おならオヤジ

昨年、潰瘍性大腸炎という病気を患ってから、腸の動きが活発になっているのでしょうか。
何だかこのところお腹が張って、おならが出そうになる。
出そうになるというのは、寸でのところで気合を入れて防御しているからであって、気合が入らなかったら、「ぷ~」とか「ぶー」とかなってしまいそうなのです。
「~」と「ー」の違いはおならの勢いを示していて、「PU」で始まるものはフェードアウト的に「~」となり、「BU」で始まるものは比較的強烈で、例えば蒸気機関車の出発の汽笛のように勢いがあるわけです。
私は子供のころからお腹が弱くて、すぐに下痢をするタイプでしたから、おならに関しては気を緩めてはならないと子供のころから自分に言い聞かせ、水戸光圀翁を人一倍鍛えてきたので、寸でのところで気合を入れるといっても、これは日常茶飯事のこと。
うっかり気を許すと、気体だけでなく固体(時として液体)を放出してしまいかねない人生を長年送ってきたわけですが、ここへきてどうも様子が変わりつつあるわけです。
子どもの頃、親戚のおじさんがよくおならをしていて、「ぶー」とやっては人の顔を見て「失礼!」という。
おじさんによれば、思わず出てしまった時には「失礼」と言いなさい。
ということは、「失礼」と言いさえすれば、いつでもおならをしてよいんですか、とたずねると、「出物腫物」であるという。
人がいるのにおならをするのはこのおじさんだけじゃなくて、他のおじさんもみんな「ぶー」「ぶー」いっているのですが、私のおやじは「トイレへ行ってしなさい。」と私を教育してきたので、私は人前でおならを「ぶー」「ぶー」するのはいけないことだと思っていたのですが、おじさん達にそう言うと、「そりゃあ、お前のおやじが変なんだよ。」との答えが返ってくる。
親戚のおじさんだけじゃなくて、駅の通路や電車の中でも平気でおならをするのはオヤジの専売特許みたいになっているから、50を過ぎた自分が、やたらガス発生装置のようになっているのを見ると、「ああ、俺もついにおならオヤジになってしまったなあ。」と感慨深いものがあるわけです。
ところで、女の人はというと、心置きなく話ができる知り合いの女性に依れば、「そりゃ、女だってするわよ。だいたい、音が出ないようにするのよ。」とのこと。
女性は音が出ないようにおならをすることが特技なのでしょうか。
ちなみに私の場合、おなかの健康状態が比較的良い場合は蒸気機関車が発車するときの汽笛型。すこしおなかの調子が悪くなりかけているときは夜汽車の汽笛のような余韻型。そして、おなかの調子が良くないときは音が出ないような「スー」でありますので、俗にいう音の出ないおならは一番臭い、ということが「そりゃ、おなかの調子が悪い時だからそうだろう。」と思っていたのですが、女性が意図的に音が出ないおならをするときは、いったいどのような臭いがするのか、嗅いでみたくはないけれど、怖いもの見たさというのも無きにしも非ずです。
まあ、強いて言えば、こういう女性と2人でいることを日本語では「臭い仲」というのだろうなあ、と考える今日この頃なのでございます。
余談ですが、自民党の安倍総裁は私と同じ潰瘍性大腸炎の病歴があるらしい。
「さぞかし大変だろうなあ」とつくずくご同情申し上げる次第でございます。
そして、そんな私にも、そろそろまた大腸検査の季節がやってくるのです。
本日は正体が見えないうちに消えてなくなる程度の笑い話でした。
(11月11日11時11分にて)