トンビがくるりと輪を描いた

オリンピックの開幕に合わせて東京の空にブルーインパルスが5色の輪を描きました。

昭和39年の東京オリンピックの時もそうだったようです。


▲友人の谷口さんがFacebookにUPされた7月23日の写真です。

オリンピックに対する皆様方の多種多様なご意見はともかくとして、空に輪を描くってなかなかどうして難しいんですよ。
自衛隊の優秀なパイロットにとっては毎日訓練を重ねていることですし、大したことではないかもしれませんが、私が自分でやったら結構大変だったことを思い出しました。

もう40年も前の話で、自分でもほとんど記憶の外になりつつあるのですが、訓練生だった頃、飛行機を何とか真っすぐ飛ばせるようになると、次はぐるりと360度水平に一周する練習です。
訓練エリアが決まっていて、工場の煙突だったり、テレビ塔だったり、そういう高い目印を使って翼端をその目印に合わせながらぐるっと一周する「On pylon」という練習です。

私の場合はロサンジェルスの郊外のマジックマウンテンという遊園地に高い塔がありまして、高度3500フィートぐらいでその塔を中心にぐるっと一回りするのですが、これがなかなかうまく行かない。

基本的には風がない日に練習するのですが、まったく無風ということはあり得ません。そして、風が吹いているときちんと回っているつもりでも風下側に膨らむのです。
高度を狂わせないことはそれほど難しくはありませんでしたが、中心から風下側に膨らむのを修正するのがなかなか難しいのです。
そこまで飛んでいく間に風を読んで、今日はどちらの方角からどのぐらいの風が吹いているかを判断し、旋回をスタートするのですが、風下側に流されないようにするにはバンク角を調整して、ラダーを少し当てながら・・・

何度もやっているとそのうちコツを覚えてきちんと輪を描けるようになる。
では、どうしてきちんと輪が描けたかがわかるかというと、旋回地点から360度回って元の位置に戻ってくると、ドスン!と機体が大きく揺れるのです。

そう、自分の後流に入ったのです。

飛行機は翼端やエンジンで空気をかき乱しながら飛んでいるのはご存じだと思います。
ジェット機の後流に入ると大型機でもコントロールできなくなるぐらいの揺れに遭遇しますから、着陸や離陸の間隔も後流が消えるか流される頃合いを見計らっているのですが、単発機でも後流はなかなか大きなもので、高度を狂わせることなくきちんと360度の輪を描くことができると、自分の後流にドスン!。

隣に乗っている教官が「おめでとう!」と言ってくれました。

とまあ、ある日突然、何の脈略もなく、40年も前のことがポッと思い出されるというのは、年を取った証拠ということで。

ところで表題の「トンビがくるりと輪を描いた・・・」というのは三橋美智也さんの昭和33年のヒット曲でありまして、お爺さん、お婆さんなら誰でも知っている名曲です。

夕焼けトンビ(三橋美智也)昭和33年(youtubeより)

この中で「上りの汽車がピーポッポ」というのが出てくるんですが、これは何線だろうか? などと思いを巡らせてみたりして。

三橋美智也さんは函館のご出身ですから、「上りの汽車」っていうのは函館本線か江差線でしょうか?
でも、函館で上りと言えば青函連絡船だし。

私はこの上りの汽車というのは常磐線の列車だと思います。
なぜなら作詞者の矢野亮さんが茨城県のご出身だから。
茨城県なら夕焼けもきれいに見えるでしょうし、「そこから東京が見えるかい?」とトンビに訪ねる気持ちもわかりますね。

羽田に降りる飛行機が徐々に高度を下げて茨城県上空に来ると前方に東京の街並みが見えてきますから。

そんなことを考えたのであります。

考えるのは勝手ですから。
皆さんもいろいろ妄想をしましょう。
Stay home対策になりますし、原価ゼロですしね。

ああ、帰らざる日々・・・

こればかりは考えても悩んでもどうにもなりませんがね。

別に、悩んではおりませんが・・・

歴史は日々作られるのです。
明日も元気に頑張りましょう!