今日は冬の湿原号に乗りました。
釧路から標茶の往復です。
釧網本線にSLが走るというだけで、これだけの人が来るのです。
おもしろいと思いませんか?
だって、ここに居る人たちはこの地域に何の用もない人たちなんですから。
真冬の北海道釧路湿原ですよ。
タンチョウをお目当てに来る人たちはカメラマンとかいらっしゃるでしょうけど、ここに居る人たちはそういう人たちでもなく、鉄道マニアでもありません。
鉄道マニアは沿線で写真を撮っていますからね。
実際には乗らないのです。
では、この人たちは何で来ているかというと、SLが走っていて、そのSLの車内からタンチョウや釧路湿原の冬の景色を見るためです。
つまり、鉄道が集客してるのです。
私は自分の所有する土地を見るために毎年必ずここへ来ます。
なぜならば、知らない間に誰かが私の土地に家を建てて住んでいるかもしれませんからね。(笑)
列車はほぼ満席。
5両編成がこのところ毎日満席です。
私も北海道の友人に頼んで何とか席を取ってもらっての乗車です。
沿線にはカメラマンがたくさん。
この人たちも間違いなく地域にお金を落としているんです。
でもって、その沿線に「あれ?」
知ってる人がいました。
すぐにスマホでメッセージを送りました。
「来てるの?」って。
そうしたらすぐに、「線路わきに居たよ~」って返事が来ました。
▲京都の横山靖司さん撮影
おもしろい時代になりましたね。
茅沼駅には今日もタンチョウヅルが来ていました。
私の土地も誰も家を建てて住んでいる人はいませんでした。
終点の標茶に到着したら、標茶町の佐藤町長がお出迎えです。
「鳥塚さん、今年もよくいらしていただきました。」
佐藤町長は町長自らSLのお客様のお出迎えです。
何でも自分でやるんです。
そりゃそうですよ。
なぜなら、私の仲良しの友達ですからね。
標茶駅では女性陣が今年も頑張っています。
「もう何年ですか?」と聞きましたら、
「8年ですよ、鳥塚さん。」と言われました。
そんなになりますか。
実は、私はずっと昔からこの釧路湿原のSLに乗りに来ているのです。
でも、標茶に到着しても何もなかったんです。
SLの折り返し時間に何もすることがないので、駅の近くをぶらぶらと歩いて、折り返しの列車に乗って戻っていくということを毎年やっていました。
そんなあるとき、標茶の女性陣と話をする機会があったんです。
「私は毎年標茶に来ますけど、ただ時間をつぶして折り返すだけですよ。」
そう言いましたら、「えっ?」と皆さん。
せっかくいらしていただいたのに、そうなんですか?
なぜなら、皆さん無関心だったのです。
鉄道なんて自分たちの生活に関係ありませんから。
でも、地域は役場を挙げて活性化をやっているんです。
だから、私は「SLのお客様におもてなしをしましょうよ。」と提案しました。
そして、どうやったらいいかを僭越ながらレクチャーさせていただいたのです。
それからです。
ここ標茶の女性陣は動きが早かったですね。
あっという間におもてなしが始まりました。
そして8年。
今では役場も一緒になって、町長さんもこうしてお出迎えをしているのです。
私は全国を回って、いろいろなところを見て来ていますが、よく、地域の皆様方は「役場は何もやってくれない。」「JRは何もしてくれない。」と言います。
でも、ここ標茶町の皆様方は人任せではなくて、まず自分たちから動いておもてなし活動を始めました。
そして、役場がそれをサポートして、そしてJRが協力するという形になってきたのです。
毎年SLの時期になると、駅舎の中の空いているスペースをJRから借りて特産品のお店を開催しています。
町役場はSLのお客様のために町内の飲食店を巡る無料タクシーを巡回させるようになりました。
駅前には引馬体験ができるお馬さんがいて、羊やポニーもいるようになりました。
こうして、何もなかった駅前がにぎやかになっているのです。
最後は皆さん揃ってお見送り。
なんだかほっこりする町になってきました。
ということで、最近は1年に一度の標茶詣でですが、今年もやってくることができました。
皆さん他に仕事がある中で、SLのお客様のおもてなしをしてくれています。
寒い毎日ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
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