本日は大井川鐵道の青部駅前を会場にして地元の皆様方が青部マルシェを開催していただきました。
青部駅は現在列車が通らない災害不通区間にありますが、それでも地元の皆様方がふだんから駅の清掃活動などを行ってくれていて、地元のイベントとして駅でマルシェを開催したいというご要望を就任直後にいただきました。
大井川鐵道は2022年の台風災害で線路が被害を受け、全線の約半分に当たる川根温泉笹間渡から千頭までの区間の列車が運転できない状態が続いています。
そして、いつ復旧完了するかがわからない状況です。
そんな中で、地元の皆様方がふだんから駅をきちんと整備していただいていて、大切に思っていただいているということは、これはマイレール意識が高いということですから鉄道会社としても何とか地域の皆様方の声を聞かなければなりません。
そこで私は2つ返事でこの青部マルシェの開催に協力する旨をお伝えしました。
これが7月のことです。
でも、ただ単にマルシェをやるだけでは面白くありません。
せっかく鉄道会社と地域の皆様方の思いが1つになるチャンスですから、何か皆様方が喜ぶようなことをしたいと考えました。
そして現地を見に行ったところ、実は大井川本線の終点で井川線の始発駅である千頭駅から金谷側に2つ目にある青部駅までの区間は台風で大きな被害が出ていないことがわかりましたので、では、青部まで千頭から車両を持ってくることができるのではないか。そう考えました。
ところが、災害不通区間のため線路は大丈夫でも電気が通っていません。
だから電車は動かせないのです。
でも、よく考えたら千頭駅は井川線のトロッコ用小型車両の始発駅です。
そしてその井川線の小型車両は電車ではなくてディーゼル機関車ですから、走って来ることができる。
ということがわかりまして、8月ごろから関係各所と調整をしまして、「試運転」という形で線路上を走行させて車両を持ってきたのです。
それが本日のメインイベントでした。
▲マルシェの開会式でご挨拶する川根本町の園田町長さん。
▲こちらは町議会の石山議長さんです。
お二人とも嬉しそうでしょう。
60過ぎの大の大人が、しかも公人のお二人が、こんなうれしそうな表情でご挨拶していただいたのです。
「大井川鐵道は沿線の大切な観光資源だ。」
「私たちのふるさとの山々には汽笛が鳴り響いて欲しい。」
「大井川鐵道は文化財だ。」
お二人ともこのような内容のご挨拶でした。
大の大人が…と思われるでしょうが、実は大井川鐵道はもうかれこれ50年近くSLを走らせているのです。
ということは、70歳の人が20の時から走っているのですから、SLが走る景色は沿線のお爺さんお婆さんにとって青春の思い出であり、ふるさとの景色なのです。
ということで、災害不通区間19.5㎞のうち、一番奥の千頭-青部間はいつでも運転再開できることがわかったのです。
これはどういう意味があるかと言えば、一番奥に希望の光が見えるということです。
つまり、大井川鐵道は全線復旧に関して「やるぞ!」という気持ちがあるということです。
実は、この2駅間の試運転についても、社内でいろいろと検討会議を進めました。
何しろタダじゃありませんからね。
もう2年以上列車が走っていませんから、線路点検が必要です。電路の点検も必要です。草刈りも必要ですしトンネルや橋梁の調査も必要です。
そのために約150万円ぐらいの費用が掛かります。
そこまでして協力する必要があるのかという議論です。
確かに鉄道としての収入はゼロですからね。
でも、私は地域の皆様方に希望の光をお見せすることで、少しずつ気持ちが前向きになってきて、やがては大きなムーヴメントになると確信していますから、その150万円の経費を他の収入で賄うことを提案して今回のこの移動が実現したのです。
ということで、本日の青部マルシェは晴天の下、無事に開催することができました。
井川線の車両が本線を走るのは、実に20年近くぶりとのことですから、今頃はマニアックな皆様の間で驚きを持って拡散していただいていることと思います。
大井川鐵道は全線復旧に向けて前向きに取り組んでいくということを地域の皆様方にお示ししたのが、本日の千頭-青部間の試運転列車の意味でした。
全線復旧を支援する会の皆様、そして川根本町の関係者の皆様、本日はありがとうございました。
鉄道部関係の職員の方々、お疲れさまでした。
皆様方のおかげでうまく行きましたね。
今夜はプハ~がうまい!
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