台北の夜は更けて。

おまえは遊んでいるのかと聞かれれば、「はい、そうです。」と答えるしかありませんが、私は私流の仕事のスタイルで仕事をしておりまして、つまり、サラリーマンの世界ではありませんから、会社に出社してタイムカードを押してから、退勤するまでが仕事というものではありません。

 

私のこういう仕事のスタイルに関して、いちいちとやかく言いたがる人たちに共通しているのは、タイムカードに管理されていることが仕事をしていると思っている人たちですから、私は何を言われようが気にしないことにしていますが、それでも、今日もこうして一日遊んでいるのでありまして、気になる皆様方のために今夜もご報告させていただきたいと思います。

 

3月2日に桃園MRTという空港へのメトロが開業した話をさせていただきましたが、今日はそのMRTの会社を訪問させていただき、副社長様にご挨拶させていただきました。

 

この桃園MRTは桃園県が出資する会社で、その桃園県は桃園空港の株主でもありますので、当然、空港への利便性を高めるための工夫があちらこちらにされています。そういうところをしっかりと見せていただき、お話をお伺いすることは、ローカル線の社長としても大切な仕事だと私は考えていますが、「お前の仕事じゃないだろう。」と考える人たちもいるかもしれませんので、会社には出張費を請求せずに全部自腹で賄っています。できるだけ多く自腹を切れば、出ている腹も少しはへこむだろうと思っているのですが、へこむのは財布の中身ばかりで、腹は少しもへこまないのが難点でもありますが。

 

 

 

 

その桃園MRTの台北駅構内に設けられた航空会社のチェックインカウンター。

航空会社のお客様は3時間前までにここでチェックインを済ませれば、手荷物も預けることが可能です。

そうすると、身軽になってもう一度市内へ買い物に出かけることも可能になりますからね。

MRTの電車も5両編成のうち、桃園空港直通の急行電車は、一番後ろの車両が荷物専用車両になっていて、チェックインした荷物を載せて走る。当然セキュリティー検査の機械もあるし、輸出申告のための税関窓口の設置されています。

開業5日目ということで、利用者はまだ少ないですが、なかなか便利なシステムだと思います。

 

こういうシステムは箱崎の東京シティーエアターミナル(TCAT)を始めとして、一時期世界各地の空港のシティーターミナルが作られました。でも、なかなか長続きはしませんでした。その理由は、関わる会社が皆それぞれ株式会社だからだと私は考えています。

つまり、市内ターミナル運営会社、カウンターを設置する航空会社、空港と都市を結ぶ輸送機関(鉄道、バス)、として空港を運営する会社と、それぞれが別々の株式会社だと、例えば航空会社がシティーターミナル運営会社に家賃を払って職員を配置して、ではいったい何人のお客様は来るのか。採算分岐点を当然考えます。20数年前までは箱崎に航空会社のカウンターだけでなく、出国手続きまでできていましたが、採算を考えるとやめた方が良い。バスや鉄道会社だって、もし途中で渋滞や事故があって遅れたらどうするんだ、ということになる。預けた荷物が間に合わなかったらだれが責任を取るんだなどと、それぞれを受け持つ会社が独立した株式会社であれば、そんな余計なことはやらない方が良いわけですから、結局はお客様が荷物を持って遠い空港まで行かなければなりません。成田空港の衰退の原因の一つは、私はそういう部分にあると考えていますが、例えばこのMRTの場合は、行政が出資する会社で、その行政が同じく空港にも出資しているのですから、採算性はもちろんですが、お客様の利便性を考えたデザインになっていて、最終的にトータルで桃園空港の利用者が喜んでくれて、評判が良くなって、利用者が増えれば、それで良いと考えているから、今の時代でも、こういうことができるのではないでしょうか。

 

ちなみに、台湾によく来る人はお分かりだと思いますが、桃園空港はとにかく遠い。その桃園空港がメトロで結ばれて、所要時間36分程度で台北市内の駅に入るわけですから、「桃園は遠い。」というイメージは消えて行くと思います。

成田空港だって、京成のスカイライナーが一生懸命頑張って、在来線国内最高速度で日暮里から36分で結んでいますから、それほど遠いというイメージもなくなると思います。

そうやって、トータルに考えることができれば、トータルで利益を得られる。

これがインフラというものなのではないかと、私は考えているわけです。

一つ一つの関係機関が、それぞれの会社の利益しか考えなくなっているところに、日本のインフラの総合的弱体化が始まっているわけですから、やはり日本人は台湾人に見習わなければならない部分は大きいと私は考えています。

 

 

 

ということで、桃園MRTの副社長さん(左端)と記念撮影です。

 

 

そしてこちらは台湾国鉄の黄処長さん。隣は一緒に同行した私の友人ですので顔モザかけてあります。(笑)

 

黄処長さんは、すでにこのブログでも何度もご紹介しておりますので皆様ご存知と思いますが、今回訪問した目的は7月に台北市内で開催されます駅弁祭り(弁当節)の打ち合わせ。

姉妹鉄道締結している西武、東武、京浜急行、JRなどがこの駅弁祭りに出店していますが、いすみ鉄道はお金もないし、コストもかけられないということで昨年はお断りしたんです。そうしたら、いすみ鉄道が出なければ話にならないから、ぜひ出てくれ、と言われまして、旅費も払うから、と言われてお断りできなくなりまして、「では、参加させていただきます。」という打ち合わせです。

私の考えでは、いすみ鉄道だけでは面白くないので、千葉県のローカル線をいろいろ紹介するコーナーにしましょうと申し上げました。

そんなことになりましたので、その駅弁祭りに向けて、いすみ鉄道オリジナルの弁当箱も作りましょう。という打ち合わせでありました。

 

まあ、これが本日の私の「遊び」でありまして、こちらに来れば大丈夫だろうと思っていた花粉症が悪化して、お酒が入ったらついに充血した右目が見えなくなりましたので、今夜は左目だけでキーボードを打っております。

 

明日は千葉へ帰りますが、片眼のジャックが無事に家に帰りつきますでしょうか?

 

今から楽しみな今宵なのであります。

 

 

こうして台北の夜は更けて行くのでありました。