本日は直江津D51レールパークに北陸信越運輸局の平井局長さんがお越しになられました。
▲一番左が私ですが、そのお隣りにいらっしゃるのが平井局長さんです。
本日は休館日でしたが、D51のメンテナンスを行っていましたので、その様子をご覧いただきました。
目の前で動くD51をご覧になられて、「こういう取り組みは良いですね。」とおっしゃっていただきました。
ご評価いただいたことには感謝申し上げます。
でも、私は素直ではありませんので、局長さんにこう申し上げました。
「こういうものは本来は鉄道会社の仕事ではありません。」と。
「ただ、地元の皆様方が、二言目には『直江津は鉄道の町だ』と言っていただいているので、私としてはそういう皆様方に対して、もっと鉄道に親しんでいただけるように、本来は赤字の鉄道会社がやることではありませんが、D51を持ってきて、お試しいただいているのです。」
D51と観光急行は2年前に同時にスタートしました。
当時はコロナの真っ最中で、雪月花も運休状態。
そんな中で新規事業を始めるとはどういうことだとも言われましたが、皆様方に喜んでいただくためにと、取締役会を無理やり説得してスタートさせていただきました。
当時の議論としては「D51は賛成するけど、国鉄形の古い電車を買ってどうするんだ?」というのが取締役会の意見でした。
その議論を何とかクリアして2つ同時にスタートしたのです。
なぜならばD51と観光急行はセットだからです。
以前から申し上げておりますように、非日常の商品を売るためにはストーリーが必要です。
私が設定したストーリーは、455系の交直両用電車に乗って遠くへ出かけると、そこには蒸気機関車が待っていた時代。つまり、昭和45年から50年というのがストーリーですから、列車の中吊り広告にもその時代のものがかかっているわけです。
例えば急行「ばんだい」に乗って行けば会津若松でC11が待ってましたし、急行「いわて」「まつしま」に乗って行けば陸羽東線や石巻線でSLが走っていました。
急行「くずりゅう」や「立山」に乗って行けば七尾線でC58が引くふるさと列車「おくのと」が走っていましたし、急行「玄海」「つくし」に乗って行けば筑豊で石炭列車が煙を上げて走っていた。
そういう時代がストーリーですから、観光急行とD51はセットなんです。
おかげさまでD51も観光急行も順調に成績を上げています。
でも、私は、鉄道会社の仕事というのは本来は列車を走らせてナンボですから、雪月花や観光急行こそが本来の仕事であって、レールパークは赤字の鉄道会社がやることではないというのが心の中にあります。
というようなお話をさせていただきました。
このゴールデンウィークにはレールパークにボンネットバスを呼んでD51と並べてたくさんの皆様方に体験乗車をしていただきました。
また、せっかくボンネットバスが来たのですから、地元の町の中を走って皆様方に見て、乗っていただきました。
無料の体験乗車をすることに対して、会社の中には、「なぜトキ鉄が自社でそこまでやるのか。」という意見もあります。
でも、私は、地域の皆様方が、「ここは鉄道の町だ」と言っていただいていることに対して、感謝の気持ちで具体的なイメージをお示しすることで、次の世界が見えてくると考えて行っています。
前職時代もそうでしたが、鉄道を守って来てくれた地域の皆様方に感謝の気持ちを込めて、まず、こちらがローカル鉄道の使い方をお示しして、ご納得いただけるようであれば、あとは皆様方で力を発揮していただいて前に進めていただく仕組みを作ることが私の役割だと考えています。
D51が直江津にやって来たのが2020年11月ですから、早いもので2年半が経過しました。
当初から申し上げておりますが、このD51は5年契約ですから、すでに折り返し点に来ていることになりますね。
D51の所有者様に対して、5年後どうするのか。
延長するのか、それとも終了するのか。
その意思表示をするのは契約終了の1年前ですから、あと1年半ということになります。
つまり、レールパークが存続するか、それともお仕舞いになるか。
その判断をする時期は、今年度の動きを踏まえた上で、おそらく来年の暮れぐらいになると私は考えています。
というようなお話を、本日のお客様にさせていただきました。
私はトキ鉄沿線には雪月花はもちろんですが、国鉄形の観光急行やボンネットバス、D51や旧型客車がとてもよく似合うし、地域にとってはそれが通年観光の大きなツールになると考えています。
だから単なるイベントではなく、ビジネスモデル化して、皆様方にわかりやすいように、実際にお見せしてご覧いただいています。
でも、そこから先の判断は、やはり地域の皆様方が、この鉄道をどうしたいのか?
ということになるのではないかと思っています。
この9月で私も丸4年になります。
仕事のタームとしては、成果をきちんと評価していただく時期だと考えています。
なぜならば、なんとなく、そんなに長く自分の時間が残っていないような気がするからで、だとすれば、時間の無駄遣いになるようなことはしたくないからであります。
と、ここまではお客様にはお話はしませんでしたけどね。
平井局長様、本日はわざわざ遠い所をお越しくださいましてありがとうございました。
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