この間、青い翼の機長さんが、赤い翼のFBページに「調子に乗るな。」と書き込んで話題になってましたね。
この「調子に乗るな」が暴言かどうかはさておいて、会社の方は「厳正に対処します。」と言っているようだけど、どうやって厳正に対処するんでしょうか。
会社も広報部の公式見解では赤い翼に対して、「税金で再建したのに、これ以上優遇するのはけしからん。」というような発言を何度も繰り返しているから、そういう会社が、この機長をどう厳正に対処するのか、一言で言うなら、「そういうことは会社が言うから、あなたは言わなくてもよろしいです。」ということぐらいしか言えないんじゃないかなあ。つまり、発言そのものについては、ニュアンスは違えど、同じことを会社も言ってるわけですから、そういう会社がこの機長を処分するとしたら、会社そのものの見解の整合性が問われることになると思うのです。
常日頃から赤い翼の応援をしている私が、なぜこんなことを言うかと言えば、この機長が「調子に乗るな」と言った気持ちが私にはよくわかるからで、その点では青い翼の会社は、会社発足時代からずいぶん虐げられてきた歴史がありますから、私としてはこの際だから、気取ってないで、もっともっとアグレッシブになってくれたら良いのになあと思います。
というのも、若い皆様方、といってもおそらく40歳以下の人たちはご存じないかと思うのですが、かつて、1980年代までの日本の航空行政は非常に硬直的で、お役人様の意思通りに飛ぶように求められていた時代で、良く言えば棲み分けが完全にできていました。
赤い翼は国際線と国内の幹線(沖縄、福岡、大阪、東京、札幌)、青い翼は国内線全般、そして、もう一つ存在した虹色の翼は国内線のローカル線部分。
それが営業権を与えられた路線でしたから、青い翼としたら、おいしいところは全部赤い翼に持っていかれて、悔しい思いをずいぶんしてきたんですね。
こういうことは営業面だけでなく、例えば空港内のランプと呼ばれるゲートの取り合いや、離陸の順番待ち、飛行許可の順番など、青い翼は、あらゆるところで虐げられていたわけなんですが、くだんの機長さんは、私と同年代でしょうから、おそらくそういう時代にたたき上げから経験してこられた方だと思います。
何をやるのでも赤優先で、青は出る幕そのものがなかった時代を知っている私としては、「そりゃそうだよなあ。」と思うわけですが、そういう時代の青い翼は、例えて言うならば昔の農家の二男坊、三男坊のような存在で、つまり、親の庇護は受けられず、自分の食い扶持は自分で何とかしなければ生きていかれない存在でしたから、パイロットも、地上職も、営業も、皆さん生き生きとしていて、まるで野武士のような「青い翼魂」のようなものを利用者も感じていたんですね。
でも、1980年代から国際線に進出すると、ちょうど時代の波に乗っかってどんどん会社が多きくなっていって、同時に新しい社員がどんどん増えると、いつの間にか「自分たちは一番だ。」と肩で風を切っているような会社になっちゃったんです。
農家の二男坊が、なかなか食えずに苦労していた時は、応援したい存在だったんですが、ある日突然、成金になって、「ここまで来たのは自分の力だ。」みたくなってしまい、自分が貧しい農家の出で、皆さんのおかげでここまで立派になれました的な姿勢が消えてしまって、自分たちは一流企業だと、今までの苦しかったことを恥じているような、そういう社風になってしまったのがちょうど漢字3文字からアルファベット3文字に変更したあたりでしょうか。
なんだか鼻に付くいやな会社に成り下がったのです。
国際線を飛び出してまだそれほど月日が経っていないにもかかわらず、自分たちは国際企業だと肩で風を切っている割には、会社の度量というか、困っているときはお互い様なんだから助け合いましょう的なものが、この会社には(私の知る限り)ほとんどありませんから、現場ではぎくしゃくすることが多くて、それでも図体だけは大きくなっちゃったもんだから、周りは彼らに従わなければならないというのが現状なんです。
これに対して、赤い翼の方は、もともとが農家の長男的体質ですから、おっとりしていて、「いいよ、いいよ。」と困っている人を見たら率先して助けてくれる。
だから現場でも本当に頼りになる存在で、「やっぱりキャリアが違うよね。」と「成金」と完全に区別していたんですね。だから、その面倒見の良い会社が傾いてしまったら、今度はこちらが面倒を見る番で、今までの恩返しをするのは当然ですから、私は今でも「赤い翼を応援します。」と公言しているのです。
話を本題に戻しますが、今までの会社の経緯や航空業界の歴史を知っている身としては、青い翼の機長さんが赤い翼に向かって、「調子に乗るなよ。」という気持ちはよく理解できます。だから、機長さんが個人的な立場で「調子に乗るなよ。」と言うことは賛成なんですが、逆に言うと、会社が、税金で立ち直った赤い翼に対して言い方はともあれ、「調子に乗るなよ。」的な内容の公式見解を出していることはどうもいただけないわけで、それこそ、「調子に乗るなよ。」と言ってやりたいぐらいなんですね。
レオナルドダビンチを背負っていた時代の青い翼の会社というのは、そういう会社じゃなかったんです。
「赤い翼に追いつけ、追い越せ」をスローガンに、大きな力に虐げられながらも全員で頑張っていて、誰が見ても応援したくなる会社だったんです。
その頃の時代を思い出して、「自分は世界一」なんて顔をしないで、もう少し謙虚な会社になってくれたら、私だって絶対に応援しますよ。
今年の春のコマーシャル騒動を見てもお分かりいただけると思いますが、自分たちが正しいと思ってやっていることが、世の中から見たらずれているんだということがわからないというか、会社のトップすら気付かない。だから慌てて訂正する羽目になるわけで、国際的に見たら会社の判断基準そのものが常識はずれなんですから、早くそのことに気づいて、いつまでも気取ってないで、かつてのようなハングリー精神あふれる元気の良い会社になってもらいたいなあと思うのです。
といっても、社員の半分以上がアルファベット3文字がブランドだと思っているのでしょうから、当分の間、嫌味な会社が続くんだろうなあ。
ということで、赤い翼の皆さん頑張ってください。
そして、青い翼の機長さんはじめ現業部門のスタッフの皆さん、頑張ってくださいね。
(つづく)
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