理想の飛行機

スカイマークの最新鋭機、エアバスA330が立派であります。
何が立派かというと、グリーンシートと呼ばれる座席で、まるでビジネスクラスのようにゆったりしていて、他の航空会社のように前方座席の一部だけじゃなくて、前から後ろまでA330の機内全部がこの座席なのです。


飛行機の客室はたいていファースト、ビジネス、エコノミーと区分けされていて、エコノミーは「安いんだから我慢しなさい。」と言われているかのように、肩をすぼめて座るほど座席の幅が狭く、足を伸ばすこともできないほど前後の間隔が狭いというのが常識の航空業界にあって、特別に料金を必要としない普通の座席が、これほどまでゆったりしている航空会社は、私は今までなかったんじゃないかと思いますが、それほどゆったりしているにもかかわらず、運賃はANA、JALに比べてはるかに安いのですから、私は理想の飛行機なんじゃないかなあと思うのです。
何しろ、ANAもJALも最近は座席の幅を狭くして1列増やしたB777が主流で、運賃はそのままで座席だけLCCになったのではないかと思うほど、なんだか釈然としない気分でいますから、年末に2度ほどこのA330に乗って、私はこれから福岡へ行くときはスカイマークにしようと思うのであります。
ANA、JALの東京―福岡線の大人片道普通運賃は41390円。
それに対してスカイマークは27000円。
1万円以上安くて、座席がこれですから、ラウンジがなくても、優先搭乗がなくても、機内の飲み物が有料だとしても、手荷物優先引き渡しがなくても、機内でゆったり過ごせるスカイマークのA330に軍配が上がります。
ところが、どうしたことか、機内に入って見るとガラガラなんです。
片や、JALやANAの肩を寄せ合う狭い座席の飛行機は満席。
運賃の優位性、座席の優位性もはるかにスカイマークの方が上だというのに、人々はなぜこういう理想の飛行機には乗らずに、高くて狭くて古い飛行機に乗るのでしょうか。まして、安全性という一番重要な部分でもスカイマークは特に問題があるわけではないのですし、JALやANAが特段すぐれているということも言えないと思いますから。
こういう現象を目の当たりにすると、商売というものは良い商品を安く作ればよいというものではないということがわかります。
いくら安くて良い商品を作ったとしても、それだけでは売れないということなのです。
では、なぜ売れないかということですが、スカイマークの場合、会員制やマイル積算制度がありませんから顧客の囲い込みができていません。企業に対する営業力も弱いのかもしれません。これはブランドなんですが、そういう商売上の戦略だけじゃなくて、日本の航空業界にはある種の「構造」があるんです。
今回、こんなに素晴らしい飛行機を飛ばしているスカイマークが経営の危機を迎えているということで、大手航空会社に支援を求めましたが、これに横やりが入ったのを皆様ご記憶だと思います。
航空会社が何かやろうとすると、「誰に断ってそんなことをやろうとしているのか。」とか、「まかりならん。」と偉そうに言う人たちがいるんですね。
そういう人たちは、新しいことができない仕事のやり方をしている人たちで、お金を稼ぐという才能が全くない集団に属しているのですが、自分がこの国を動かしていると勘違いしている人たちですから、会社毎に役割を決めて、「君のところはこの範囲で仕事をしなさい。」なんてことを長年やってきたわけですが、スカイマークという会社はそういう護送船団方式の航空業界に風穴を開けた会社です。
ということは、つまり、この国の仕組みをコントロールしようとしている人たちから見たら、スカイマークは自分たちの言うことを聞かない異端児ですから、会社設立の時から何かにつけて目の敵にされて、簡単に言えば、スカイマークは意地悪ばかりされてきたんです。
それでもスカイマークは、利用者の皆様方へ安くて良いサービスを提供しようと頑張ってきているのですから、私は応援したくなるのです。
考えてみれば、赤い翼の飛行機だって、自分がこの国を動かしていると自負している一部の人たちにさんざん食い物にされてきて、最終的には破綻してしまったわけですから、能力がないのに権力ばかりを手にするってことは、実に罪作りなことだと言えるのです。
まあ、こういう話は今の時代NHKも朝日新聞も言わなくなってしまいましたが、私はスカイマークを応援することで、自分の主義主張を通していきたいと、このように考えているのです。
だって、その他の国内LCCは、よく見れば皆大手のセカンドブランドじゃないですか。
消費者の皆さん、よく世の中を観察しましょうね。
そして、スカイマークにどんどん乗りましょう。
※B737で運航されている便は従来通りの座席ですのでお間違いのないように。
なお、ミニスカCAはすでに過去の存在でございますので期待なさらぬようにお願いします。