新宿駅で火災?

今日午後、新宿駅で駅構内に白煙が立ち込める事故があったとニュースで言っています。

 

原因は地下に建設中の「自由通路」で工事用車両がトラブルを起こしたためのもので、いわゆる火災ではなかったようですが、たくさんのお客様でにぎわう日中時間帯ですから、皆さんさぞかし驚かれたことでしょう。

 

報道を見る限り適切な避難誘導措置が取られていたようですから、現場の職員の皆様方は立派に職責を果たされたものと感動しております。

以前にも書いたことがありますが、JRの駅構内というのは、あちらこちらで常に何らかの工事が行われていて、それも100年も前に開通した鉄道の線路を、1日も列車の運転を止めることなく、その線路の下や上で工事が行われているわけですから、実に難しい工事を、周到な計画と準備できっちり行っているわけで、工事の手法や現場のオペレーション技術はもっともっと評価されてよいと私は考えておりますが、それだけ準備していてもこういうことが発生するわけですから、本当に難しいのではないかと思います。

工事現場などの人手不足が深刻化してきている状況の中、現場の皆様方のご苦労は察するに余りあると思います。

 

ということで、本日も現場の皆様、お仕事お疲れ様でした。

 

さて、皆様、今日の報道にある「自由通路」って言葉、聞きなれないと思いませんか?

ふつうに考えると、民主主義のように市民が長年の努力と闘争の上に権力者から勝ち取った「自由」を示す通路のように聞こえるかもしれませんが、そういう「Freedom」の意味の通路ではなくて、同じFreeでも「FOC」、つまりFree of Chargeの意味の自由。つまり、無料で通行できる通路です。

 

国鉄の駅などは、大きな駅になればなるほど、昔は線路が町を二分しているようなところが多く、大抵は片側しか出入り口がありませんでした。

駅舎が建っている側が町の玄関口になっていて、線路の反対側、つまり裏手の方へ行くには、駅を大きく避けて迂回しなければならない構造が一般的でした。

駅舎からホームや駅構内を挟んで反対側へは、駅によっては跨線橋や地下道があって、それを通って行くと反対側に出られる構造のところも多くありますが、それは改札内の通路になりますから、入場券や乗車券を持っている人しか利用できないわけで、なかなか不便な構造だったのです。

今でもあると思いますが、1か月単位の定期入場券などという入場券の定期券があるのもこのためで、反対側へ行くために鉄道敷地内を通行させていただく通行手形ということですが、そのようにお金を払わなくても通ることができる通路ですから、「自由通路」と呼ばれているのです。

それが、今のJR新宿駅にはありませんから、今、その自由通路を建設中だということなのです。

 

人の流れやモノの流れというのがすなわち「交通」でありますから、駅というのは電車が発着するだけではなくて、人やモノが自由に行き交うようにすることで、駅だけでなく街全体がどんどん活性化すると私は考えていますが、最近では自由通路を作らなくても、駅そのものを高架にしたり地下化することで、それまで線路で分断されていた街がつながるようになって、人の流れが大きく変わる現象も起きています。

この間、大分駅へ行きましたら、しばらく来ないうちに高架化されて素晴らしい建物になっていましたが、それだけでなく、以前の大分駅では駅舎のある海側と車庫がある山側とが完全に分断されていましたが、それが高架化でバリアがなくなったことで、人の流れそのものが大きく変わっていて、以前に増して栄えているのには驚きました。

 

こういうように、鉄道の駅というのはどうしても町と一体になっている部分があるわけで、自分の会社のお客様だけに便宜が図られればよいとか、鉄道のお客様だけのためにあるわけではありませんから、その辺のところをしっかりやって行かなければなりません。

 

JR新宿駅の工事はその自由通路を新しく作る工事で、考えてみたらそういう通路ができたって鉄道会社にお金が入るわけでもなんでもないと思いますが、それでも、人々の利便性向上のために、大変難しい工事が粛々と大都会の地下で行われている。

 

そんなことをあらためて思わせる本日の報道でした。

 

本当に何事もなくてよかったと思います。

再発防止は今後の課題でしょうが、とりあえず、お仕事の皆様、お疲れ様でした。