現代版「点と線」

松本清張の小説「点と線」は鉄道好きの方であればご存じかと思います。

昭和30年代ですが、東京駅を舞台として、横須賀線のホームから東海道線の長距離列車のホームが見渡せる、その時間をトリックに使った推理小説です。

当時から東京駅は過密ダイヤで、どこかのホームに必ず何かの列車が入っている。
でも、夕方の時間帯にわずか数分間だけ、どのホームにも列車が居ない時間がある。
松本清張は東京ステーションホテルに滞在して執筆していたらしいですが、窓から外を見ていて、そういう時間帯があることに気づいた。つまり、電車が1本もなくて、向こうのホームまで見渡せる時間があることを発見して、それをネタに時刻表トリックを思いついたというのが「点と線」なのです。

本日午後1時ごろの東京駅。
20番線、21番線のホームから見た光景です。
東京駅のホームはJR東日本の新幹線とJR東海の新幹線が交差するところですから、常にどこかのホームに電車が居て賑やかですが、今日は向こうのホームまで見渡すことができました。
奥に東海道新幹線の列車が止まっていますが、あそこは18番線。

21番線、22番線、23番線(JR東日本)、14番線、15番線、16番線、17番線(JR東海)と7本の線路に電車が居ないんです。
これ、現代版「点と線」でしょう。

でも、これは時刻表トリックには使えません。
なぜなら、今日はダイヤ乱れでたまたまこういう状況になったからです。

そう、新幹線、またトラブルです。

農業用のビニールシートが飛んできて架線に絡まったって、しきりに「うちは悪くありません」的な放送してましたけど、動かないことには変わりありませんからね。

私はその渦中の東京駅にいたのであります。

結局1時間45分遅れ。
なんとなく嫌な予感がしていたので、今日は2等席を予約しておきましたが、予感的中でしたね。

1本早い列車に乗ろうと思ったんですが、みどりの窓口は長蛇の列。
ホームには係員は見渡す限りいませんでした。
アナウンスはガンガンしてるんですけどね。
居るのは契約しているセキュリティー会社と車両清掃の係の人たちばかり。
だから、物を尋ねようにも尋ねる人が居ません。

ということで、こういう時はじたばたしても始まりませんから、せっかくだからこの状況を楽しみましょうということで、イレギュラー時のハンドリングというものをいろいろと目せていただくこととしました。

私、空港育ちなので、イレギュラーは嫌いではありませんから。

そうしたら、「点と線」を見つけたのであります。

でもまあ、大した混乱もなく、改札口や窓口で係員に食って掛かるようなお客も見当たりませんでした。
ハンドリングとしては大したもんですね。
そして1時間45分遅れというビミョーな遅れ時間。

2時間遅れれば特急料金払い戻しですけど、1時間45分なら払い戻しもなし。
おそらくこの辺をターゲットにしているのでしょう。

いつだったか東海道新幹線に乗った時に、「ご迷惑をおかけいたしまして申し訳ございません。この列車は只今1時間56分遅れで○○に到着します。」って車内アナウンスがあって、駅に着いたら駅の放送で「列車遅れまして大変ご迷惑をおかけいたしました。1時間56分の遅れで到着いたしました。」って同じことを言ってたので、「ああ、そういうことね。」って思いましたけど、つまりは「払い戻しはしませんよ。」って宣言しているわけで、すべてのターゲットはそこなんだなあ、という感じでしたし、お客が騒がないということは、昭和の時代から平成を通って令和の時代になって、日本人が進化しているのはもちろんですけど、それ以上に利用者が会社に期待をしなくなっているというのも事実なんでしょう。

何かあるとすぐ止まりますからね。
だからお客の方が何も期待しなくなっているんですよ。

カスハラ対策とか言ってますが、クレームするのは相手により良いサービスを求めているからであって、クレームが出なくなってきているということは、サービス業としては危機的状況になってきているということなのですけど、「ああよかった。今日のお客も静かで」と言ってるようじゃあ、正直、ヤバいと思います。

ヤバいと言えば、今日の遅れの原因。
農業用のビニールシートが飛んできて、東京から敦賀まで、全部の電車が止まっちゃったという件。
実は私、今から7年も前に予言しているのであります。

当時、石川県の偉い人が、「新幹線があれば飛行機はもう要りませんね。」と言っていたので、「あぁ、この人、何もわかっていないなあ。」と思って書いたのですけど、新幹線に輸送を依存するということは、埼玉県や群馬県のからっ風で、農業用のビニールシートが飛んできて架線に絡まっただけで、自分たちの生命線が断たれるということですから、今、飛行機が飛んでいるのなら、しっかり飛行機を守りましょう。

そう思ったのです。

そして、今日まさに、7年前に書いた状況に自分がはまってしまったのであります。
上越は飛行機どころか、高速バスもないしね。
まさに新幹線だけが命綱というヤバい状況なのであります。

さて、1時間45分遅れで上越妙高に到着した私は、そのまま直江津駅に直行し、これから「ジンと肉」列車と夜行列車の対応です。

只今18時前。
今のうちにブログを仕上げて、さあて、お仕事でございます。

▼7年前の2017年8月24日に書いたブログはこちらです。よろしければご一読ください。
富山へひとっ飛び、富山はひとっ飛び。 結論