先日、京都府議会議員の皆さま方10数名が、いすみ鉄道に視察にお見えになられました。
私は、「世界一の観光地である京都の皆さまが、いすみ鉄道に何を視察に来られたんですか?」と疑問に感じたことを、素直に質問しました。
でも、先生方は皆さん真剣で、やっぱり、世界の京都といえども、常に向上心と探究心は持ち続けないとダメとのこと。
常に勉強は必要なのですね。
実は、京都にも北近畿タンゴ鉄道といういすみ鉄道と同じような経緯のローカル線があり、さまざまな問題点や課題がおありのようです。
わかりますよ。
ローカル線の現状はどこも同じように厳しいのです。
大多喜駅前の観光本陣の会議室での勉強会。
ムーミン列車での記念撮影。
府議の皆さま方はその後、ムーミン谷の国吉に列車で移動。
いつも上総中野から国吉病院へ通っている90歳のおばあちゃんが、その列車にちょうど乗り合わせていました。
そうしたら、こともあろうに、おばあちゃんは見かけない議員の皆さまが乗ってきたところで、サッと席を立って、一人の方へ席を譲ったのです。
譲られた議員の先生はびっくりして、もちろんおばあちゃんを席に戻してから、「どうして、おばあちゃんが私に席を譲るのですか?」と質問しました。
おばあちゃんは、
「あなた方のような観光のお客様が来てくれるようになったから、この鉄道が残ることができた。だから、あなた方は大切なお客様なのですよ。」と答えました。
議員の皆さまは、90歳のおばあちゃんが席を譲ってくれる鉄道なんて、日本中どこへ行っても他では考えられない、といってびっくりしていました。
でも、千葉県の房総半島やいすみ鉄道沿線地域って、そんなのんびりとした、温かみがある地域なんですよ。
だから、良い所なんです。
森田健作知事が言う「おもてなしの心」って、こういうさりげないことなのだと思います。
だって、おばあちゃんにとって、座席は一番大切なもの。それを人様に譲るのですから、これこそおもてなしだと思います。
私は、ムーミン列車や昭和のディーゼルカー・キハ52で、いすみ鉄道全体をアトラクション化しているとお考えになっていらっしゃる方もいらっしゃるようですが、アトラクション化は目的ではなく手段。
このようなおばあちゃんたち地元の利用者の生活路線を守るための1つの手段として、観光客の皆様に来ていただき、地域外の方々のお力を貸していただきたいというための、観光鉄道化(アトラクション化)なのです。
だから、皆さんから見れば遊んでいるように見えるかもしれないけれど、私は遊んでいるわけではないのであります。(ちょっとだけ真剣!)
ところで、国吉病院へ通っているその90歳のおばあちゃん、この春、しばらく姿を見ないことがありました。
温かくなって久しぶりにお見受けした時に、「どうしてました?」と声をかけたところ、
「すこし具合が悪かったもので」と言われました。
漫才ではありませんが、具合が悪くなると病院へ行けないというのも過疎地域の現状なのです。
おととしの冬に、国吉駅の待合室に蒔きストーブを付けた時にも、「ああ、これで汽車を待つのも楽になった。」と喜んでくれたおばあちゃん。
いつまでも元気で、いすみ鉄道に乗って病院へ通ってくださいね。
京都府議の皆様、遠いところお訪ねいただきましてありがとうございました。
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