ロケ地になること。

吉永小百合さんの映画、「ふしぎな岬の物語」が話題になっています。
カナダの映画祭で賞を取りましたから、すごい評判ですね。
実はこの映画は千葉県の内房を舞台にしているのですが、駅のシーンはいすみ鉄道で撮影が行われました。


映画会社からパンフレットが送られてきましたが、しっかりと撮影地としてのいすみ鉄道が紹介されています。
いすみ鉄道の本社がある大多喜町は、毎年数百人のペースで人口の減少が続き、昔は城下町だったかもしれませんが、今ではいわゆる過疎地に指定されるほど疲弊しています。
そういう地域でローカル線が必要かどうかという話になると、私は、地域の交通機関としての必要性を問うやり方は限界があると思いますし、効果的ではありませんから、観光鉄道として収入を得る道を作ることが手っ取り早いと考えてこの5年間頑張ってきていますが、それは何もいすみ鉄道だけの問題ではなくて、大多喜町そのものの存在や必要性が問われているのが2040年問題でありますから、大多喜町もいすみ鉄道と連携して、新しいいすみ鉄道の使い方を模索すれば、当然観光を産業化して観光で外貨を稼ぐ方法をとることが2040年問題を生き抜く一番効果的なすべだと思っています。
その点では駅前の観光本陣を運営する観光協会の鳥居事務局長さんも私と同じ考えで、何とか観光でこの町を盛り上げていきたいと一緒に策を練っているのですが、どうしたらいすみ鉄道や大多喜町の存在を世の中に知らせて、観光客に来てもらうことができるか、その方法として、これまた手っ取り早いのが映画やドラマなどの「ロケ地になること」だと私は確信しています。
皆様ご存じの大林宣彦監督の一連の「尾道シリーズ」に代表されるように、それまで観光地でもなんでもなかった地域が、ある日突然観光地になることが可能なのも「ロケ誘致」の特徴でありますから、私はテレビや映画のロケ地にしてもらうために、自分の持てる力を惜しむことなく使っているわけです。
この映画「ふしぎな岬の物語」も、こういう話が突然やって来るわけではなくて、情報番組や旅番組などのいろいろな番組でテレビに便宜を図ってあげて、テレビ局や制作会社の人たちにできるだけ良い作品を撮っていただくことに最大限の協力をすることを繰り返し繰り返し行っていくことで、映画やドラマのような「大きな話」がやってくるのですから、大河ドラマ誘致のようにお題目を唱えているだけで願いがかなうわけではないのです。
さて、皆様は昨日テレビ東京系で放映されました小林稔侍さんの「鉄道警察官・清村公三郎」をご覧になられましたでしょうか。
いすみ鉄道と大多喜町観光協会の全面協力で、大多喜町の中でロケが行われたサスペンスドラマですが、このドラマも、まずいすみ鉄道に話が来て、列車を使った運転シーンの撮影、ホームでの撮影、駅構内での撮影、車庫の中での撮影など、できる限り撮影に協力することをお知らせして、それに合わせて脚本を書いているのが本当のところです。
最初に脚本があっても、鉄道会社がそのシーンを撮影させてくれるかわかりませんから、ドラマ化の企画段階では現実的ではありません。そこで、私たちがまずどういうシーンを撮りたいかをお聞きして、実際に現場にお連れして、例えば「軌道自転車」というものを使うことができますよと提案することで、アリバイとして最終列車に乗り遅れた犯人が、実は列車が終わった後に軌道自転車で大多喜から大原へ向かい、本来は乗ることができない外房線の電車に乗って東京で殺人を犯す完全犯罪トリックのストーリーが書けるということなのです。(そういう点では結構無理があるストーリーではありますが、サスペンスのフィクションとしては面白いと思います。)
ローカル線というのは、いろいろな使い方があって、その方法は無限ですよと私はことあるごとに申しあげておりますが、何も、「いすみ鉄道は地元の大切な足であり、なくてはならない存在だ。」とお題目を唱えなくたって、いろいろな使い方で全国区になることで、観光客が来て、地域も豊かになって、結果として地域住民の足が守られるという構図を、私たちは実践しているのです。







知っている場所はいくつありますか?
観光協会も今の事務局長さんになってからフットワークがとても軽くなって、撮影隊に協力してロケをスムーズに進めてくれるようになりました。
これって、大河ドラマが来た時のための「下準備」ですよね。
こういうローカル線の使い方って、お金にはならないかもしれないけれど、地域にプラスになると私は信じているのですが、皆様方はどのようにお考えになりますか?