昭和30年代末ごろのお話です。
当時、ソ連が核実験を何度も行っていました。
核実験後、その核実験で放出された放射性物質が気流にのって日本列島に流れてきたのでしょう。
私は母から何度も「今日は放射能の雨が降るから、外へ遊びに行ってはいけません。」と言われた記憶があります。
放射能の雨?
子どもだった私は何の事だかわからず、いつもなら着ないレインコートを着て買い物に行く母の後姿を見送り、家で留守番をしていました。
「放射能の雨にあたると、髪の毛が抜けてしまいます。」
母はいつもそう言っていたので、小学生になっても、私は髪の毛がない人を見ると、「ああ、あの人は放射能の雨にあたったんだ。だから髪の毛が無くなったんだ。」 と信じていました。
今、原発の影響で、今夜からの雨にはできるだけあたらないようにと言っているニュースを聞いて、「放射能の雨か・・・」と子供のころを懐かしく思い出しました。
昭和30年代と言えば、広島、長崎に原爆が落とされてから10数年しか経過していませんから、いったいどのくらいの放射線量かも知らされていない当時の日本人にとっては、大きな恐怖だったと思います。
今回の原発では、放射線量が、その単位まで解説されて克明に情報として発信されていますから、当時から比べたら、やたらに恐怖心を感じる必要はないと思います。
ただ、当時と違うのは、情報そのものの量があまりにも多いために、受け取り手側が、その情報をきちんと選択して整理して受け取らなければならないということでしょう。
私たちの側で、きちんと判断することが大切で、そうしないと、情報に振り回されて頭の中が混乱するばかりです。
日本人は自身の健康について、あまりにも神経質になりすぎるような気がします。
福島県や茨城県北部で被災された人たちなら一大事ですが、東京近郊に住んでいて、原発から漏れ出た微量の放射能が健康を害すると考えて恐怖におののいている人に限って、健康のために毎年きちんと人間ドックや、付加検診を受けていたりするのが、私は興味深い現象に思えます。
健康診断や人間ドックでバリウムを飲んだりCTで胃をチェックするのは確か35歳以上の人ですね。
昔、医者の友達がこんなことを言っていました。
35歳という年齢は、ちょうど分岐点なんだ。
何の分岐点かと言うと、バリウムを飲んで検査をすることによって放射線を浴びてガンになる確率と、バリウムを飲んで検査することによってガンを発見できる確率の分岐点。
つまり、35歳以下だと、ガンを発見するための検査によってガンを発症する可能性の方が高く、35歳以上の人だと、放射線を浴びて検査をしても、ガンになる確率よりもガンを発見できる確率の方が高いから、35歳なんだ、と。
真偽のほどはわかりませんが、一つだけ確実に言えることは、健康診断や人間ドックで、昨日今日報道されているような原発の放射能の何倍もの放射線を被ばくしているということです。
胸のレントゲンを撮るときに、「はい、息を止めて!」って言われるでしょう。
あれは照射中に呼吸を通じて放射能が体内に入るのを防ぐため。
シャッター速度が遅くて、ブレてしまうことを防ぐためではありません。
原発の何倍もの放射能を健康のためと信じて、自分から浴びに行っていることの方が、私としてははるかに心配ごとだと思うのですが、皆さんはどう思いますか?
首都圏に住んでいる人たちは、今年の人間ドックや健康診断どうするかを考える方が、原発よりも重要課題なのではないでしょうか。
今回の原発の事故を機会に、身の回りのことをいろいろと考えて見るのもいいかもしれません。
今の時点で言えることは、あまり気にするとかえって体に良くないことだけは確かだと思います。
ちなみに私は健康診断などはせいぜい3年に1回がいいところ。
この体型を見た医者に言いたい放題言われる恐怖心で、とても行く気にはなりませんから。
50を過ぎて髪の毛が薄くなった自分を鏡で見るにつけ、子供のころ浴びた放射能の雨が、今頃効いてきたと思う今日この頃であります。
今夜のブログは少しリラックスして考えて見る練習ですね。
あっ、また揺れた!
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