今日はここに来ています。
東京から1000km以上離れた駅。
駅名表示が光って見えませんね。
この駅です。
鳥栖。
読めますか?
サッカーが好きな人ならわかるでしょうけど。
「とりす?」
それじゃあ、ハイボールですね。
私は腸の病気をしてから、ハイボールはNGなんです。
それまで大好きだったハイボールが、一切禁止になりました。(笑)
この駅は九州の中でも交通の要衝として栄えた駅。
煙を吐いた機関車ががんばっていた時代には、ここで列車の方向が変わる。
機関車を付け替えたり、方向を変えたり。
あるいは、方面別に列車を組み替えたり。
そういう鉄道の町として栄えたところです。
その当時の名残が駅のホームに残る立ち食いそば。
機関車を付け替えたり、水を補給するためにしばらく停車した、その停車時間にお客さんがホームに降りてそばをすすった。
その時代の生き証人のホームのそば屋が、今でも元気で営業している。
その光景を見て、うれしかったので、大して腹は空いていなかったけど、「かしわそば」。
350円。
今時リーズナブル。
例えば、この駅を、橋上駅にしようとか、高架にしよう、地下にしよう。
JRからそういう提案を受けたら、地元はどうするか。
市議会議員さんも、県議会議員さんも、JRからそういう意見を申し出られたら、たぶん、何も言えない。
ああしてくれ、こうしてくれと要望は出すかもしれないけど、先方からの問いには答えられないと思います。
かつての日本の物流を支えた大動脈の基幹駅も、今で地域需要がほとんどないくて、皆さん道路の渋滞解消などの方がよっぽど関心がありますから、生活にあまり関係のない駅のことなど、ともすれば、「よきに計らってください。」などと言いかねない。
こうして、今の日本では、国家的な文化遺産がいとも簡単に消えていく。
かつてのこの国の繁栄の礎となった鉄道に対して、無関心すぎる。
これが現実なんです。
国鉄からJRになって、地域があまりにも鉄道に関わってこなかった。
だから、地域のリーダーたちが、鉄道に関してあまりにも知らなすぎる。
鉄道や施設の維持管理にいくらかかるなどという知識もまるでない中で、JRの問いかけにどうやって応じるのか。
設備の維持管理に地元がお金を出してくださいと言われたとして、
JRが1億だと言えば1億であり、2億であれば2億である。
どうして8000万じゃなくて1億なんですか?
どうして15000万じゃなくて2億なんですか?
そういうことに対する地域の理論武装ができていない。
いすみ鉄道のような第3セクター沿線の自治体の人たちは、長年自分たちで鉄道を維持管理してきた経験があるから、きちんと計算できる根拠を持っています。
でも、幸いにもJRとして残れた沿線の皆様方は、あれ以来鉄道に無関心になってしまったので、根拠を持っていない。
これが、日本の地方の現実なんです。
そして、今まで何十年も鉄道に関わりを持ってこなかった地域の、今のリーダーたちが、「そんなお金払えないから、しょうがないね。」と言って、文化遺産が消えていくとしたら、それって文化的にどうなんでしょうか。
もちろん文化的だけじゃなくて、気づかぬうちに社会の仕組みそのものが変わって行ってしまうのです。
なんだかなあ。
地方自治にも問題があるけど、この国のインフラであり、国家を支えてきた鉄道が、そういうことで良いのかなあ。
とりあえず、今はちゃんと走っているけど、鉄道会社が地域に対して「どうしますか?」って選択を求めたときに、答えられる人が地域のリーダーの皆さんの中にいないということが、かなりお寒い状況だなあと、かつての鉄道の要衝に来て、そう思うのであります。
ハイボールは飲んでいませんが・・・
そう思うのであります。
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