いすみ鉄道で「鉄分補給」しませんか?

鉄道を楽しむことを最近では「鉄分補給」と言うようですが、
私のような鉄坊の世界では、以前からこの言葉は使われていました。
いすみ鉄道の社長に就任してから、会社に来ると自動的に鉄分を補給できる自動補給機能を得ましたので、皆さまにも少しお分けしようと、鉄分補給コーナーを作ってみました。
鉄分といっても、私の場合はどちらかというと「煙分(えんぶん)」補給。
今回は「房総のけむり饅頭」の話をさせていただきます。
房総半島から汽車の煙が消えたのが昭和44年(1969年)ですから、かれこれ40年になりますか。
当時のことをはっきりと覚えている自分も、すでに半世紀になっていることに驚きますが、
その3年後には東京駅の地下ホームが完成し、ピカピカの特急電車(183系)が走り始めたのですから、いかに世の中が急速に発展したかがわかります。
房総のけむり饅頭は、そんな昔を思い出していただくお饅頭です。
昔は汽車で旅行するときは、煙が入ってくるので、きれいな洋服を着ていくことはできませんでしたし、窓際に座るのも気がひけたものでした。
子どもだった私は窓から顔を出して思いっきり煙を浴びて楽しんでいましたが、トンネルの中でどのくらい煙が入ってくるか試そうと、窓を開けていて、周りのお客から怒られたりしたものです。
家に帰って風呂場で桶にお湯を入れて頭をすすぐと、桶の中に煤がちらほら浮き出てきて、「本日の収穫」などと喜ぶバカ子でした。
大多喜に来て、食用の竹炭粉の話を聞いて、真っ先に思いついたのが、汽車旅の収穫である「煤(すす)」でした。
そして、いろいろ試行錯誤をして誕生したのが、「房総のけむり饅頭」というわけです。
どのような試行錯誤かというと、まず、竹炭粉の大きさの違いによる饅頭の色と味。
次に混ぜ合わせる分量による色と味。
そして、しっとり感を出す方法。
そのたび毎に、うちのスタッフが試食係として饅頭の味見部隊の役を担いました。
そして誕生したのが「房総のけむり饅頭」
これを食せば、鉄分と煙分(えんぶん)の両方を同時に採ることができます(笑)

この「房総のけむり饅頭」の表紙に使用した写真は、昭和43年に撮影した総武本線の列車。
場所は南酒々井(みなみしすい)です。
撮影は私の「鉄」の先輩で、JTBのOBの山路善勝さん。
C57が引く銚子行の各駅停車が、ゆっくりと発車していくシーンです。
この場所は、現在、東関東自動車道が上空を通過していますが、
駅そのものは今もほとんど変わらずに残っています。
下の写真は、夕方の南酒々井を発車していく列車。
昔の汽車はこうやって煙を残して走り去って行きました。
どうです。雰囲気あるでしょう。
今なら環境破壊で大変なことになるでしょうが、
昭和の昔はこういう時代だったのですね。
「房総のけむり饅頭」をよろしくお願いします。

なお、「房総のけむり饅頭」は現在、おかげさまで製造が間に合わない状況にあります。
駅売店のみでの販売となっております。
オンラインでのご注文の受け付けは今しばらくお待ちください。
10月中旬をめどに、オンラインショップもオープンいたします。