トロッコ列車について

観光鉄道としてお客様に楽しんでいただくための列車として、誰でも思い浮かぶのが 「トロッコ列車」 だと思います。
いすみ鉄道でも沿線の皆さんからは 「トロッコ列車」 という意見をよく耳にします。
私もトロッコ列車を考えないでもないですが、いすみ鉄道でトロッコ列車を導入する場合にクリアしなければならない問題が二つあります。
その1:終端駅での機関車の付け替え
トロッコ列車は、基本的には貨車を改造した車両を機関車が引っ張る運転方式です。先頭の機関車に動力があって、後ろのトロッコは引かれるだけで自走ができません。こういう列車を 「動力集中方式」 と言い、昔はこのスタイルの列車が主流でした。皆さまがご存じのトワイライトエクスプレスやカシオペアなどの寝台特急もこの方式です。
この「動力集中方式」の列車で最大の問題点は、終点に着いたら機関車を反対側に付け替えなければならないことで、2~3分で折り返すことが不可能なほか、線路の形状も機関車を反対側に付け替えられるような形でなければなりません。
今のいすみ鉄道の線路では、上総中野と大原ともにストップ線と呼ばれる形状のため、終点について機関車を反対側に付け替えることができません。
線路を改修するとなると大きな費用がかかりますから、今の時点では現実的ではないのです。
その2:運用の効率化
トロッコ列車のような特別な構造の車両は、観光列車として使用する場合はお客様に喜んでもらえますが、観光シーズン以外の季節や平日には、通常の列車として使用することができません。
大きな会社でしたら、それでも採算がとれるかもしれませんが、いすみ鉄道の場合、土日だけ、それも一部の列車にだけしか使用できないような車両を導入して平日寝かせておくことは、車両運用効率からいって適当ではありません。
車両そのものをどこから、いくらで調達するかという問題以前に、この2つをクリアしなければならないのです。

写真は、わたらせ渓谷鉄道のトロッコ列車です。
JRから払い下げてもらったディーゼル機関車が4両の客車を引きますが、予備としてもう1台の機関車が必要なことと、車両の運用が「トロッコ列車」に固定されてしまうことから、効率的な使い方ができないため、近々活躍が終わりになるようです。
では、いすみ鉄道として観光列車を導入する場合、どのような車両が良いかというと、私が社長として考えているのは、
1:1両で走行できる車両であること。
2:平日の通常運用でも使用できる車両であること。(共通運用できること)
将来的には蒸気機関車を走らせることが目標だとしても、今の会社の状況を考えると、上の2つの条件をクリアする車両であることが、第一前提となります。
このようなことを考えながら、いすみ鉄道にどんな観光列車が走ったら皆さんに喜んでいただけるか、
そういうことを考えるのは、とても楽しい仕事だと思いませんか?
皆さまのアイデアを募集しております。
ただし、ビジネスプランとして実現可能なものに限りますよ。
絵に描いた餅ではビジネスとして採用できませんから。