みんなのいすみ鉄道

ローカル線は誰のもの?
昭和の時代からずっと、ローカル線は「地域住民の足」として活躍してきました。
だから、「ローカル線は地域住民のものである」と思われているようですが、それは、建設当初の考え方ですね。
日本のローカル線はだいたいが戦前に作られたものです。
当時は自家用車などありませんし、道路の整備も進んでいませんでした。
だから、全国津々浦々の支線まで鉄道が作られたわけですが、建設から80年以上が経過して、建設当初の役割は終わっているというところがほとんどだと思います。
だから、正確には「地域の足」と言えるのは18歳までの高校生と、車に乗れなくなったおじいさんおばあさんのためで、少子化で高校生が減り続ける今の時代には「だったらバスでも十分でしょう。」という議論になってしまいます。
でも、ローカル鉄道の話をテレビでやると、必ず視聴率が上がります。
雑誌が特集すると販売部数が伸びます。
どうしてでしょうか?
それは、ローカル鉄道というのは、都会人のあこがれの対象だからです。
行ってみたいなあ。乗ってみたいなあ。いいところだなあ。
そういう気持ちが都会人をローカル鉄道に引きつけるから、みんなテレビや雑誌を見るのです。
鉄道マニアだけのものではありません。
ローカル鉄道には、鉄道だけじゃなくて、風景はもちろん、駅弁や、地域の名産品、お酒、温泉、そして地域の人たちの人情までもが全部含まれていて、それを都会の人たちが「いいなあ。」と思うわけです。
都会の人たちは満員電車に揺られて会社に行ってます。
最近では1時間以上通勤時間がかかるのは当たり前です。
そういう人たちが、満員電車に揺られて、疲れて会社から帰ってきて、ローカル鉄道のテレビを見るんですから不思議ですね。
今、電車に乗って帰ってきたのに、マニアでもなんでもない人たちが電車のテレビを見る。
それがローカル線です。
ということは、彼らは交通機関としてローカル線を見ていないわけで、つまり、ローカル線に対するあこがれは、交通機関に対してのものではなくて、田舎の情景や名産品、観光、あるいは田んぼのカエルや道端の道祖神など、田舎のあらゆるものが含まれていて、それをローカル鉄道がわかりやすく表現しているのです。
だから、ローカル線は都会人のあこがれの的なんですね。
ということは、ローカル線は都会の皆様方のものでもあるわけです。
朝日新聞デジタル 「みんなのいすみ鉄道」
本日の朝日新聞千葉版に書いていただきましたが、いすみ鉄道は決して地元の人たちだけのものではありません。
いすみ鉄道は都会の人たちを含めた、みんなのためのものなのです。
いすみ鉄道が走っていることで、都会の人たちの目が房総半島に向くわけです。
もしかしたら、移住したいと思う人もいるかもしれませんよね。
だって、いすみ鉄道につられて実際に来てみると、とっても良いところだということに気づくわけですから。
逆説的に言えば、いすみ鉄道が今のように情報発信していなければ、いすみ市や大多喜町がどれだけ名をはせたか、ということですよ。
いすみ鉄道が客寄せパンダになるだけだって、地域に貢献できると私は考えております。
朝日新聞さんだけでなく、今日は千葉日報さんも一面でご紹介いただいたようです。
(千葉日報の記事は こちら )
マスコミの皆様方は「地域の足」以外のローカル線の使い方をよくご理解いただいているということでしょうね。
そうして、結果として「地域の足が守られる」のであれば、それで目的は達成できるのです。
朝日新聞さん、千葉日報さん、素敵な報道、ありがとうございました。