昭和49年9月29日 日曜日
中学2年生の私はいつものようにカメラを持って電車に乗りに行きました。
昨日の続きです。
大塚と飛鳥山公園で保存SLを堪能した私は、王子駅から京浜東北線の電車に乗りました。
向かったのは西日暮里です。
まだ東北新幹線の工事が始まる前で、西日暮里駅のホームからは東北方面への列車がよく見えて、写真を撮るにはよいポジションでした。
▲485の特急「やまびこ」 上野と盛岡を結ぶ特急列車です。
新幹線開業後に「やまびこ」の名前は引き継がれました。
食堂車を組み込んだフル編成です。
▲旧型客車がバックでやってきました。
尾久へ帰る回送列車です。
貫通扉の所に人が乗っていますが、推進運転士です。最後部の機関車の運転士と連絡を取り合ってブレーキポイントや危険が発生した場合の非常ブレーキ操作や停止合図を出していた係員。上野に到着した客車列車のほとんどがこの状態で回送されていました。推進運転士はいつ見ても暇そうでしたが、雨の日などは大変だったでしょうね。
時速20キロぐらいで音もなくゆっくりゆっくり近づいてきました。
▲客車の推進回送が通り過ぎると、今度は181系の「そよかぜ」がやってきました。
「そよかぜ」は軽井沢へ行く臨時の特急列車だったと思います。
この181系電車は新幹線開業前の東海道本線の「こだま」型で、直流専用電車でしたから当時は「とき」「あさま」そして「そよかぜ」に使用されていました。
▲上の「そよかぜ」の後追いです。
こちら側にはボンネットの上部に帯がありません。
「おや?」っと思ってシャッターを切ったのかもしれません。
最高速度記録車両だとしたらヘッドマークの下にプレートがありませんし、今もってよくわかりませんが、この「そよかぜ」は181系ボンネットでも前と後ろで雰囲気が違っていました。
食堂車も連結されていたはずですが、軽井沢までの単距離特急ですから営業していたかどうかまではわかりません。
▲さて、西日暮里から一駅乗って日暮里にやってきました。
京浜東北線南行のホームから見た京成スカイライナーです。
成田空港の開港が遅れに遅れ、空港特急として準備したスカイライナーが活躍の場がなく、昭和48年の年末から成田山への特急列車として走っていました。成田空港が開港したのが昭和53年ですから、この4年後ですね。
旧塗装の初代AE車です。
▲スカイライナーの次は3300でしょうか。まだまだピカピカの電車でした。
▲この場所は流し撮りの練習にはうってつけの場所でした。
真横から狙った165系です。
▲でも、待っていると次から次にいろいろな電車がやってきますから、3つも重なるとどうしてよいかわかりません。
京成電車と常磐線とヨンパーゴのボンネットです。
▲そのボンネットの最後部。
とにかく次から次へ、何も考えずに行っても何かしら収穫がありました。
▲最後はばっちり決まった流し撮り。
急行「まつしま」です。
本当はもう少し車両を前にもっていくべきでしょうが、このとき使っていたカメラはオリンパスの「トリップ35」。
絞りもシャッター速度もピントも調整できない自動の小型カメラで中学2年生が撮影した写真ですから、まあ上出来ではないでしょうか。
ということでこのネガはここでおしまい。
おそらくフィルムがなくなったので、このまま山手線の電車に乗って池袋乗り換えで板橋の家に帰ったのだと思います。
でも、485も455も京成の3300も、つい最近まで活躍していたんですね。
そういう意味では昔の車両は丈夫で長持ちだったんですね。
10代の頃の思い出の車両が、ずっと現役でいてくれたことに感謝です。
感謝といえば私の思い出は蒸気機関車。
その蒸気機関車が昭和40年代後半に全国各地に保存されました。
彼らはいったい今どうなっているのでしょうか。
いくら昔の車両は丈夫で長持ちといっても、40年以上が経過していますから、相当傷んでいるものもあるのではないかと思います。
当時のおじさんたちが一生懸命活動して、将来の子供たちのためにと自分の地域の公園などに蒸気機関車を保存してくれました。
そのおじさんたちは40年も経てばもうお爺さんだし、中にはお爺さんを通り越して、鬼籍に入られている方もいらっしゃるでしょう。
つまり、保存活動が途絶えて、荒れ放題になっている機関車があちらこちらにあるのではないかと思います。
そう思うと、なんだか心が痛みますね。
私は自分の大事な思い出の蒸気機関車に感謝しています。
いろいろ私の人生のモチベーションになってくれて、大きな役割を果たしてくれました。
今、鉄道の仕事をさせてもらっているのも、原点は蒸気機関車の存在です。
何とか、そういう放置されている蒸気機関車に光を当てて、できれば一堂に集めて、ピカピカにして後世につないでいきたいと考えています。
そのための方法を模索しているところですが、何か良いアイデアがございましたらお知らせください。
と、こんなことを言うと、たくさんの人が、「〇〇公園にデゴイチがありますよ。」などという情報をくれそうですが、そういうことではなくて、良いアイデアというのは、つまり「お金」と「活動してくれる人と技術」と「一堂に会する場所」でございます。
この3つがそろえば実現可能だと考えております。
新しいビジネスになりそうですね。
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