仮想通過報道の不思議

仮想通貨が不正アクセスにより「消えてしまった」という報道で賑わっております。

でも、なんだか不思議な報道です。

私が不思議な報道だと思う理由は、「仮想通貨なんて信用できない。」と視聴者に思わせるような報道が多いからです。

 

通貨の発行権というのは、基本的には国が持っています。

個人や団体が勝手に通貨を発行することはできません。

ニセ札作りになってしまいますからね。

でも、国が発行できる通貨は自国内で流通するものに限られますから、外国のお金を印刷することはできません。

ところが、仮想通貨はどこの国にも属さない通過ですから、ニセ札には当たりませんし、国が管理することもできません。

現代のように頻繁に海外旅行へ出かけたり、海外の商品を通信販売で取り寄せようとするときには、両替とか為替とかいうシステムを通さなければなりません。つまり、間に金融機関が入ることによって、手数料などが取られますから、不要なお金を支払うことになりますし、これが金融機関にとってみればいまどき貴重な収入源になるのです。

この間、台湾に送金しようと思ったところ、20数万円を送金するのに手数料が9000円でしたから、頻繁に送金する人にしてみればできれば払いたくないお金ということになりますね。

 

そういう時代だからこそ出て来たのが仮想通貨ということだと思います。

 

つまり、国家にとっても金融機関にとっても、そんなものがまかり通るようになったら今まで通りにはいかなくなりますから面白くないのでしょう。だから、「仮想通貨なんて信用できない。」というような報道になるのかもしれません。

 

でも、仮想だろうが実体があろうが通貨は通貨です。そして今回の事件は通貨そのものを云々するものではなくて、取引所の管理の問題です。

実体のある貨幣である日本円を銀行に預けておきました。その銀行の管理が甘く、強盗に入られて金庫にあったお金を全部持って行かれてしまいました。

今回の事件はつまりこういうことなのですが、「だから日本円なんか信用できない。」「日本円なんか持っているからだ。」「日本円を持っているような人は、あわよくば利鞘を稼ごうとしている人だから自業自得だ。」なんて意見まで出てくるのですから、私は問題がごちゃごちゃになっているというか、問題そのものがすり替わっているような気がします。

 

別に日本円が信用できないというのではなくて、取引所(つまり銀行)の管理が甘くて強盗に入られて、預けておいたお金が全部持って行かれてしまったというだけのことでしょう。

だから、銀行が預金者に対して責任があるように、この取引所の責任として「預金者にきちんと払い戻しを行いなさい。」ということであって、仮想通貨そのものの良し悪しではありません。

銀行であれば金融庁の監督の下で国がきちんと保証するのでしょうけど、仮想通貨は国の管理ではありませんから、国の保証もないということが不安の源なのでしょう。

 

仮想通貨は今の時代当然のように現れてきた通貨でしょうから、それ自体を悪者にして「つぶしてしまえ」的な報道は、私はいかがなものかと感じているのです。

そして、今回の取引所の経営者は新進気鋭の若手経営者ですから、これぐらいのことで将来を閉ざされるようなことがないように、しっかりサポートすることが必要ですし、そういうことができるのが安倍政権が声高に言う「失敗を恐れない、チャレンジできる社会をつくる。」ということなのではないでしょうか。

 

まあ、私はどの仮想通貨も持っておりませんので、被害もありませんが、利益もありません。

その前に、私にとっては仮想通貨を購入できるだけの実体通過をどうやって集めるかという課題を乗り越えなければなりませんからね。