INSANITY (狂気)

先日、日本で活躍しているニュージーランド人と話をする機会がありました。
私がローカル線の立て直しに必死になっていると聞いて、彼がこう言いました。
Doing the same thing over and over again and expecting different
results is Insanity.
同じことばかりを繰り返しやっていながら、違った結果を求める人がいたら、その人は狂っているのです。
私は久しぶりに外人の考え方を聞きましたが、考えて見れば、今、私がやっていることもまさしくこれに当たるわけです。
英語はストレートな言語ですから、「同じことをやっていながら、違った答えを求めるなんて気ちがいのやることだ。」なんて強烈なものの言い方をしますが、日本語だって、「現状に満足せずに違う結果を求めるのならば、方法を変えなければだめです。」という意味では全く同じ。
ローカル線は過去40年間にわたって日本のお荷物になってきていますが、それでも何とか残したいというのであれば、やり方を変えなければだめだよね、というのが彼の考えです。
社会にはいろいろな制度や仕組みがあります。
法律や条例、社内規則や基準、人々の物の考え方、取り扱いマニュアルなどなど、いろいろな条件や約束で会社も動いているのですが、どうしてもうまくいかない、つまり違った結果を求めたいのであれば、それら制度や仕組みを変えなければだめなのです。
日本人はこの点を理解していない人がとても多いように感じます。
今のままではダメだということは理解していても、前例主義が蔓延しているために新しいやり方を誰もやろうとしないし、もし誰かが新しいやり方をやろうとしても許可しないし支持しない。
新しいやり方でチャレンジしようとしている人を応援しないばかりか、足を引っ張ったり、小さな失敗を大げさに宣伝して、「だからダメなんだよ。」何て言ったりする。
そんな状態で、「日本は行き詰ってしまった。」と本当にそう考えているとしたら、その人は狂っているということ。つまり、そういう人にはお引き取り願って誰か別の人をアサインしなければならないということであり、またはその会社や地域は立ち直るだけの資格がないということなのです。
例えば新幹線が開業して並行在来線を地元の自治体が引き受ける。
これは、誰が見ても「別の結果を求められる」状況です。
だったら、今までの物の考え方の延長線上には答えはないわけで、全く新しいやり方をしなければなりません。
ところが、並行在来線を引き受ける側の人たちにそういう心の準備ができているかというと、さて、どうでしょうか。
明日、私は糸魚川へ行きます。
北陸新幹線開業で北陸本線から転換される「えちごトキめき鉄道」の利用促進と地域活性化のためのセミナーに出席します。
糸魚川といえば、いすみ鉄道で余生を送るキハ52-125が最後まで活躍していた大糸線の始発の町。
市長さんが大多喜にいらしていただいたりと不思議なご縁があるところです。
地元の皆様方が、新しい鉄道をどのようなお気持ちで迎えようとしているのか、大変興味がありますので、自分の目で確かめてみようと思っています。
頻繁に走っていた特急列車がすべて新幹線に置き換わり、地域輸送だけになるわけですから、今までのような輸送業者としての考え方の延長線上には未来はありません。
だから、やり方や考え方を変えて、それができるような下地作りが必要なのです。
というようなお話をさせていただきたいと思っています。
糸魚川の皆様、明日、お会いできることを楽しみにしております。
(ちなみにこのInsanityの言葉は、アインシュタインの格言だそうです。)