あきれるほど悲しくなるニュース。

埼玉で2月1日から職員の退職金を引き下げる制度を設けたところ、引下げ開始前の1月いっぱいで早期退職する職員が100数十名出て、そのうちの約110人が学校の先生だというニュースが報じられました。
このニュースは、今の日本の現状を象徴しているようで、私はあきれるというか、悲しくなるというか、何とも言えぬ絶望感を覚えました。
まず、事の発端は、国家公務員の退職金が民間企業に比べて高い傾向にあるため、それを引き下げる制度が作られました。
国がそうしたのだから、地方もそうしなければならないというのが役所の思考回路なのでしょう。
2月1日から埼玉県でも引き下げます。という制度になったようです。
最近では公務員に対する風当たりが強いので、「自分たちも努力しています。」ということを示して、その風当たりをかわすための措置だと思いますが、なぜ2月1日なのでしょうか。
この期日で新制度を施行したら1月いっぱいで退職する人が集中して業務に支障をきたすことぐらい当然実施前に予測できることだと思いませんか。
こういうわかりきったことをするというのは民間企業ならあり得ないことですが、行政というのは不思議な思考回路を持っているようにしか考えられませんね。
「国の実施基準に従って県も制度改定して退職金を引き下げました」というのが担当者の仕事なのでしょうか。
「とにかく私はやりました。」という、制度を作るだけのいわば「やっつけ仕事」であって、後の運用は皆さんでお願いしますと下に降ろすだけなのでしょう。
この程度の思考回路しかない人に給料を払っていることを日本語で「無駄」というのですが、本人たちにしてみたら「私はきちんと自分の仕事をやりました。」と思っているのでしょうね。
民間企業ではプランすることは実施することで最後の結果を求められるのが当たり前で、そこまで一つの会社の中で完結するのが常識だと思うのですが、皆さんはどの様にお考えになられますか。
このような制度を作る人は役所の中でも上の方の立場にいる人たちだと思いますが、そういう無責任な人たちに払うお金こそ「無駄」なのです。
そして、さらに驚いたのは、早期退職の募集に応じたの職員のほとんどの人たちが学校の先生であるということ。
1月2月と言えば受験シーズンの真っ盛りで生徒たちは人生を掛けて挑んでいるのです。その子供たちに向かって「先生はさよならします。あとは頑張ってください。」と消えてしまうわけです。
そりゃ今後の収入の道が途絶えるときに100万円以上もらえるお金が違ってくるのですから大きな金額だとは思いますが、退職するということは約40年間の教員人生に終止符を打つわけで、その大事なしめくくりがこれでよいのでしょうか。
そして、そのような人間が何人の生徒を世に送り出してきたのでしょうか。
そう考えると、学校とか役所とか、利用者の支払う料金で組織が成り立っている仕組みがないところは、本当に無責任なことが上から下まで全体で行われているのかと疑いを持たれても仕方いないと思うのです。
「学校運営には支障をきたさないように努力します。」としているようですが、上から降りてきた規則を現場に適用して運営していかなければならないのは学校現場の責任者である校長先生方です。
このところ公立学校の校長先生方とお話をさせていただく機会が多くありますが、そのような上の無責任さを押し付けられて、現場で難しい学校運営を余儀なくされていらっしゃる先生方には心よりご同情申し上げます。
前政権が公立高校まで無償化しました。
日本人は何でもタダにすることが良いことだと思っているところがありますが、きちんとした料金を払っても受けたいサービスを提供している学校や組織を増やしていかないと、適当な無責任集団を作り出すだけではないでしょうか。
30年前に第3セクターという無責任組織を作るだけ作って、「あとはお願いします。」と投げてしまった人たちのおかげで苦しんでいる会社を何とか運営している立場としては、「未だにこんな思考回路がまかり通るんだ」とあきれるほど悲しくなったニュースでした。
※私の知る限り千葉県ではこのような無責任なことは起きていませんのでご安心ください。いすみ鉄道に「民間の力を入れて活性化する。」と言っているのに、自分たちで適当なことをしていたら、私がブログでみんな暴露してしまいますからね。
少なくとも私が接する役所の人たちは、大企業のサラリーマンよりも一生懸命働いていますので、私も彼らを見習って毎日頑張れるわけです。