3年以上にわたってISに捕虜にされていたとされるフリージャーナリストの安田純平さんが無事に帰国しました。
身代金を払ったのではないかとか、生きて帰ってこれて何よりだとか、マスコミではいろいろ言われていますが、私は、「この人は大丈夫なのだろうか?」と心配になっています。
というのも、私たちの世代で思い出すのは若王子さん事件というのがあって、それに似ているからです。
昔、若王子さんという商社の支店長がやはりゲリラに誘拐されて監禁される事件がありました。
確かフィリピンだったと思いますが、4か月ぐらい監禁された状態で、やっと解放されたのですが、その後すぐに商社マンとしての激務に戻ったようで、しばらく静かだなあと思っていたら3年後ぐらいに病気で亡くなってしまったんです。
50代半ばの若さだったと思いますが、実は、若王子さん事件当時はメンタルケアなどという言葉もなく、「ご帰国おめでとう。良かったね。」とマスコミが報道して、その後すぐに商社マンに戻った若王子さんの姿が頻繁に映し出されていました。
4か月と言えば、私がいすみ鉄道の社長を退任したのが6月中旬でしたから、それからずっと監禁されていたことになりますよね。
独房なのか雑居房なのかわかりませんが、どのような状態で監禁されていたにせよ、体の自由を奪われて拷問を受けながら死の恐怖と戦う4か月は長すぎます。今でしたら当然、解放された後、例えばフラッシュバックだとかトラウマだとか、いろいろ心のケアが必要だということが誰でもわかりますが、当時はそんな考え方はなかったですから、すぐに社会復帰した。そうしたら3年後ぐらいに病気で亡くなってしまったのが若王子さんという商社マンだったのです。
安田純平さんは、3年以上もゲリラに監禁されて「地獄だった」と言ってるわけですから、帰国する飛行機の中でインタビューを受けているような状況ではないと思います。今日のニュースでは警察が事件について本人から事情聴取をすると言っている。
ちょっと違うのではないかなあ。
本当に3年以上も地獄の監禁生活を送ってきたのであれば、ひとまずメンタルケアの施設に入って、専門家たちからきちんとした社会復帰のためのレクチャーなりリハビリなりを受けて体に蓄積したダメージを癒さないと、若王子さんと同じ運命を辿るのではないかと心配なわけです。
フリージャーナリストですから覚悟はできていて、ふつうの人よりは精神的にタフかもしれませんし、何でもネタにしてお金にするのが仕事かもしれませんが、だとすれば悲しすぎますね。
3年以上も監禁されていて、拘束されて死の恐怖と戦ってきたというのに、それをネタにしてへらへらインタビューに応えなければならないというのは。
今回の解放劇で、なんだか違和感を覚えるのは私だけでしょうか。
報道されていることはさておき、本当のところは別にあるのではないか。
ついついそんなことを考えてしまうのは老爺心でしょうかね。
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