先日来私が「今度の3連休には大井川鐵道には来ないでください。」と言い続けてきた理由がこれです。

昭和20年代の茶色い電気機関車に「出雲」のヘッドマーク。
これを見た瞬間に私の脳裏に浮かんだのは何だと思いますか?
鮎川哲也の急行「出雲」です。
今の時代、鐵道ファンであっても90パーセントの人は知らないと思いますが、あの小説が書かれたころの急行「出雲」は、東京駅を出るときにはこんな感じだったんだろうなあ。
ていうか、後ろの客車は1両ですから、まったく違いますが。

そうなんです。
これが本日の急行列車。
客車不足でたった1両。
電気機関車に客車がたった1両ですよ。
しかもオレンジのトーマス色。
こういうのをゲテモノ列車と言わせていただきます。
9月の段階で「車両が足りません」と急に言ってくるんですから、車両課長、何やってんだという話ですが、これはこれでネタにするしかありません。
でも、1両ですからね。
乗せきれなくなってお客様にご迷惑をおかけするわけにはまいりませんから、「来ないでください」と申し上げたのであります。
で、ほとんどすべての皆様方が私の忠告に従ってこのお休みはお台場へいらしていただいたようで、お台場の売り上げは対前年比大幅アップとなったのでございまして、「ありがた山の寒ガラス」なのでございますが、中には「面白そうだから行ってみよう」という方もいらっしゃるようでして、

このお2人は兵庫県からわざわざいらしていただいた、つまりはゲテモノ趣味の方でございます。


ということで、発車前にサボを取り付ける車掌さん。
「指定席」とありますが、大井川鐵道の急行は一部を除いて一応指定席扱いなのですが、料金は同じなので、まぁ空いていれば座席指定を受けてなくても急行料金でお座りいただいてもかまいません。
でも、1両ですからね。
私としては観光列車に乗りに来てお座りいただけないのは気の毒ですから、お勧めしなかったのであります。

そんなたった1両の急行列車ですが、車掌さん色々と工夫してくれていたようで、車掌室の窓にはこんなサボが。
凝ってますねえ。


金谷からの連絡列車が到着してたくさんのお客様が下りてきましたが、ほとんどのお客様はこの後のトーマス目当ての方でしたので、鮎川哲也の急行「出雲」に乗った人は数名程度。
車内はこの程度の乗りでした。

窓から隣の車両を見ると、旧型客車と12系が仲良く手をつないでいました。
このまま走ったら、こちらも現代ではゲテモノの種類に入るかもしれません。

ということで「出発進行!」

ふだんは後ろにも機関車が付いていますが、今日は前だけ。
後ろが見えるのも客車列車の醍醐味。
発車前に車掌さんが窓を磨いてくれていましたので、後面展望が楽しめました。


と、そこへ「お邪魔いたします。」の声。
なんと、車内販売のお兄さんがやってきました。
たった1両の急行列車なのに車内販売が乗務。
私はうれしくなって、ジュースと車内販売限定品のSL目覚まし時計を購入しました。
SLの汽笛でお目覚めできる目覚まし時計です。
お家の目覚まし時計が少々調子悪いものですから。
するとお兄さん、
「社長、目覚ましではありますが、音が小さいので本当に目が覚めるかどうかは保証しませんよ。」
だって。
良いじゃないですか、あとは自己責任ということで。

お家に帰って早速ベッドサイドに置いてみました。

大井川の流れを見ながら車内販売で買ったジュースでク~!

茶畑を抜けて、列車はあっという間に家山駅に到着しました。


家山駅に到着するとすぐに機関車を切り離し。
そうです。機関車を反対側に付け替えるのです。


一旦千頭方に引き上げた機関車が戻って来て今度は金谷方へ。

この間、客車が1両になってしまうため、ブレーキはかかっているのですが、念のために手ブレーキが付いたスハフじゃないと運転できません。皆さん茶色の客車を望んでいるでしょうけど、今動ける茶色の客車はオハなので、1両の列車には使用できないのです。
だから、ゲテモノ列車なのです。


金谷方から機関車が戻って来て連結。
これで折り返し列車の準備ができました。
と、思うでしょう。
実はまだまだ。



客車を連結した機関車が再度金谷方へ引き上げます。
そして1番線に戻って来て出発準備が完了です。

パーシー!

この時点で発車までまだ15分ほどありましたので、私は駅前の朝日園さんにご挨拶。

朝日園さんではオリジナルのアイスクリームを販売しているのですが、こんなにあるんですよ。
どれにしようか迷いますねえ。


で、私が選んだのはラムレーズン。
これ、マジ馬!


ここで反対側のホームにトーマスが到着しました。
たくさんのお客様が降りてきましたが、こちらも「ありがた山の寒がらす」でございます。

ということで、帰りの列車の乗り具合もこんな感じ。
混乱がなくてよかったなあ。

こんなゲテモノ列車、今の時代に乗れるのは大井川鐵道ならではでしょう。
来月になれば12系が入ってきますからこんなことにはならないでしょう。
たぶんね。
来週末もEL急行ももしかしたらゲテモノ列車になるかも。
皆さん、今のうちにお楽しみくださいね。
現代版ゲテモノ列車の旅でした。
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