キツネにつままれた。

季節外れの話題ですが・・・
正月2日に84歳のお袋を後ろの席に乗せて大原へ向かう山の中を通りかかりました。
その時、車の中にプ~ンと大根おろしの臭いがしました。
「アキラ、あんたオナラした?」と後ろの席のお袋が言いますから、「してないよ。」と答えたのですが、大根おろしの臭いが確かにして、同じ臭いをお袋も嗅いで、オナラの臭いだと思ったということです。
大原の酒屋さんへ行って商工会長の出口さんに新年のご挨拶をして、勝浦の地酒をお袋にお土産で持たせて、帰りにもう一度同じ道を通りました。
「さっきは確かに臭いがしたよね。」ということで、確認のために窓全開でその山道を通りましたが、オナラの臭いも大根おろしの臭いもしません。
「おかしいなあ。」と私が言うと、「さっき国吉駅でつき立てのお餅に大根おろしをかけて食べた時に、洋服にでも付いたんじゃないの?」とお袋が言いますが、そんなものが洋服に付いていたとしても、その時だけ一瞬臭いがするなんておかしいから、なんだか釈然としない思いが残りました。
そういえば、その出口さんと掛須団長と私が3人で車に乗っていた時のことです。
あれは昨年の12月下旬。知人の息子さんの結婚式が千葉市内であって、3人とも招待されていて、帰りは出口さんが運転する車に乗せてもらうことになりました。
冷たい雨が降る日で、すっかり日が暮れた時間帯でしたが、山の上にある会場のホテルを後にしました。
車のナビを「大原駅」にセットして、3人で「今日の結婚式は良かったですね。」などと話をしながら走ったのですが、どうも道が良くわかりません。
ナビに従ってしばらく走ると、なんだかだんだん心細い道になって、「この道でいいのかなあ。」などと話していると、目の前でナビの画面がパッと変わって、別のコースを示します。
出口さんが、「このナビ古いからおかしくなったかなあ。」とつぶやきながらもう一度セットして、ナビが示す方向へ車を走らせますが、やっぱり正しい方角を示してくれません。
そうこうしているうちに、見覚えのある道に出ました。
私が、「この道さっき通りましたよ。」というと、出口さんも団長さんも「そうだよね、さっき通ったよ。」
ということになって、3人で不安になったので、思い切ってUターンして、広い道を探しながらしばらく走ると、右上にさっき結婚式を挙げたホテルが丘の上にそびえているのが見えました。
その時点でホテルを出てから40分間も近くをグルグルさまよっていたのです。
「おかしいなあ、キツネにでもつままれたのかなあ。」
団長がそう言った途端、3人とも背筋が続々となりました。
季節外れの怪談ですが、不思議なことってあるもんですねえ。
人間1人の時にはどんな不思議なことがあっても誰も信じてくれませんが、オナラの臭いも同じ道をグルグルさまよったのも、私一人のときじゃなくて、他にも証人がいるんですから、こうしてお話しする気にもなるというものです。
そういえば、まだ暑い頃にこんなことがありました。
団長と「昼飯でも食べに行こうか。」ということになって、よく行く食堂に入ったんです。
なじみのおばさんが、「奥の座敷へどうぞ。」って言ってくれて、座敷に座ると、おばさん、「いらっしゃい。」って言って、お水とおしぼりを3つずつテーブルに置いたんです。
それを見た団長が、「きっともう一人見えるんだよ。」と言いますから、「白いおばあちゃんだろ。」と私が答えると、ちょうどクーラーの吹き出し口がこちらに向いてきて、2人とも背筋がゾクゾクとなりました。
まあ、リモコンから出ている赤外線だって、我々の目には見えないし、携帯電話の電磁波だって見えないし感じもしないけど、存在することは事実ですから、きっと、我々に感じないものが他にも存在するんでしょうね。
そういうことがあっても良いのではないでしょうか。
いや、なんでもわかってしまうよりも、少しはそういうことがある方が良いのではと思うのであります。
寒波襲来の折、さらに寒さが増すお話で失礼しました。
でも、実話ですから、何なら今度国吉駅で一人寂しく駅弁を売っている団長にも聞いてみてくださいね。
それにしても、いすみ鉄道沿線で私が就任した時から応援してくれていた方が、今年に入ってまた一人鬼、籍に入られました。
もっともっといっぱい話をしたかったんですが、とても残念です。
出てきてくれないかな~。
待ってるんだけど。
こういうことが続けざまに起きる時って、きっと何らかのメッセージが届くときなんでしょう。心のアンテナ感度を高めて受信できるようにしておかなければなりませんね。

2人で入った食堂でお水とおしぼりが3つ出てきました。
きっともう一人いるんだろうねえ。
そう言って記念写真を撮りましたが、何も写ってませんよね。