富士市におじゃましました。

先日、静岡県の富士市におじゃまいたしました。
富士商工会議所青年部の地域活性化委員会の皆様方への講演というのが名目ですが、わたし的には久しぶりに岳南電車に乗るのが目的で、講演は夕方にもかかわらず、お昼には富士市に到着して岳南電車に乗って沿線を旅しました。
岳南(がくなん)電車はその名が示す通り富士山の山麓の南を走る約9kmの小さな鉄道で、ご多分にもれず乗客の減少で厳しい経営をしている会社です。
近年、それまでの貨物輸送がなくなり収入の柱が一つになってしまったことから、鉄道ファンの間では廃止がささやかれていた時期もありました。
今から2年ほど前に、私がある会社の仕事を受けて富士山メッセに出かけた時に、岳南電車を応援する地元のグループの代表の方が声をかけてくれました。
「このままでは岳南電車は廃止になるかもしれません。でも、自分たちで何をやったらよいかわからないんです。」
そういう不安そうな言葉を投げかけられたのですが、その時の私の答えは、
「勝手に何でもやることですよ。鉄道会社に問いかけたって良い返事なんか来ないんだから、自分たちがこうしたいと思うことを、一生懸命やるだけですよ。」
と、何とも無責任な言い方だったんですが、その応援団の代表の方は、「それで良いなら自分たちにもできる。」と元気になられて、それから、自分たちで何ができるかということを突き詰めて考えたようなんですね。
その方が富士商工会議所の青年部の地域活性化委員会の委員長の鷲見隆秀さん。
その時から私のブログをいつも読んでくれていて、いすみ鉄道ではどんなことをやっているか、その中で自分たちができることは何かないか、などと、熱心に活動をしてこられたんです。
そして、今回、鷲見さんからお声をかけていただいて、富士市へお邪魔したというご縁なんですね。
で、その富士商工会青年部の方が今何をやっているかというと、富士山と工場夜景プロジェクト。
世界遺産の富士山のおひざ元の富士市ですが、夜でも富士山が見えることに気付いて、工場夜景と富士山を売出し中で、これに行政である富士市役所もチームを作って積極的になっているし、岳南電車の線路が工場の中を走る区間では、工場夜景に岳南電車を入れて、それをツアーにしようなどということを一生懸命考えて実行していらっしゃるのです。
富士市の工場夜景のご案内は こちら 。
大の大人がみんな揃って、工場の夜景と富士山はどこから見たら一番美しいかなどということを、行政も手伝って一生懸命で、町中のあちらこちらへ出かけては、写真を写しているんです。
私は、こういう何の役にも立たないような、どうでも良いようなことに、大の大人たちが真剣になって取り組んでいることが大好きなんですね。
だから、今回富士市にお邪魔して、とても楽しい気分になったんです。
せっかく呼んでいただいた鷲見さんに、「何の役にも立たないようなくだらないことを、一生懸命取り組んでいる姿が、実にばかばかしくて、素敵です。」などと憎まれ口をたたいてしまいましたが、それは私のポリシーである「いらないものをどうやって売るか。」ということですから、実に琴線に触れるわけで、東海道の大動脈で、経済的にも余裕がある富士市で、こういうことをやっているということに、とても共感が持てるのです。
この富士市のホームページをご覧いただければご理解いただけると思いますが、今、富士市では岳南電車も地域の宝として認識し、できる限りの支援をするようになりましたし、それにこたえるように、岳南電車の側も、地域の足であることはもちろんですが、それ以外の広告塔としての役割に気付いて、少しずつ変わってきているのです。
これを「いすみ鉄道効果」という地域活性交通学術用語になる日も近いと私は考えているのです。

[:up:] 懇親会での記念写真。
私の隣にいるのが鷲見隆秀さん。その隣、写真右端は岳南電車の上原社長さんです。
地域代表の鷲見さんと上原社長さんが並ぶこの写真1枚見ても、岳南電車が地域密着の会社であるということがわかりますね。

[:up:] 富士山と工場夜景。(富士市のホームページより)
さて、その岳南電車ですが、私はこの鉄道は観光鉄道として実にいろいろな使い方ができると考えています。

[:up:] 湘南スタイル2枚窓の可愛い電車。昔井の頭線で走っていた電車ですが、1両で見るととてもかわいい電車です。



[:up:] 沿線はいたるところで富士山が良く見えます。
岳南電車は全部の駅で富士山が見える日本で唯一のローカル線です。

[:up:] 使わなくなった古い電気機関車が大切に保存されています。その向こうにも富士山が。

[:up:] 工場の中を走る区間。ここをライトアップして、電車が走るイベントも行われています。


[:up:] 運転席も向こうには富士山が。
車窓と言っても横ばかりじゃなくて、正面に富士山が見える区間もあるんですよ。
この日は少し雲がかかっていましたが、翌日はこんなに良く見えました。[:down:]
これは全く個人的な意見ですが、私は、新幹線で通るたびに富士市内から見る富士山が一番きれいで正統派のような気がしています。
さて、岳南電車の工場夜景には足元にも及びませんが、いすみ鉄道の西大原-上総東間にあるムーミンの池ですが、実は、夜、ニョロニョロの目が光るって知ってましたか?
NPOいすみライフスタイル研究所の奥村さんがムーミンの池の手入れをしてくれまして、夜、少しだけ光るように細工をしてくれました。
多分、気付いた人はまだ一人もいないでしょうね。
何の役にも立たない実にくだらないことなんですが、こういうことも楽しみの一つだと私は思いますし、それに面白がって共感してくれたいすみライフスタイル研究所の奥村さんも素敵だと思いませんか。
富士商工会議所青年部の皆様方、どうもありがとうございました。
鷲見さん、これからまだまだ面白くなりますよ。
一緒に遊んでください。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。