本日は新しく登場するラッピング電車の出発式を行いました。
こういうご時世ですから出発式と言っても華美なものではなくて、どちらかというとひっそりと行いましたが、なかなか良い電車ができたと思いませんか。
今から50年前の新潟県地域を走っていた新潟色と呼ばれる電車の再現です。
これは東京の田島ルーフイングという会社のいわゆる広告電車なのでありますが、ふつうの宣伝をするだけではつまらないということで、この塗分けになりました。
田島ルーフイング株式会社会長の田島常雄さんです。
「今の時代は会社の名前を車体に書くような広告は古いと思うんです。そうではなくて、皆さんが乗ってみたい、写真を撮りに行ってみたい、そう思ってもらえる電車を走らせることで、地域貢献にもなるし、鉄道ファンの育成にもつながります。そうすることで『いったいこの会社はどこだ?』ということになって、『こんなことをやっている会社があるんだ。』と知っていただく。そうすることで会社の価値が上がると私は考えています。」
と、田島さん。
実は私は田島さんとは旧知の間柄で、田島さんは鉄道ファンとしても大先輩。
何とかトキめき鉄道沿線を皆さんが注目するような地域にしたい。それが自分にできる地域貢献だということなのです。
今からちょうど2年前、私がトキめき鉄道の社長に就任するときに、「応援させてもらうよ。」と言っていただきまして、その後、雪月花に3回、去年のビール列車にも、今年に入ってからはD51レールパークにも413系にもいらしていただいています。
私はその度に田島さんに「そろそろラッピングをいかがでしょうか。」とセールスしてきたのですが、なかなか「うん」と言っていただけませんでした。
ところが、この6月に、「ラッピングやりますよ。」と言っていただいて、それからとんとん拍子で契約をして、設計をして、作業をして、本日落成したのであります。
ではなぜ田島さんがラッピングをする気になったのか。
それはD51と413なんです。
トキ鉄沿線に住んでいる地域住民の皆様方はご存じないと思いますが、直江津という所は鉄道ファンの間ではまったく話題に上ることもない所でした。
そりゃあ皆さん直江津は知ってますよ。
昔何度も通ったという人も多いですから。
でも、行ってみようというような場所ではなかったんです。
ところが、D51が来て413が来て、今、全国の鉄道ファンの間では、直江津とかトキめき鉄道という言葉は急上昇ワードなのです。
常に話題に上るようになって来ていて、直江津は全国の鉄道ファンの間では「行ってみたいところ。」として有名になってきているんです。
直江津がそういう所になったから、自社広告を背負った電車を走らせる価値があるとお考えいただいて決断していただいたのです。
こういうことは地元の人にはいくら説明してもわかりませんから、いちいち説明は致しませんが、つまり私がいすみ鉄道という名もないローカル線を全国区にしたのと同じように、今、トキ鉄も直江津も赤丸急上昇ワードで、そういうことを都会で情報をキャッチしている田島さんがご覧になると、「広告宣伝の価値がある会社だ。」と判断していただいたということなのであります。
経営者というのはそういう感覚をお持ちだということでもありますね。
とは言え、数百万円の投資ですから安い買い物ではありません。
鉄道ファンの大先輩である田島さんとしては、鳥塚を支援するという大義名分のもと、ご自身のやりたいことを実現されたということなのであります。
「俺はついに、一分の一の鉄道模型を手に入れたぞ。」
本日の田島さんの叫びでありました。
でも、ありがたいですね。
とりあえず全国の皆様方がトキ鉄にいらしていただけるツールがまた一つ増えたのですから。
「鳥塚さん、この電車だけじゃダメなんですよ。413があるからこの電車が引き立つんですよ。」
流石わかっていらっしゃいますね。
413効果というのはそういう所もあるのですが、多分偉い人たちにはご理解はいただけないと思います。
でも、鉄道は夢と希望を乗せて走っているのですから、直接的に運賃収入に結びつかなくても、「新潟へ行けばこの電車が走ってるんだ。」と思ってもらえるだけで、大きな価値があると私は考えます。
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