制限ブレーキ後のスタンド合致ブレーキは難しく無事給水出来て定時発車出来た時はホットしたものです。館山発車時、両国まで無事に行けるか、浜金谷・木更津の給水がギリギリの時間で出来るかが悩みの種で、連日猛烈な暑さの中、綱渡りの様な運転の毎日でした。
架線から動力を貰って運転して居る者には理解しがたいモノがあります。
因みに蒸機列車のブレーキは基準ブレーキ扱い・給水スタンド合致ブレーキ扱い・前方が車止めターミナル駅のブレーキ扱いがあります。

 

注釈(給水ブレーキについての追加解説)

旧型客車はご存知の通り自動連結器を使用しています。密着連結器と違い遊間があります。基準ブレーキ扱いは、列車の衝動防止上、停車時各連結器は引っ張りの状態、言い換えれば列車全体が一つの塊の状態で停車させる為のブレーキです。給水ブレーキは給水スタンドに合わせる為のブレーキで機関車の単独ブレーキ弁で操作します。連結器が延びきった状態で機関車の単独ブレーキ弁を使用すると猛烈な衝撃が発生します。其れを避けるために連結器は圧縮状態でブレーキシリンダー圧力1.5キロ掛けておき其の状態で5Km/h以下とし後は機関車のみの単独ブレーキ弁で操作します。この場合は、発車時衝動防止に気お付けてのスタートとなります。

 

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昭和30年代後半から昭和40年代前半にかけてでしょうか。房総半島の夏季輸送を、機関車乗務員の側から見た経験のお話です。

こういう貴重な経験のお話は、若い人にしても、多分食い入るように読まれるのではないでしょうか。

私は、このような現場の話というのも、きちんと後世につないでいかなければならないと考えています。

 

多分他の趣味でも同じことがいえる部分があるとは思いますが、鉄道を好きな人たちは鉄道というテーマを通して、年齢関係なく共感できるということ。家では「お父さん、またその話ですか。」と言われているような話でも、後世に伝えていくべき貴重な体験談がたくさん埋もれているのではないか。プロの方々が撮影された貴重な写真にも、その撮影の際の裏話などを添えると、もっともっと1枚の写真に深みが出るのではないか。そんなことを若い人たちに伝えるような活動もしていきたいと考えております。

 

もちろん、長く継続していくためにはビジネスモデル化できることが前提になると私は考えています。

 

年長者の経験を若い人たちが目を輝かせて聞くような、そんなコミュニティーがあってもよいのではないかと思っております。

そういうビジネスモデルの一つが「ローカル鉄道ドットコム」です。

今のところライブカメラをローカル線の駅に取り付けたり、前面展望動画を見ることができたりといったサービスでスタートしていますが、鉄道を通したいろいろな情報のやり取りを含めた交流サイトを目指しています。もちろん無料で見ることができる範囲がありますが、有料会員となってログインしていただければ、さらに先のお楽しみが広がる仕組みです。

そして、その有料課金で入った収入を、ライブカメラを取り付けてくれているローカル鉄道に分配するというシステムですから、皆さんが自宅でインターネットをするだけで、ローカル線の支援につながるというビジネスモデルなのです。

 

会員になるには2つの方法があります。

 

方法その1:NTTフレッツ光に「ローカル線光GO」というポータルから会員になっていただくことで、サービスが受けられます。この場合、皆様方がNTTに毎月お支払いいただくインターネット料金の中から、ローカル鉄道に分配金が払い戻されます。

 

    「ローカル線光GO」のご案内はこちらです。

 

方法その2:ローカル鉄道ドットコムの有料会員に登録する。

マンション等にお住まいでインターネット契約変更できないような方は、直接「ローカル鉄道ドットコム」の会員登録することができます。ひと月1000円の料金ですが、例えばインターネットの回線切り替えに2年縛りがある場合などは、それまでの期間、こちらで会員になられるのも一つの手ですね。

 

    「ローカル鉄道ドットコム」のご案内はこちらです。

 

どちらかの方法で、会員になっていただくことで、頑張っているローカル鉄道の支援になるという仕組みです。

 

一つだけご理解いただきたいのは、世の中にはタダのものというのはありませんということで、サイトの運営やカメラの設置にはお金がかかっていますし、そのカメラ回線の維持管理にも費用が発生しています。その費用を回収して初めて支援につながるということですので、まあ、ちゃっかり見るだけの人はそれはそれでよろしいとお考えかもしれませんが、ローカル鉄道には何の役にも立っていないということなのであります。

1000円でどんなサービスが受けられますか? ということではなくて、1000円の会費で、あなたの内面の部分でローカル線とつながることができるということなのです。

 

今年中に、ライブカメラを10駅ぐらいまでに増やしたいと考えていますし、9月ごろからは会員様向けオフ会なども企画していますので、皆様のメンバー登録をよろしくお願い申し上げます。

 

【追伸】

そのうち、 「ローカル鉄道ドットコム」で、いすみ鉄道社長「裏ブログ」などというものをスタートする予定です。

本音トークは有料会員様のみということで、さらに過激に進化いたします。(笑)

そういうのも面白と思いますがいかがでしょうか?