何年か前に、家の近くにコストコができました。
私はスーパーマーケット巡りが趣味で、旅先や出張先でも時間ができるとスーパーマーケットや市場をまわっていますが、コストコはWholesale(ホールセール)と言って、いわゆる卸売りスタイルのお店です。
卸売りというのは小売店さんなどの業者さんが仕入れのために買いに行くところで、ふつうの人が行っても売ってもらえません。
なぜなら、卸売価格といって、小売店よりも安い価格で購入できるからで、購入単位も小売店さん向けですから大きめになります。
例えばパンなど1個、2個では販売してもらえずに、大きな袋に入った40個入りとかをバルクで買わなければなりません。
そして何より、Wholesaleですから、ふつうの人では売ってもらえませんし、お店の中に入ることもできませんから、中に入るためには年会費を払って会員登録をしなければならないというシステムです。
こういうWholesale的な販売方法は、日本にはかなり昔からありまして、TOCと呼ばれる東京卸売りセンターが五反田にできてからもうかれこれ50年近くたちますし、日本橋辺りの衣料品問屋街も、会員になれば卸売価格で衣類などを買うことができます。
私が興味あるのは、このような取引の仕組みやシステムと、どのようなものがどのように売られているかということですから、例えば福井県でスーパーマーケットに入ると、油揚げのコーナーだけで関東とは比べ物にならないほど多くの種類の油揚げが売られているのに気づきますし、北海道のスーパーでは納豆の種類が実に豊富で、本家茨城県を上回るほど納豆売り場が充実しているのに気づきます。そして、そういうことを発見するのが私のスーパーマーケット巡りの醍醐味なのです。
さて、コストコは入口で大きなカートをガラガラ押して入りますが、そこにスタッフが立っていて会員証の確認をしています。まあ、これが関所の役割で、売り場は基本的には一方通行になっています。お店の中の写真撮影はできませんからご紹介はできませんが、Wholesaleと名乗るためにでしょうか。スチール製の倉庫のラックに段ボールに入ったままの商品などが無造作に並べられています。
こういう販売方法は別に珍しくもありませんし、バルク(大きな単位)で商品を売るスタイルだって珍しくもありませんが、私がコストコに入って違和感を感じることがあります。
それは、スタッフの名札がすべてファーストネーム(姓名の名)で、ローマ字表記されていることです。
スタッフの胸の名札に「KEIKO」とか「MIDORI」とか「DAISUKE」とか書かれていることで、若い人なら良いのですが、私と同年代かそれ以上の年代のパートさんの名札に「KEIKO」と書かれていたりすると、どうも違和感を感じるのです。
「KEIKO」さんなら、啓子か恵子か敬子か桂子か、どっちなのか。だったらひらがなで書こうよと思わなくもありませんが、違和感というのはそういうこととはちょっと違っていて、わかりやすく言えば、日本人同士なんだから、日本語で良いんじゃないの? ましてお客様も日本人なんだし。ということです。
私は外国の会社に長く勤めていましたし、外国生活の経験もあります。30年以上前からアメリカのスーパーマーケットで買い物をしていましたから、他の一般の日本人に比べて、アメリカ式の販売方法は理解しているつもりですし、英語表記やアメリカ型販売方式も、どちらかというとなじんでいる方だと思いますが、外国のスーパーでは確かにスタッフの名札にはファーストネームで「Tom」とか「Shelly」とか書かれているのを見ても違和感を覚えないのですが、なんとなくこのコストコ方式って、背筋がかゆくなるような感覚なんです。
まあ、外資系の会社ですから、皆さん帰国子女だというのなら理解できますよ。外人のお客様が多くて、スタッフも英語を話すのが基本であればそれでもいいかもしれませんが、どう見ても平面顔の日本人が、同じく平面顔のお客様を相手に接客するのが業務の99%だと思えるのに、「KEIKO」っていうのはどうもいただけないのです。
ところで私はコストコへ行く一番の理由はスナックコーナーで売っているホットドッグ。
玉ねぎとピクルスをたっぷりと乗っけて食べるホットドッグは、日本ではなかなか食べられませんが、コストコのホットドッグはアメリカそのもので、飲み物付きで180円ですから、行ったら間違いなく購入するのですが、カウンターで注文を聞くにーちゃんやねーちゃんたちが、ローマ字で名前を付けているからか、妙にチャラチャラして見えるんです。
「お次の方どうぞ。」と呼んでくれたチャラ男系の「Kenta」くんに、「ご注文は?」と聞かれましたので、思わず「ハッダッ」と言ってしまいましたが、「Kenta」くんは「???」。
ああ、そうか。
チャラ男系「kenta」くんは、会話の語尾が上がっていても、それはアメリカ人ではなくて、イバラギ系日本人だからなんですね。
とまあ、こんなことを考える自分は、若人から見たら「なんだか、やなおやじだなあ。」と心の中でチョームカつかれているのでしょうね。
ふと周りを見渡すと、30代のお母さんたちが小さな子供を連れてグループで買い物をしたり、フードコートで食事をしている。
迷路のように立ち並ぶラックに、見たこともないような大きなボトルのオレンジジュース。近寄らなければわからないような小さな文字で書かれた商品名や値段も、試食のコーナーで、特売のステーキ肉が焼きあがるのを行列して待っていることも、アトラクションと考えられないこともありません。だとするとコストコは、きっとこの人たちにはエンターテインメントなんだろうなあ。そう考えると、ここに来ればアメリカが味わえるわけですから、そういう使い方なら理解できそうです。
結局、コストコは、こういう若い人たちから見ると、わが千葉県が誇るネズミの王国と、感覚的には同じなんでしょう。
う~ん、なぞは解けたが、納得はできない。
これが私がコストコに感じる違和感なのであります。
じじいになったなあ。
さあお昼のホットドッグに続き、今夜はローストチキンにピザといたしましょう。
ずいぶん買い込んでしまいましたからね。
孫と一緒に食べることにしましょうか。
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