あなたの商売敵(しょうばいがたき)はどこにいますか?

先日、町おこしに成功したとされる地域をけん引してきた有名な方とお話をする機会がありました。
町おこしというのは成功とか失敗とかいうものではなくて、町というのは生き物ですから、ちょっとでも気を抜くと、すぐに衰退がはじまると私もその人も同じ意見なのですが、その方が、東北のある町の商店街の店主さんたちの集まりに呼ばれて講演をされた時の話です。
「皆さんの商売敵(しょうばいがたき)は、どこにいると思いますか? 皆さんの商売敵は東京でもなければ仙台でもありません。皆さんの商売敵はアマゾンにいるんですよ。」
彼がそう言うと、聞いていた商店主の皆様方はポカ~ンとして、
「この人何を言ってるんだろうか?」という顔をしていたそうです。
日本全国で地方創生とか、地域おこしだとか叫ばれていますが、彼に聞いてみると、こんな感じの地域は結構存在しているようです。
でも、そういう地域でも、「アマゾンにいる。」ということを理解して、じゃあ、どんな手を打ったらよいか、つまり、自分からアマゾンに乗り込んで行こうかどうしようか、少なくともアマゾンの流域がどうなっているのか、徹底的に調査する必要があるなと考えて行動に移そうとする人たちも地域には少なからず存在します。
どういう人かというと、彼の話を聞いてポカ~ンとした人たちの息子さんの世代の人たちです。
「商売敵はアマゾンにいる。」という彼の話を聞いてポカ~ンという顔をした人たちはだいたい70代以上の経営者の方々で、その息子さんたち、30代~40代の方々は、「そうか、アマゾンか。」と思うのです。
そして、「じゃあ、我々もアマゾンに乗り込んで行こう。」とか「アマゾンを調査しよう。」という話になるのですが、こういう人たちが所属するのが青年部とか青年会議所と呼ばれる組織です。
でも、その青年部という組織の上には70代以上のおやじさんたちが牛耳っている組織があって、青年部の人たちが「アマゾンに乗り込んで行こう。」などという話をすると、ところによっては、「お前たちにはまだ早い!」「あいつの話に騙されるな。」とおやじさんたちにいなされてしまうこともあるようです。
でも、東京や大阪などの大都市の会社では30代から40代はバリバリの働き盛りで、「今働かなかったら、いつ働くんだ。」という年齢です。皆さん思う存分力を発揮して、そういう人たちの力が今のこの日本を動かしています。日本だけでなく、世界的に見ても30代~40代が世の中を動かしているというのがまぎれもない事実です。
にもかかわらず、田舎の町では「敵はアマゾンにいる。」と聞いてポカ~ンとするおやじさんたちが、自分たちの息子が「アマゾンに乗り込んで行こう。」というと、「お前たちにはまだ早い。」というところがあるわけですから、そういうところには地方創生とか、地域活性化はありえないのではないか。
その日、お昼ご飯を一緒に食べながら、私と彼と意見が一致したのがこの点でした。
「田舎の商店街の商売敵はアマゾンにいます。」ということが理解できないようなリーダーがいる地域でまずやらなければならないのは、そういうリーダーは今すぐ引退して息子さんたちの世代にバトンタッチすることが必要だと思いますし、これは全国共通のテーマなのではないでしょうか。
「商売敵はアマゾンにいる。」
意外とこの言葉、リトマス試験紙になるかもしれませんね。
皆さんも自分のおやじさんに尋ねてみたら、おやじさんが何を考えているのか、頼りになるかどうか、時代にマッチした商売を任せるべきかどうか、酸性かアルカリ性か、ということが解ると思います。
問題なのは、尋ねた相手がポカ~ンとしたのに、「お前にはまだ早い。」と言うのであれば、その時は、あなたの活躍する場所は、その町にはないということを理解しなければならないということですから、おやじさんたちに尋ねるときは、その覚悟をもって尋ねる必要があるということは心しておいてください。
30~40になって、自分の人生どうするか、そろそろ見極めて判断する必要性を感じている方にだけ、お勧めする方法であります。