鉄道業に対して赤字だ黒字だと議論する人たちがいます。そういう人たちは一つの株式会社として鉄道会社を見ているからそういう話をするわけで、インフラとして機能させることの重要性はその議論からは無視されているし、鉄道が人々の夢を乗せて走る存在であるということも議論されていない。まして田舎のローカル線ともなれば、赤字続きで地域のお荷物となっているわけですから、「早いところ廃止にしてしまおう。」という考えも出てくるわけですが、実は、田舎のローカル線はテレビや新聞などで格好の取材対象になりますし、どうしてかといえば、都会人が皆ローカル線の番組や記事を見て、「いいところだなあ、行ってみたいなあ。」と思うから、取材をして取り上げてくれるのです。
そう考えたら、ローカル線が走る田舎の町は、お金をかけなくても格好の宣伝ツールを持っていることになりますし、今の時代、宣伝イコールお金ですから、ローカル線が走る田舎の町は都会人のハートをグサッと鷲掴みにできる絶好のチャンスを持っているといえるのであります。
確かにローカル線は、そのほとんどが戦前にできたものですから、建設当初の役割は終了している。だから地元の人たちは「お荷物だ。」というのですが、だとしたら、その地元の町の漁村や農村などはどうなのでしょうか。これらももはや役割は終了しているわけで。ローカル線が「お荷物」だと言っているその地域だって、実は日本の国全体から見たらお荷物になっているということになるわけです。
赤字だ黒字だという議論になるということは、すなわちそういうことですから、中央に意見を言えるえらい先生がいらっしゃるところはまだしも、そうでない地域は、将来がないということにつながります。
そういう意味でも私はローカル線が会社単体で赤字だ黒字だという議論をする前に、ローカル線を活かして、地域全体が底上げになるようなやり方をするべきだと考えて、就任以来一貫してやってきているのです。
そして、今回、地方創生担当大臣として大活躍された石破さんが、わざわざいすみ鉄道にいらしていただいて、地域住民の方々の前で、「いすみ鉄道は地域の宝ですね。」とい言ってくれたのですから、つまりは私が長年取り組んできたこのやり方が間違っていなかったと評価されたわけで、私は大変うれしいのであります。
さて、本題のJR九州の上場の話ですが、いよいよ本格的に進んでいるようですね。
先日、JR九州のえらい方にお会いする機会がありまして、しばらくお時間をいただいてお話をさせていただきました。
その時に、私は気になっていたことがありましたのでそのえらい方に質問してみたのです。
「JR九州の鉄道業での営業係数はいくつですか?」と。
営業係数というのは、国鉄時代に鉄道が赤字か黒字かを判断する基準として用いられた数字で、「100円の運賃収入を得るために、いくら経費が掛かっているか。」を示すものでありますが、例えばいすみ鉄道の場合は上下分離を計算に入れなければ営業係数は200を超えますから、つまり、100円の収入を得るのに200円以上かかっているわけで、「赤字である。」ということになります。
私の質問に対して、そのえらい方は、「今正確な数字は持ち合わせていませんが」と前置きしたうえで、「だいたい140ぐらいですね。」とおっしゃいました。
私は「えっ? それでは赤字ではないですか。」と答えました。
100円稼ぐために経費が140円かかっているということですから、つまりは赤字ということです。
驚いた私は、「赤字なのに上場できるんですか?」と続けて聞いたんです。
そうしたら、そのえらい方は笑顔で、「そりゃあ、鉄道輸送事業だけでは赤字ですよ。だけど、その他いろいろの事業がありますから、トータルで考えれば上場可能だということです。」と、きっぱりとおっしゃいました。
つまり、一生懸命安全輸送をやって、地域に貢献することで、その他もろもろのおいしい事業もついてくるということなのです。
そして、これが鉄道輸送事業だけでは赤字だけど、上場できるという仕組みなんですね。
いすみ鉄道は、第3セクター鉄道ですから、地域の人たちの支えで成り立っています。沿線は国鉄が木原線を廃止にしようとしたときに、「冗談じゃない。国がやらないのならば俺たちがやるんだ。」と言って立ち上がった気概がある地域です。
つまり、このようなありがたい人たちが住んでいる地域なのですが、逆に考えたら地元の事業者さんや行政が出資してできた会社ですから、第3セクター鉄道というのは関連事業ができない性格があります。
鉄道会社といえばデパート、スーパーマーケット、バス、タクシー、不動産、ホテルなどの関連事業で成り立っているのが普通ですが、第3セクター鉄道がそういう事業に乗り出そうとすれば、たいていのところで地域でご商売をされていらっしゃる皆様の邪魔になる。すぐに「民業圧迫」と言われてしまいます。だから難しいんですね。その代り、上下分離という考え方で、路線バスと対等に競争できるように線路や設備の維持管理費用を行政が負担してくれています。こういう仕組みなんですが、実は今の時代、どこの行政でも予算が厳しくなってきていますから、鉄道にお金を出すのがもったいない。これがローカル線が「地域のお荷物」と言われるゆえんなのです。だから私は、そのお金がもったいないと思われないように、いすみ鉄道が走ることによって、いろいろな形で地域に貢献して、地域に利益をもたらすことができるようなやり方をしてきているのです。
さてさて、鉄道会社というのは、たとえ潰れそうなローカル線でも、やり方によっては大きな利益を生み出すものを持っているわけで、JR九州の上場はそれをはっきりとあらわしているわけですが、もう皆さんお気づきですよね。私は7年かかっていすみ鉄道をブランド化して、東京だけでなく全国的にも波及力を持つまでになりました。ということは、まだまだ稼げるものが隠れているということです。上下分離を換算すればJR九州よりも営業係数が良いわけですし、そろそろいすみ鉄道も次のステップに行く時期がやってきたと考えております。
どなたか、お金持ちの方、または鉄道業に進出してみたい企業の経営者の皆様、いすみ鉄道に出資して、いすみ鉄道の関連事業部分をやってみませんか。
鉄道業の部分は今まで通り我々がしっかりと運営します。
地域外が前提となりますが、関連事業というおいしい部分だけを引き受けていただくおいしい話ですが、いかがでしょうか。
(もともと地域需要よりも地域外需要の方はるかにボリュームがありますから。)
とりあえず3億円程度でお考えいただける方。
昨日の東京海上さんではありませんが、こういう私の考え方にご賛同いただける会社様。
ご連絡をお待ちいたしております。
なぜ3億円かって?
3億円あれば、煙を吐いて走るものが買えるじゃないですか。
これは、ウッソー!
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