将軍様の飛行機

熱心なスポーツファンの皆様方には申し訳ございませんが、オリンピックに全く興味がないのであります。

 

その、オリンピックには全く興味がない私が「おっ!」と思ったニュースは、将軍様の妹君が北朝鮮から乗ってきた飛行機。

いやいや、素晴らしい飛行機でソウルに降り立ちましたね。

 

何が素晴らしいかって、他のすべての国が、最新鋭の、言うなればN700Aのような飛行機でやってきているのに、将軍様の特使である妹君は蒸気機関車でやってきたようなものだからです。

 

ああ、なつかしのイリューシン。

ふなっしーはイリュージョンだけど、将軍様はイリューシンなのですから。

 

飛行機に興味のない方々にわかり易く表現するとすれば、日本で言えばYS11のようなものでしょうか。

 

う~ん、どうして、将軍様がそんな恥も外聞もないようなことをするのでしょうか。

 

その理由は、たぶん、イリューシンが普通なのでしょう。

彼の国ではふつうの飛行機で、よその国の飛行機がじゃんじゃん飛んでくる状況にないからわからないし気が付かない、

または飛行機に全く興味がないか。

だから、恥ずかしいとか、乗っている飛行機が国力を表しているなどと言うことには気づいていないのかもしれないと思うのです。

 

本当は彼の国にだって最新型のツポレフ204だってあるのですけど、それは中国との間の国際定期便に使う飛行機。今回のように政府要人を乗せた特別機というのは、その要人が滞在中は、何かあったら30分以内に離陸できるように機体も乗員も待機していなければなりませんから、つまりは、最新型の飛行機を4日も5日もソウルに停めておいたら国際線定期便が運航できなくなるわけで、最新型を運用から外すことができない。そう考えると、国際線定期便のための飛行機はギリギリの数しか所有していない、というようなことも知れてしまうわけですが、それでも飛行機でやってきたということに私はとても大きな興味があるのです。

 

なにしろ、1990年に当時の韓国の盧泰愚(ノテウ)大統領が日本を訪問した際に、私はその特別機対応班の一員として、羽田空港に数日詰めていた経験があるのです。

 

さてさて、イリューシンとかツポレフとか言われてもピンとこない皆様方へ、写真をお見せいたします。

 

 

これが将軍様の飛行機、イリューシン62形です。

当時のソ連製でエンジンが4発付いた長距離用の飛行機です。

 

 

この写真は私が前職時代に、「珍しい飛行機が飛んできた。」ということで撮影したいわば「役得」の1枚。

後ろにエンジンが付いているということは、お尻が重くてバランスが悪い飛行機なんですが、そのためにお尻にも車輪が一つついていて、尻もちを防いでいるのがよくわかりますね。

1960年代の旧ソ連の設計で、当時のソ連は西側に比べて遅れていて、設計力や開発力がありませんでしたから、西側の飛行機を見よう見まねでコピーしてそっくりに作り上げていたんです。

 

 

そのお手本となったのがこの飛行機。

イギリス製のヴィッカースVC-10です。

これはイギリスのサッチャー首相が初めて日本にいらした時の大統領専用機。羽田空港で撮影したもの。

VC10は今から30年も前に引退している飛行機ですから、それを今でも将軍様は使っていることになりますね。

 

 

 

こちらは同じく旧ソ連製のツポレフ154。

同じ時に撮影した役得の1枚です。

 

この飛行機は中短距離用で後ろにエンジンが3発付いた形ですが、やはり1960年代に世界的に大流行したデザインで、そのもとになったのはイギリス製のトライデントや、アメリカのボーイング727と言われています。

つまり、コピーで、今風に言えばパクリですね。

 

 

そのパクられた側のボーイング727。

1980年に那覇空港で撮影した、私にとっては唯一の727-100の1枚です。

 

とまあ、今回のピョンチャンオリンピックは、私にとっては、こんな40年近く前の写真を引っ張り出すきっかけになりました。

 

スポーツの祭典とはいえ、いろいろな楽しみ方があるものです。

 

皆さんはオリンピックをいかがお楽しみでしょうか。

 

日本選手の金メダルはもちろんですが、私の願いは何事もなく終了してくれることであります。