今年の観光客の嗜好は・・・

某鉄道会社の営業担当の取締役の方とお話をしていたら、今年の夏は今までと違うとのこと。

その営業担当の取締役の方は飛行機に乗って行く国内旅行も、もちろん国際線の海外ツアーも取り扱っている方ですから、旅行傾向がよくわかるらしい。

「今年の夏はアメリカやヨーロッパはあまり売れてないんですよ。」

その理由はゴールデンウィークに10連休があって、皆行きたいところへ行っちゃった。特に、長距離の旅行に出かけちゃった後の夏休みなんで、長距離の海外旅行とかはいつもの年よりも申し込みが少ない。
でも、皆さんどこかへ行きたいという気持ちはあるので、皆近場へ行くということのようです。

でもって、その鉄道会社では近場へ行くという需要を的確にとらえて、そういう人たちに来てもらう企画をゴールデンウィークも夏休みもたっぷり出して告知したところ、ゴールデンウィークは対前年比150%だったらしい。
夏休みも去年に比べたら明らかにお客さんが多い。

近場狙いの観光客をターゲットにした作戦は大当たりだそうです。

ゴールデンウィークが10連休だったと言っても、誰もがアメリカやヨーロッパへ行かれるわけではありません。でも、せっかくだからどこかへ行きたい。
そうなると近場ですね。

この間、日経プラス10に出演させていただいた時に申しあげましたが、インバウンドは3000万人を超えてもうじき4000万人という数ですが、日本人の国内旅行者は年間2億9千万人いるわけで、そういう人たちのほとんどが1泊か2泊旅行ですから、まずはそれを取りに行くべきでしょう。

まして10連休ともなると、どこかへ行きたい人たちがいっぱいいて、つまり、今年のゴールデンウィークは対前年比150%ぐらいになる要素はあったということなんですね。
もちろん夏休みも皆さんどこかへ行きたい。
そういう時に、自分のところへ「来たい!」と思わせることができるかどうか。

まあ、これが戦略というものなのですが、今年のゴールデンウィークも夏休みも近場の観光地はどこもお客さんでごった返している。どこもというと語弊があるかもしれませんが、まあ、たいていのところは対前年比で伸びているのではないでしょうか。

そしてそして、こういうことは言うとひんしゅくを買うかもしれませんが、韓国が旅行の目的地として人気が無くなってきている。だから、「韓国はやめよう。」という人たちがものすごく多くなってきている。だからといって、そういう人たちが皆さん台湾へ行くかといえば、台湾はすでに人気で飽和状態。
では、香港はというと、ご覧の通りヤバい状態。

じゃあ、ハワイやシンガポールは?

いえいえ、もともと韓国へ行こうと思っていた人たちは2泊3日で5~6万円ぐらいの予算の人たちですからハワイやシンガポールは無理ですね。

ということは、国内旅行に目が向くんです。
特にこの秋以降。

国内の観光地には大きなチャンスがあると私は考えています。

もし、万一、香港のデモに中国当局が介入して第二の天安門事件のようなことになると、香港だけでなく中国も観光地ではなくなります。
そんなところ誰も行きませんからね。

かつて天安門事件があった時、行き場を失った日本人観光客がどこへ行ったかというと、皆さん北海道へ行きました。ちょうどそのころ、「私をスキーに連れてって」という映画がヒットしてスキーブームが起こって、ニセコやキロロばかりでなく東北や上信越のスキー場が大賑わいになったのです。そして温泉ブームが起きました。スキーをやらない人たちは温泉に向かったのです。

つまり、私が何を言いたいのかというと、韓国人が来なくなって切ない思いをしている地域だって、十分にチャンスがあるということ。
行き場を失った日本人が大挙して押しかけてくるような、そんなプランができれば、700万人の韓国人観光客が半分になったって、悲観することはない。
まして今の時代はSNSの時代ですから、都会人の心をグサッと鷲掴みできるような写真を使って情報発信することができれば、いくらだってチャンスはあるのです。

1980年代の天安門事件の時代とは情報ツールが全く異なりますから、キャンセルされてしまった韓国人の予約数を上回るような日本人の国内旅行客の予約を取ることも、そんなに難しいことではないと考えるのであります。

もっとも、きちんとした戦略があって、顧客心理がわかるプロフェッショナルな人たちがやるという前提ですが。

どこにだってチャンスは転がっている。

まあ、顧客心理がわからなければ、「お客様が何を求めて地域にやって来るか。」ということがわかりませんから、そういうところは「難しいでしょうねえ。」としか言えませんが。

どういうところかというと、過去の成功体験があって、人の言うことを聞かない地域と申し上げておきましょうか。

この方が私がお話しさせていただいた某鉄道会社の営業担当取締役の方です。

過去の成功体験がないと、こだわりもプライドもありませんから、何でもアリ。
最近元気をいただいております。

もちろん、数字も出ているんですから、すごいですねえ。

営業担当取締役の方を私は尊敬しております。

うっそ~!