北海道で観光列車を走らせるとしたら皆さんどこが良いと思いますか?
私は北海道庁が音頭を取る北海道の観光列車検討会議に4年ほど前から委員として参加させていただいておりまして、根室本線や釧網本線、石北本線、宗谷本線などで観光列車のモニターツアーを企画してきまして、インバウンドをはじめとするたくさんの皆様方に体験していただいてきています。
観光列車というのはただ単に鉄道会社の営業に貢献するというだけではなく、地域振興にならなければなりませんから、その可能性を掘り起こしてきているのですが、では、北海道の中で一番可能性が眠っている路線はいったいどこなのでしょうか。
4年前に会議が始まった時、私は一番観光列車にふさわしい路線はどこかと聞かれましたので、「室蘭本線の苫小牧-岩見沢間!」と答えました。
釧網線でも花咲線でも宗谷線でもなく、なぜ室蘭本線の苫小牧-岩見沢間なのか。
北海道在住の人たちは皆さんポカンと口を開けていたのを覚えています。
最果て路線でもなく、世界遺産の釧路湿原でもなく、なぜ、室蘭本線なのか?
私は釧網本線の茅沼駅にわずかながら自分の土地を持っていますが、この駅に土地が欲しいと思った当時は観光客なんで来るような場所ではありませんでした。
でも、今では釧網本線と言えば立派な観光路線として定着しました。
だから、今度は室蘭本線の苫小牧-岩見沢だと考えているのです。
もちろん、この区間は昭和50年に最後の蒸気機関車牽引列車が走った思い出深いところであることは言うまでもありませんが、そういうことではなくて、観光列車を成功させるためには色々なハードルがあるのですが、室蘭本線の苫小牧-岩見沢間はそのハードルが実に越えやすい区間だからです。
ビジネスとして成功させるためには採算が取れなければなりません。
これは鉄道会社や旅行会社が採算が取れるばかりでなく、地元にとってもきちんとお金が落ちる仕組みが必要です。
室蘭本線の苫小牧-岩見沢間であればゆっくり走っても片道2~3時間ですから、観光列車としてはちょうどよい時間距離です。マニアならともかく普通のお客様は3時間も乗っていれば飽きますからね。
室蘭本線はその点でちょうどよい距離感である。
苫小牧から乗ったお客様が岩見沢に到着する。
そこで、「ハイ、お疲れ様。」とコース終了。
折り返しは別のお客様を乗せて岩見沢を出発。
お客様が入れ替わるわけですから、途中駅での弁当やおみやげ品などの物販ももう一度売れる。
地元の人たちにとってみたら、2度おいしいわけです。
それと大事なポイントは大都市に近いこと。
岩見沢も苫小牧も札幌圏から30~40分。
両方とも特急停車駅。
ということは循環コースが組めるわけです。
観光で大切なのは行った道を戻ってくることではなく、回遊できることですから。
そして、室蘭本線のこの区間は千歳空港からすぐ近く。
南千歳から追分まではわずか10数分。
ということはLCCで東京や大阪から来たお客様が、極端に言えば日帰りで北海道の観光列車を楽しめる区間ということなのです。
さらに、室蘭本線のこの区間は観光としてはほとんど未開の地ですから、掘ったらいろいろ出てくると思いませんか?
遠浅、追分、栗山、栗丘と聞いてワクワクする人たちだっていっぱいいるはずですからね。
ということで、私たちが作った観光列車が室蘭本線を走ります。
運転日は11月30日。
明日、申込開始です。
先週、現地を視察してJRさんや地元自治体のご担当者の皆様方と打ち合わせをしてきました。
こうやって地域と一体になった観光列車が出来上がりました。
北海道の皆様方は不思議でしょう。
苫小牧-岩見沢間で観光列車が走るなんて。
でもね、東京や大阪などからやってくる観光客の皆さんは、千歳空港に降りる時のこの景色を見たら、
「おお、北海道に来たぞ!」
と思うのです。
だから、室蘭本線は宝が眠っている。
宝石の原石が落ちていると私は考えております。
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